ONE LOVE ONE HEART インタビュー|世間に“見つかり”始めた9人の個性と実力

歌やダンスのみならず、演劇、映像など、あらゆる分野で活躍できるアーティストを目指して活動中の男女混合9人組グループ・ONE LOVE ONE HEART、通称ラブワン。今年の下半期、さまざまな角度からこのグループへの注目度が高まっている。TikTok上では、今年1月にリリースされたアルバムの表題曲「愛せ、至極散々な僕らの日を」のライブ映像の切り抜き動画がじわじわと再生数を伸ばしている。その背景として、メンバーの藤咲碧羽が日本テレビ「超無敵クラス」にてその天真爛漫で個性的なキャラクターで注目を浴び、出演者の指原莉乃から「キュートとクレイジーの狭間にいる子」と称されたことや、相原一心が“注目のイケメン”としてYouTubeなどで取り上げられたことなど、メンバー個々の知名度の上昇が関係しているようだ。

そして9月にはショートドラマ配信アプリ・BUMPにて、ラブワンが主演を務めるオリジナルドラマ「僕らのロードムービー」の配信がスタート。このドラマは8月にリリースされた同タイトルの楽曲の世界観をモチーフにした内容で、9人にとって新たな挑戦となった映像作品での演技を通して、“青春代演エンタテインメントグループ”を標榜するラブワンの魅力を味わうことができる。音楽ナタリーではメンバーのうち相原一心、飯塚瑠乃、佐々木杏莉、笹原遼雅の4人にインタビュー。ドラマ「僕らのロードムービー」の話題のほか、最近のラブワンを取り巻く多数のトピックについて話を聞いた。

取材・文 / 小松香里撮影 / 藤記美帆

撮影中、モニタを見ながらニヤニヤしちゃいました

──ONE LOVE ONE HEARTの楽曲「僕らのロードムービー」の世界観をモチーフとしたオリジナルショートドラマがメンバー主演で制作されると聞いたとき、どう思いましたか?

相原一心 僕たちは男女混合グループとして、これまで舞台などいろいろなことに挑戦させてもらってたんですが、ドラマは前からやってみたかったことの1つなので「ついに来たか」とすごくワクワクしました。でも、「舞台の演技と映像の演技は全然違うよ」と言われていたので不安はありましたね。実際にやってみたら本当に全然違って。舞台だとまるっと通して演じることで1つの作品ができあがりますが、映像は日を分けて1つのシーンをいろいろな角度から撮るので、何度も同じお芝居をするんです。毎回、今はどの角度から撮られるかを意識して表情を作るのが難しかったですが、楽しかったしめちゃくちゃ勉強になりました。

笹原遼雅 最初に「ショートドラマを作る」と聞いたときは「自分にできるのかな」と不安を覚えました。一心が言ったように舞台とはまったく違って。ドラマはバラバラに撮るので、感情をコントロールするのが難しかったです。コンディションによって全然ろれつが回らない日があったり、反省点が多かったですね。でも、さらに演技に興味が湧いたというか、もっと演技のことを知りたいなと思いました。

佐々木杏莉 メンバーみんなで主演を務める映像作品は初めてだったので、未知の世界に入り込む感覚がありました。舞台はその場の感情や自分のテンションをつないでいくようなやり方でしたが、映像はその日に撮るシーンに向けて自分のテンションを作ってから現場に挑むというやり方で。初めてのことに慣れなくて反省点がすごく多かったですが、おかげで成長できたと思っています。

飯塚瑠乃 最初にお話を聞いたときは、またONE LOVE ONE HEARTとして演技ができること、しかも映像作品として形に残せることがすごくうれしかったです。舞台は1カ月間しっかり稽古をしてから皆さんにお披露目したのですが、ドラマは稽古や打ち合せはあったものの、みんなでみっちり固める時間より各自で向き合う時間のほうが多くて。難しいことも多かったですが、学びがとても多かったです。

ONE LOVE ONE HEART

ONE LOVE ONE HEART

──はじめましての人たちとの共演ではなく、普段一緒に活動しているメンバーとの演技は心強かったのでは?

相原 そうですね。打ち合せのときに監督から「普段の自分と重ね合わせて芝居をしていいよ」と言ってもらえたんですが、もし全然知らない方たちとの共演だったらそう言われて逆に緊張していたと思います。メンバーだからこそ普段のように会話ができたところがあって、安心感がありました。

──相原さんは藤咲碧羽さんが演じる幼馴染から思いを寄せられる役ですが、藤咲さんと何か意見を交換したりはしましたか?

