ナタリー PowerPush - ONE☆DRAFT

コンセプトは“全15曲のワンマンライブ” 3rdアルバム「蜂の巣」ドロップ

クライマックスは聴いてて頭を振っちゃいます

──具体的に言うと、1曲目「五、六、七、蜂 -INTRO-」は心臓の鼓動音から始まるイントロ的なナンバー。フロアが暗転して、今からライブが始まるっていう高揚感が音からダイレクトに伝わってきますね。

LANCE そうなんです。この曲は心臓の音がだんだんビートにはまって、音楽につながっていくっていうのを表現したかったんです。

──その後はアッパーな楽曲が続き、バラードを数曲挟んで、またラストスパートで盛り上がって……と。これ、曲順は悩みませんでしたか? シングルはすでにある状態で、そこから新曲を加えながらライブの流れも同時に作っていくというのは。

LANCE う~ん、でも、意外にそこまで悩まなかったかな。「ワンダフルデイズ」だけは前後が難しくて結構考えましたけどね。

インタビュー風景

──RYOさんが、全体を通して特に好きな流れはどのあたりですか?

RYO 僕はオープニングですね。そこからバラードに移っていく感じが好きです。普段のライブがまさにこういう流れってわけじゃないんですけど、このセットリストはすごくライブをイメージできるんですよ。

──MAKKIさんは?

DJ MAKKI 僕は怒涛の後半ですかね。さっきから何度も言ってますけど、最後まで本当に全部がつながってますから。クライマックスは、聴いてて頭を振っちゃいますよ(笑)。

──確かに! あと、MAKKIさんがミックスを手がけた13曲目の「Mixed by DJ MAKKI」。これも相当アツイですよね。

DJ MAKKI ありがとうございます。これはまずLANCEと曲をピックアップしていって、ちょっとトラックを作ってみるわーって感じで制作したんですよ。少し企画ものっぽいというか、ブレイクっぽい感じで聴いてもらってもうれしいですね。

旅行に行っても、あえて疲れを溜めたまま帰るんです

──で、そんなブレイクをはさんで14~15曲目のアンコールへ。ここはもう、とにかくアゲアゲのお祭りですよね。聴いてるだけなのに、終わったら息がハアハアしちゃう感じでしたよ(笑)。

LANCE わははは(笑)。うん、そうですよね。もうそのへんはノリでやっちゃった感じで、だいたい1日で作りましたね。

──たった1日で?

インタビュー風景

LANCE はい。でも、僕はそのスピードがすごいとか思ってるわけじゃなく、1日で作れるくらいの材料をどれだけ用意できてるか、みたいなところが重要だと思うんですよ。何も材料がない中でいきなり作りましょうっていうのも困るから、最初にも言ったように、最近はよく遊んだりしてるんですけど……。

──ちなみに、そういう作り方になってきたのっていつ頃からですか?

LANCE 結構最近ですよ。シングル「TRAIN」の後くらいかな。今までは28年間の人生や過去を振り返った曲を書いたりしてたけど、今はわりと最近の、ここ2~3カ月の出来事を曲にしてみようかなみたいな感じですね。

──素朴な疑問なんですが、普段そうやって曲作りのことを意識して遊んだりしてたら、あまり面白くないんじゃないでしょうか……?

LANCE うん、それはもちろんそうですよ。でも俺、だからというわけじゃないけど、映画とか旅行には結構一人で行くんですよ。例えば旅行に行ったとして、そこで「美味しかったね」とか「楽しかったね」とか、誰かといたら全部口で言うじゃないですか。それが一人だと、心に思うだけでいいんですよ。必要最低限のことしか話さなくていい。喜怒哀楽を溜めこんだまま帰って、曲を作るときに初めてそれを出すというのがいいんです。

──じゃあ、(旅行は)誰かと一緒に行って感情を言葉に出しちゃうとダメ?

LANCE なんか、言っちゃったらそこで終わりません? 帰り際に「良かったね、また行こうよ」なんて言ってたら、すべてをそこで発散して、リラックスしてる感じになっちゃうというか。だから俺、旅でも結構疲れたまま帰るんです。あえて溜めて持ち帰るんですよね。

曲は香水みたいなもの

──ここ最近は、よくそうやってネタを求めて外へ出たりしているんですか?

