ナタリー PowerPush - ONE OK ROCK

渦巻く不安と強い確信 傑作「残響リファレンス」の裏側

「なんで?」って思うことが多すぎる

──今の悔しさの話にも通じますが、Takaさんのライブパフォーマンスを見ていると怒りがこもってるなと思うんです。一体何にそんなに怒っていて、何を変えたいんだろう?と。

Taka それもやっぱり悔しいんでしょうね。「なんで?」って思うことが多すぎて。

──例えばどんな?

Taka 単純なことです。「このテレビに出てるおじさんはそんなに正しいことを言ってるのか?」とか、みんなが普段思うような疑問。それを怒りに変換してたのかもしれないですね。で、疑問の答えってよくよく考えたらわかってしまうと思うんですよ、多分“大人の事情”ってやつで。でもわからないからこそずっと目が輝いていたり純粋なままでいられたりすると思うし、僕はそういう考えが人一倍強かったのかもしれないですね。

──「変換してた」「強かった」と過去形なのは、今はもう変わってきたということですか。

Taka 今でも否定や疑問はめちゃくちゃありますけど、それをそのまま表に出すんじゃなくて、全部作品にぶつけて良いものに換えていければいいなと思ってます。今は“対誰かに”というよりすごく自分に向いてる。バンドがもっともっと成長して、そこから広がる余波みたいなものでいろんな物事が変わってってくれればうれしいなって思うから。

心の底からカッコいいと思えるバンドが少なくなった

──それから、このアルバムを聴いて“エモロック / パンクサウンドへのこだわり”を改めて感じました。基本的な質問ですけれども、皆さんはなぜこのジャンルの音を選んで鳴らしているんでしょうか。

Taka カッコいいと思ったからです。本当にそれだけ。子供の頃から食べているものはずっと好き、みたいな感じですね。学生の頃、ToruはGOOD CHARLOTTEとか好きで聴いてて、俺もToruの家に遊びに行って、一緒にDVD観たり、曲作ったり、家の屋上で動きの練習したりして。それがそのまま今に通じてるんで、結局根底はただの音楽好きなんですよね。

──ただ、こんなにハードでエモいサウンドって今の流行りではないと思うんですが……。

Taka そうですかね(笑)。

──こういう音を選んだことでやりづらかったことはないですか? 例えばフェスのラインナップで自分たちだけ浮いてるときとか。

Toru なんで呼ばれたんだろう?って思うことはよくあるよね(笑)。

Taka あるある(笑)。でもやりづらかったことは一度もないです。ただ1つだけ言えるのは、最近心の底からカッコいいと思えるバンドが海外見渡しても少なくなっている気がする。

Toru そう思う。

Taka だからそのポジションに自分たちが行きたいと思うんですね。

──その座を奪えるって思います?

Taka 全然大丈夫だと思ってます。この熱が冷めたら絶対できないんで、早く行きたい一心です。この「できるでしょ!」っていう勘違い精神がバンドにとってすごいエネルギーになってるんですよ(笑)。

僕らは音楽好きのクソガキ

──ONE OK ROCKってある意味アーティストっぽくないというか、4人とも音楽が好きで、バンドやりたくて、音鳴らしたくてしょうがないんだろうなという印象を受けるんです。

Taka まさにそうですね。音楽好きのクソガキみたいな(笑)。もし音楽を奪われたら何したらいいんだって思いますし、想像すると怖いです。実際にシングル「完全感覚Dreamer」をリリースする前の期間、本当に音楽を取り上げられたような感じがして「どうしたらいいんだろう」って途方に暮れたこともあったし。

──その時期って……?

Taka メンバーが1人抜けて、ツアーを全部中止して、活動休止になって。あのときの気持ちは今でも忘れないし、どん底に落ちてからの「やっぱ音楽がないとダメだ!」って爆発しそうな感情がそれ以降の作品に詰まってるんです。これしかないです、本当に。一生嫌いになることはないと思います。

──なるほど。真の“音楽好きのクソガキ”ですね。

Taka まあ、好きだからといって真面目に練習するタイプでもないんですけど(笑)。

──あはは(笑)。Toruさんはギター練習してます?

Toru してる……ほうですかね(笑)。でも4人になってからのここ何年かで、みんなモチベーションが一気に変わって、音楽に対する思いも、生活自体もストイックになりました。

──じゃあ音楽が生活の中心にずっとあるような感じですか。

Toru そうですね。

Taka 間違いないですね。考えてない日はないです。

ニューアルバム「残響リファレンス」 / 2011年10月5日発売 / A-Sketch

  • 初回盤スペシャルパッケージ / 3150円(税込) / AZCS-1015 / Amazon.co.jp
  • 通常盤 / 2800円(税込) / AZCS-1016 / Amazon.co.jp
CD収録曲
  1. Coda
  2. LOST AND FOUND
  3. アンサイズニア
  4. NO SCARED
  5. C.h.a.o.s.m.y.t.h.
  6. Mr.現代Speaker
  7. 世間知らずの宇宙飛行士
  8. Re:make
  9. Pierce
  10. Let's take it someday
  11. キミシダイ列車
ONE OK ROCK(わんおくろっく)

Taka(Vo)、Toru(G)、Ryota(B)、Tomoya(Dr)の4人からなるロックバンド。2005年に結成され、エモ、ロック、メタルの要素を取り入れた骨太なサウンド、激しく熱いライブパフォーマンスで若い世代を中心に支持を集める。2007年4月に1stシングル「内秘心書」を、同年11月に1stアルバム「ゼイタクビョウ」を発表。その後も次々と楽曲を発表し、リスナーを獲得していく。そして、2010年6月にアルバム「Nicheシンドローム」をリリース、11月には全国ツアーの一環で初の日本武道館公演を実施。1万1000人を動員し大成功を収めた。さらに2012年1月には、5thアルバム「残響リファレンス」を携えたツアーのファイナルとして横浜アリーナ2DAYS公演を行う。