相原 いや、全然そういうことはしなかったです。相手のことが好きな気持ちに気付いてない設定なので、普段からしゃべらないようにしてました。

相原一心

相原一心

藤咲碧羽

藤咲碧羽

飯塚 2人が撮影してるところを見てたんですが、メンバー同士でそういうシーンを撮ることに対してムズムズする感覚があって(笑)。すごく楽しんで見てました。

佐々木 私はモニタを見ながらニヤニヤしちゃいました(笑)。撮影中は声を出しちゃいけないので歯がゆかったです。画面に映った2人は、いつもとは違った“ドラマの中の2人”という感じで、新鮮味がありましたね。

笹原 昴(相原)が美玖(藤咲)を連れ出すときに「フー!」って野次を飛ばすシーンは、みんな素でしたね(笑)。

佐々木杏莉

佐々木杏莉

笹原遼雅

笹原遼雅

飯塚 あれは素だったよね(笑)。

笹原 映像で観ると、その雰囲気がとてもよかったです。

相原 僕としては「茶化されてんな」って思ってました(笑)。

一同 (笑)。

相原 僕はメンバーを家族だと思っているので、妹みたいな碧羽ちゃんに好きな気持ちを抱くのってどういう感じなんだろう?と最初はイメージが湧かなかったんですけど、監督に相談したうえでうまくできたと思います。

ドラマを経験したことで曲の解像度が上がった

──メンバーの芝居を見て学んだことはありますか?

佐々木 今回、メンバーそれぞれのキャラクターに寄せて役を用意していただいていたんですが、久昌歩夢が一番役にハマってる気がしました。私は緊張してしまって、「もっとできたな」と思うところがあるんですけど、彼はいい意味で伸び伸びして自分をちゃんと出せていたんですよね。

笹原 洸瑛のお芝居をしているときの表情もとてもはかなくてよかったので「こういう表情を研究したいな」と思いました。

久昌歩夢

久昌歩夢

洸瑛

洸瑛

相原 僕は飯塚瑠乃とは劇中であまり絡みがなかったんですが、完成した映像を観たら、悲しみを強く表現するシーンがあって。そのときのセリフの言い方が、普段の声より“落ちた声”でとてもいいなと思いました。

飯塚 ありがとうございます(笑)。

相原 あと藤咲碧羽ちゃんのちょっとネガティブな感情になっているときの声の出し方や瞬きの仕方、間の取り方がすごく上手だなと思いました。

飯塚 私は、イーチの仕草がすごく自然でいつも通りだったのがとても印象的でした。

イーチ

イーチ

──ショートドラマの経験は今後の活動に生きそうですか?

相原 めちゃめちゃ生かせると思ってます。相手のセリフと自分のセリフの間を長めに取ったほうがいいという発見があって。あと、セリフの句読点の表現の仕方や抑揚の付け方、声量といった技術的なことがかなり勉強になりましたね。

飯塚 舞台のお芝居の要領で映像作品の撮影に臨むと、自分の声量が大きく感じられるという発見がありました。それは今後映像作品をやらせていただく際にも生かせることだと思っています。

飯塚瑠乃

飯塚瑠乃

矢嶋由菜

矢嶋由菜

笹原 同じお芝居を何度もやる中で混乱してしまうことが多かったんですが、もっといろいろな映像作品を観て研究したら、「こういうシーンではどういうふうに目線を送ったらいいのか」みたいなことを落ち着いて考えられるようになりそうです。

佐々木 青春ってキラキラした部分だけじゃなくて、切なさやもどかしさもあると思うんですが、このショートドラマはそれが特に強いんですよね。本音が些細な表情に表れている役もあれば、そのままダイレクトに表に出ている役もあって。「僕らのロードムービー」という楽曲でも青春の切なさやもどかしさが描かれているんですが、自分としてはこれまでなんとなくしかその表現の仕方をつかめていなかった気がしていて。そこがドラマの経験によってしっかり埋められたように思います。だから、今後の楽曲の表現においても成長を見せられるんじゃないかな。

──「僕らのロードムービー」という楽曲への理解度が深まった?

笹原 サビで描かれる切なさが劇中の美玖の気持ちにつながっていたリ、ドラマは歌詞にリンクする部分がすごく多かったので、より曲に感情移入できるようになりましたね。

相原 ドラマを撮ったあとに曲のMVが完成したんですが、そのMVを観たときに美玖が未来に対して前向きになっていく描写がしっかり楽曲に込められているなと感じて。監督がいかに楽曲の世界観に合わせてドラマを作ってくださったかということを実感しました。曲の解像度が上がった気がします。

飯塚 ドラマの中で「僕らのロードムービー」が流れると感情が揺さぶられて、さらにいい曲に聞こえるなと思いました。