ナタリー PowerPush - ONE OK ROCK
快進撃ネクストステージへ シングル「アンサイズニア」全曲解説
ONE OK ROCKがライブDVD「THIS IS MY BUDOKAN?! 2010.11.28」とニューシングル「アンサイズニア」を2月16日にリリースする。このDVDには昨年行われたバンド初の日本武道館ライブの模様が収められ、シングルではその武道館でお披露目された表題曲ほか3曲が堪能できる。彼らのこれまでの歩み、そしてこれからの足取りをはっきりと示す大ボリュームの2作品だ。
今回ナタリーではTaka(Vo)、Toru(G)にインタビューを実施。武道館ライブの感想や、その後バンド内外に起きた変化について訊いたほか、シングルの収録曲すべてを詳しく解説してもらった。また、現在破竹の勢いでファンが拡大中のONE OK ROCK。彼ら自身にその人気の理由を問うと、あまりにも意外で自然体な答えが返ってきた。
取材・文/鳴田麻未
初の日本武道館ライブを終えて
──まずライブDVDのことから訊かせてください。昨年11月28日の武道館ライブは、今振り返ってどんなライブでしたか?
Taka(Vo) 初めての武道館っていうことでとても緊張してたので、あまり鮮明には覚えてないんです。でも感じたことのない雰囲気がすごく漂う場所だったなって。
──みなさん緊張するタイプには見えないですけどね。
Toru(G) ガチガチでしたよ。
──緊張しながらも、ライブ中お客さんの姿は見えていましたか?
Toru 武道館ってお客さんに囲まれてるからどこを見たらいいかわからないというか、じっくりは見れなかったです。でも初めに出ていって客席を見たときの衝撃はすごかった。
Taka 僕は、頭の中半分以上お客さんのことを考えてパフォーマンスしてましたね。僕ら、イスがある会場でライブをするのが初めてだったんですよ。周りからはそんなの関係ないって言われたんですけど、僕らは絶対関係あると思ってて。今までライブハウスに来てた人にどう見せようとか、初めてライブに来る人もたくさんいるだろうとか考えることが多くて、常にアプローチの仕方を考えつつ動いてたんで、その思いがちょっとでもみんなに届いていたらうれしいですね。
──武道館で発揮したいと思っていた力は全部出せましたか?
Taka 出せなかったです。緊張してたし。でもツアー全体のテーマはしっかり決まってたし、緊張でグシャグシャになってはいたけど伝えたいこともちゃんと言えたし、またやりたいなっていう感じです。
──確かにこの武道館ライブはツアーの1公演でもありましたね。しかしライブ活動に重きを置くONE OK ROCKにとって、やっぱり大舞台にかける思いはひとしおだったのでは?
Taka そうですね。元々、武道館っていう場所をゴールにしたくないなとはずっと思ってました。あくまでも通過点の気持ちで、自分たちもその場を楽しみながら。でも、そういう節目になる場所に立ったときって、やっぱり人間だから「いいとこ見せなきゃいけない」って気持ちになって逆に空回ったりしちゃうんですよね。精神面でも演奏面でも一番リアルなものが出る場所だと思います。
──そんな節目となるライブを終えてみて、みなさんの中で何か心境に変化はありましたか?
Taka 今自分たちがしなきゃいけない、良い意味での課題が見えました。スキルの向上もしたいし、メンタル面の強さも身につけたい。やっぱり一生懸命音楽と向き合うことが大事なんだなって改めて感じました。
──では逆に、スタッフやファンといったバンド外の人からこのライブの影響を感じることはありました?
Taka 街で「武道館行きました」って言ってくれる人がいたりすると、それはすごくうれしいですね。今まで「なんとなく知ってる」っていう人に声をかけられてもなんとも思わなかったけど、ライブに来た人が街中にいるんだって思うと感動があります。
──なるほど。あと個人的に気になったのは、武道館ライブのチケット代が3990円だったこと。若い世代に良心的な価格なのはもちろんですし、小さいライブハウスで活動してきたみなさんならではの価格なのかなと思いました。
Taka 確かに僕らのお客さん若い方が多いかもしれないですね。僕らとしては純粋に1人でも多くの人にライブに来てほしいと思ってるので、これが可能な限りの値段設定なのかな。まぁ僕が全部決めてるわけじゃないですし。でもバンドと周りのスタッフがこのスタンスを共有できたからこそ、今回の武道館は成功できたようなものなので、これからもそれは持っていたいです。
「アンサイズニア」=Answer is near
──その武道館公演で初披露した「アンサイズニア」ですが、ステージではどんな感触を得ましたか?
