ナタリー PowerPush - ONE OK ROCK
渦巻く不安と強い確信 傑作「残響リファレンス」の裏側
すべてが正解だとは思わない
──“音楽好きのクソガキ”とは言いつつも、ただ憧れのバンドの真似をしているわけではなく、ONE OK ROCKだけのオリジナリティと存在感は十分に発してますよね。
Taka それは先輩たちを見てるからこそ、意識してやってるのかもしれない。カッコいいと思うバンドはたくさんいますけど、その人たちの言ってることがすべて正解だとは思わないし、僕らの世代にしかわからないこともたくさんあると思うから、真似はしないしできないですね。
──先輩バンドに対してなんらかの違和感を感じることもあるんですか?
Taka そうですね。例えばライブのMCとかで、世間を痛烈に批判したり、感情のままに“問題発言”するのは、観てて「うーん……」って思うタイプなんです。本気で違うって思うことでも、バンドのボーカルとしてステージを使ってまで言おうとは思わないというか。言うんだったらその張本人の前で、「違うだろ!!」って思いをぶつける。ステージではもっと目の前のお客さんに直接届くメッセージを言いたいタイプですね、僕は。
──なるほど。そういう表現スタイルの違いって世代的なことも関係してるんでしょうか。
Taka そうかもしれないですね。僕らは先人たちと完全に考え方が違うなって思うし、これまでの当たり前が当たり前でない世代、本当にニュージェネレーションなんだと思います。さらにもっと下の世代は僕らの“当たり前”すら通用しないでしょうけど、自分たちが同じ経験をしたからこそ、下の人たちも違和感を持って当然だと思う。そういう“違う”感覚はすごく大切にしていきたいですね。
横浜アリーナではストレートと遠投とを表現したい
──「残響リファレンス」を携えて全国ツアーを回り、来年1月には横浜アリーナ2DAYSという大きな公演が待っています。どんな気持ちで臨みますか?
Taka この全国ツアーとファイナルの横浜アリーナはどちらも僕らが目指してる方向への第一歩だと思ってます。いつまでもライブハウスでライブし続けることも、大きな会場に立つっていう目標も達成させたい。ただ特に今回は、横浜アリーナでライブすることも見据えてアルバムを作ったし、そこでは武道館でできなかったことをやれたらいいなと。
──それは具体的にどういうことですか?
Taka 武道館では1曲1曲、変化球なしのストレートを客席に投げ込んだんですよ。でもあれ以降、どんな広い会場でも、お客さんがイスに座ってる状態でも立ってる状態でもしっかり心に届くような曲を作っていきたいって改めて思って。遠投っていうんですかね、すごく長い距離も届くような曲も今回のアルバムでは作ったんです。その両方を今度のツアーとファイナルで、バンド全員で表現できたらって思います。
──今から楽しみですね。ところで、オーディエンスだけでなく関わるスタッフの数も多くなって、前より窮屈だなとは感じません?
Taka 全然。楽屋も広くなるし。
Toru そうだね(笑)。
Taka うれしいですよ。あんな大きな会場に僕たちのためだけにセットが組まれて、スタッフがいて、そこへ自分たちが最後に入っていける幸せ。いろいろがんばったあとのご褒美みたいなものですかね。
CD収録曲
- Coda
- LOST AND FOUND
- アンサイズニア
- NO SCARED
- C.h.a.o.s.m.y.t.h.
- Mr.現代Speaker
- 世間知らずの宇宙飛行士
- Re:make
- Pierce
- Let's take it someday
- キミシダイ列車
ONE OK ROCK(わんおくろっく)
Taka(Vo)、Toru(G)、Ryota(B)、Tomoya(Dr)の4人からなるロックバンド。2005年に結成され、エモ、ロック、メタルの要素を取り入れた骨太なサウンド、激しく熱いライブパフォーマンスで若い世代を中心に支持を集める。2007年4月に1stシングル「内秘心書」を、同年11月に1stアルバム「ゼイタクビョウ」を発表。その後も次々と楽曲を発表し、リスナーを獲得していく。そして、2010年6月にアルバム「Nicheシンドローム」をリリース、11月には全国ツアーの一環で初の日本武道館公演を実施。1万1000人を動員し大成功を収めた。さらに2012年1月には、5thアルバム「残響リファレンス」を携えたツアーのファイナルとして横浜アリーナ2DAYS公演を行う。