ONE LOVE ONE HEART「愛せ、至極散々な僕らの日を」インタビュー|全員10代のラブワンが表現する青春

男女混合グループ・ONE LOVE ONE HEARTの2ndアルバム「愛せ、至極散々な僕らの日を」がリリースされた。

2023年1月リリースの1stアルバム「LOVE1」から1年を経て発表された「愛せ、至極散々な僕らの日を」。タイトルに「どんな出来事も散々な毎日も、すべてが愛すべき青春」という意味が込められた今作は、メンバー全員が10代であるラブワンだからこそ表現できる“青春”を凝縮した1枚だ。同年代は大いに共感し、20代以上のリスナーは懐かしい“あの日”にタイムスリップしたような感覚に浸ることができるだろう。

音楽ナタリーではメンバー9人のうち久昌歩夢、洸瑛、佐々木杏莉、藤咲碧羽にインタビュー。多くの挑戦が詰まった意欲作の聴きどころや、2024年の展望について話を聞いた。また特集後半には相原一心、笹原遼雅、飯塚瑠乃、イーチ、矢嶋由菜のコメントも掲載する。

取材・文 / 川倉由起子撮影 / 藤木裕之

久昌歩夢、洸瑛、佐々木杏莉、藤咲碧羽インタビュー

等身大の活動ができた2023年

──2ndアルバム「愛せ、至極散々な僕らの日を」は、2023年に配信リリースされた6曲に新曲を加えた作品です。コンスタントに楽曲を発表した2023年は皆さんにとってどんな年でしたか?

佐々木杏莉 2022年は主演舞台「オノマトペ」を2回やらせていただいて、その年に発表した楽曲も舞台の劇中歌や「オノマトペ」の延長線上にあるナンバーが多かったんです。バックグラウンドにずっと「オノマトペ」があったというか。そこから次のステージへ向かった2023年はまた新たなスタートを切る感じで、幅がより広がった楽曲を通してシンプルに歌とダンスに集中することができましたし、自分たちの強みや可能性をさらに追求できたんじゃないかと思います。

藤咲碧羽 「オノマトペ」に浸かっていた2022年が、現実からちょっと離れた“物語”の中の自分たちを見せる感じだったのに対し、2023年はメンバーの等身大に近い楽曲を多くリリースした1年だったなと。リリースイベントをたくさんやってファンの皆さんと近い距離で触れ合えたし、よりリアルな私たちを見せられたんじゃないかと思います。大阪など、遠くのエリアに初めて遠征することもできてうれしかったです。

洸瑛 僕らは地方出身のメンバーが多いので、リリイベで地元に行けてみんな喜んでいました。11月から開催している2ndアルバムのリリイベはかなりの盛り上がりで、「オノマトペ」関連の曲が約半数だった1stアルバムと比べて今回はみんなで一緒に楽しめる曲が多いんです。ファンの方がオリジナルのコールを作ってくださったり、僕らのほうからクラップやタオル回しをお願いしたり……コロナの影響もあったので、“声を出して一緒にライブを作る”という感じは去年まではあまりなかったものかもしれません。

洸瑛

洸瑛

──2023年の活動を通して、メンバー同士の関係性にも変化はありましたか?

洸瑛 とりあえず、みんな仲よくなりました!(笑)

久昌歩夢 “みんな”っていうのがポイントだよね。

洸瑛 2022年までは「オノマトペ」の役での関係性が、意外とリアルにも影響していたのかなって。劇中で関係性が強い子同士が仲よくなったり。それに対して、2023年は9人全員で一緒にいる時間が多かった気がする。

佐々木 この子とこの子が……とかじゃなくてね。

久昌 途中から新体制になったのも大きいんじゃないかな。これからもっともっと9人で高め合っていこう!という気持ちで、より仲が深まったというか。絆も強くなったと思う。

久昌歩夢

久昌歩夢

洸瑛 今では最年少のアム(久昌)がメンバーを一番引っ張ってるから。

佐々木 確かに!

洸瑛 なんなら牛耳ってる!(笑)

久昌 言いすぎ(笑)。でも僕がそうやってのびのびしていられるのも年上メンバーのおかげです。「遠慮なく言って」という雰囲気でいつも接してくれるから、本当に助けられてます。

長いタイトルは「戦国時代みたい」

──ここからは新作のお話を具体的に伺います。まず、アルバムタイトルになっているリードトラック「愛せ、至極散々な僕らの日を」の印象を聞かせてください。

洸瑛 タイトルからしてすごくインパクトのある曲ですね。音源や歌詞をもらったとき、みんなどう思った?

佐々木 タイトルが長くて覚えられないかもってあたふたした(笑)。

久昌 ちょっとびっくりしたよね。

洸瑛 僕は「え? これって『少年よ大志を抱け』的な意味!?」って思いました。

藤咲 私は、ちょっと戦国時代みたいだなって思った。

久昌 戦国時代って!(笑)

──それぞれタイトルに対する印象がユニークですね。

洸瑛 あはははは。でも実際に曲を聴いたらこのタイトルがすごくしっくり来ました。今ではこれじゃないと逆に違和感があります。

久昌 このタイトルのフレーズがそのままサビ頭の歌詞になっていて。みんなの歌声やメロディとすごくマッチしています。

藤咲 すごくさわやかだよね。タイトルの印象から、いい意味で裏切られると思います。

佐々木 ひと言で言うと、ラブワンの青春感が詰まった歌詞なんです。「いいことばかりじゃないさんざんな日々もいつかは愛せる出来事になる」というタイトル通りのメッセージが本当に素敵だなって。

佐々木杏莉

佐々木杏莉

久昌洸瑛藤咲 (大きく頷く)

洸瑛 “散々”ってワードだけ見るとネガティブに感じるかもしれないけど、その前に“愛せ”が付くことで一気にポジティブなイメージに変わるというか。どれか1つでも単語が欠けたら成立しないタイトル、歌詞だと思います。

藤咲 青春っていいことばかりじゃないし、むしろ悪いこともあってこそなのかなと。決して単純じゃないから、悩んだり、落ち込んだりしたときにきれいごとを言われても受け入れられなかったりすると思うんですけど、そういう人たちに向けてのメッセージをこの曲で発信できるんじゃないかと思います。

──サビ頭は藤咲さんのソロで、突き抜けるような透明感のあるボーカルに心をつかまれました。

藤咲 うれしい! ありがとうございます。歌う前は、来る来る来る……ってめっちゃ緊張するんですけどね。この曲は全体的にキーがかなり高くて、最初に歌ってみたときに「これはマズいぞ」と思ったんです。でもがんばって挑戦したら、音程が高いからこそ気持ちを乗せやすい楽曲だなと感じました。

藤咲碧羽

藤咲碧羽

──後半の印象的な落ちサビは洸瑛さんのソロです。

洸瑛 このパートを任せていただいたからには、1つひとつの言葉を大切に歌おうと思っています。音数が少なくなって、トラックが静かになるパートなので僕も毎回緊張するんですけどね。落ちサビまでずっと激しく踊っているので、一旦落ち着いてマイクを持った瞬間に「あれ、疲れてる?」って気付くことも(笑)。思ったより息切れしてたりするので、今後ペース配分を意識したいと思います。