Toru 初めて聴く人にもわかりやすいように作ったので、その反応は感じられたというか、すんなり入ってくれたんじゃないかなとは思うんですけど……まぁ基本的に初披露ってそんなに盛り上がらないんで(笑)。
──そうなんですか(笑)。
Taka だいたいシングル曲は発売前にライブでやることが多いんですけど、ノリは一気に悪くなりますね(笑)。でも、CDが出てPVのイメージとかがついてからの変わりっぷりが面白い。みんなどんどんわかってくる感じがこっちも楽しいし、うれしくなります。
Toru だからこの曲も武道館を皮切りに成長してってくれたらいいなと思いますね。
──なるほど。タイトルは「アンサイズニア」という、見慣れない字面ですけれども。
Taka これは“答えは近くにある(Answer is near)”って言葉をカタカナ表記にして棒抜いただけなんですけど。
──普通の英語にはしたくなかったんですか?
Taka はい、なんかいつもヒネリたがりなんで(笑)。ミックスが終わってマスタリングするとき、最後にみんなで決めたタイトルです。
──サウンド的にはスクリームやコーラスが多用されていて、“声”を重視したアレンジが特徴的だと思います。
Taka そうですね。作ってる段階から武道館でやるってことが頭にあったので、みんなで歌えるようにっていうイメージで。歌詞もそこまで難しいことは言わずに、覚えやすいってのを心がけていつものスタンスで書きました。メロディも言葉もシンプルだし、僕らの曲の中ではわりかしクールな曲ですね。
──クレジットを見ると作曲はToruさん、Takaさんの連名ですが、こういう場合はどんなプロセスで曲が完成するんですか?
Toru 基本的には僕が家でデモを作って、Takaに送って、メロディが乗っけられて返ってくる、という感じですね。
──土台とメロディに分かれてるんですね。
Taka ただ、Toruから送られてきたものに対して「ここちょっとおかしいな」って思ったら、僕が勝手にサビを切ったりコード変えることもたまにありますよ。そういうときは3、4パターン違うのを作って、その中から好きなやつを選べるようにして送り返します。
Toru で、それをさらにこっちで微調整して。あとはドラムとベースが個々に変えていく。
──その結果「これでいこう」と落ち着く、メンバー間での感覚はピッタリ合ってるんですか?
Toru もちろん曲によって違うときも一致してるときもあります。でもお互い聴いてる音楽が似てるんで共通点は多いし、これで長いことやってきてるんで、そこまで間違った方向には行かないっていう自信があります。
ONE OK ROCK【LIVE TWEET】
ライブDVD「THIS IS MY BUDOKAN?! 2010.11.28」から新曲「アンサイズニア(武道館ライブVer.)」のライブ映像公開中!
CD収録曲
- アンサイズニア
- Silent World
- アンサイズクリア
- To Feel The Fire
DVD収録曲
- Never Let This Go
- 夜にしか咲かない満月
- 皆無
- Shake it down
- 未完成交響曲
- カゲロウ
- カラス
- Living Dolls
- アダルトスーツ
- 完全感覚Dreamer
- Wherever you are
- Yes I am
- じぶんROCK
- Liar
- アンサイズニア
- 恋ノアイボウ心ノクピド
- Viva Violent Fellow~美しきモッシュピット~
- 独り言ロンリーナ
- 内秘心書
- ED. Nobody's Home
ONE OK ROCK(わんおくろっく)
Taka(Vo)、Toru(G)、Ryota(B)、Tomoya(Dr)の4人からなるロックバンド。2005年に結成し、ライブを軸に活動を開始する。エモ、ロック、メタルの要素を取り入れた骨太なサウンド、激しく熱いライブパフォーマンスで若い世代を中心に支持を集めている。2007年4月に1stシングル「内秘心書」、同年11月に1stアルバム「ゼイタクビョウ」をリリース。その後も次々と作品を発表し、リスナーを獲得していく。2010年11月には全国ツアーの一環で初の日本武道館公演を実施。1万1000人を動員し大成功を収めた。