LANCE いや、曲のために何かを犠牲にするってことではないですね。ネタのためにわざわざお金払って旅行には行かないし、やりたくないことはやらないから。たぶん、俺は本当に好きでいろんなところに行きたいんでしょうね。その中で材料を得られることもよくあるし、純粋にいろんな経験をしたいっていう性格なんだと思います。

──そこで得た経験をさらに曲として残していけるっていうのは、素晴らしいですね。

LANCE うん、そう思いますよ。それこそが、この仕事の醍醐味というかね。例えば、役者さんはいろんな人間を演じられてうらやましいなって思うけど、俺はそれを音楽でどういうふうに表現していこうかって思えるし。で、それをさらにライブで披露できる。ゴール地点じゃないけど、俺らにはそういう場所もあるから。また次の作品を作りたいっていう気になれて、それがずっとループしていけばいいなって思うんです。

──皆さん、そういう感情ってデビュー当時より強くなってきた気がしますか?

LANCE そうですね。だからラクになったと思う。デビュー当初は3人とも何もないまま、がむしゃらに曲作るだけで。でも今はすごく充実してるし、楽しいって思えるし。

──ちなみに、自分たちの昔の曲を聴いて、その当時の環境や心情を思い出したりします?

LANCE しますね。それはもう、曲が香水みたいなもんなんですよ。

──というのは、嗅覚じゃなくて聴覚で感じる香りってこと? 音の香水ですか?

LANCE そうそう!(笑) すれ違う瞬間にふわっと香る元カノのにおいとか、あるでしょ? そういうパーッと広がる画みたいなものはありますね。だから、デビュー曲「フルサト」から、リリースのたびにいっぱい香水を並べてるみたいな。

──RYOさんとMAKKIさんもそうですか?

RYO はい、俺もそういうのは結構ありますね。昔の曲でも、電車の中で聴いたりすると、そのときの情景を思い出すんです。特にデビュー曲の「フルサト」とかは本当に最初だったので、聴くたびに右も左もわからなかった当時の自分たちが浮かんできますね(笑)。

DJ MAKKI 僕も同じです。このときはこうだったなーとか、それぞれの曲によって、絶対にみんなあると思いますね。

インタビュー風景

ニューアルバム「蜂の巣」 / 2010年11月10日発売 / Sony Music Associated Records

  • 初回限定盤 / [CD+DVD] / 3300円(税込) / AICL-2191~2192 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤 / [CD] / 2800円(税込) / AICL-2193 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. 五、六、七、蜂 -INTRO-
  2. MUSIC
  3. CHANGE
  4. 想い出
  5. 夜空
  6. TRAIN
  7. 会いたい夜… feat.Macheri
  8. 唯一 feat.Macheri
  9. 5年後…
  10. 夜行バス
  11. ワンダフルデイズ
  12. 奇跡な軌跡
  13. Mixed by DJ MAKKI
  14. 傾レンぜ★ (傾奇炎~止まレンぜ★ -Special Mix-)
  15. 傾奇宴
ONE☆DRAFT(わんどらふと)

LANCE(MC, Vo)、RYO(Vo)、DJ MAKKI(DJ)から成る3人組ユニット。全員1981年生まれの同級生で、帝京高校在学中は野球部に在籍。卒業後、DJ MAKKIはクラブDJ、LANCEはアメリカへ留学、RYOはソウルバーで働きながら生バンドでのライブを重ねる。LANCEの帰国後に3人が再会し、ONE☆DRAFTを結成。2007年3月にシングル「フルサト」でメジャーデビューを果たし、2008年3月には1stフルアルバム「ONE FOR ALL」を発表。2009年6月発売の2ndアルバム「DREAMAKER」はスマッシュヒットを記録した。その後「ワンダフルデイズ」「TRAIN」「夜空」「5年後…」といったシングルのリリースを重ね、全国各地のイベントにも出演。着実に知名度を高める。2010年11月、待望の3rdフルアルバム「蜂の巣」をリリース。