04 Limited Sazabys、THE ORAL CIGARETTES、BLUE ENCOUNTによるアリーナツアー「ONAKAMA 2021」のライブDVD / Blu-rayが7月7日にリリースされた。
「ONAKAMA」は、2016年8月に東京・新木場STUDIO COAST(現USEN STUDIO COAST)で初開催された同世代の盟友3組によるライブイベント。「ONAKAMA 2021」は1月24日に愛知・日本ガイシホール、1月31日に大阪・大阪城ホール、2月11日に福岡・マリンメッセ福岡の3都市で行われ、コロナ禍でさまざまな制限がある中にもかかわらず合計約1万2000人を動員した。ライブDVD / Blu-rayには各会場でのライブ映像や3バンドによるアンコールセッション、ドキュメンタリー映像などが収録される。
音楽ナタリーではDVD / Blu-rayの発売を記念してGEN(04 Limited Sazabys)、山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)、田邊駿一(BLUE ENCOUNT)にインタビュー。ツアーにまつわるエピソードや各バンドの魅力について聞いた。
また特集の最後には、「あなたにとって『ONAKAMA』とは?」という質問に3人が答えた直筆メッセージも掲載している。
取材・文 / 酒匂里奈 撮影 / 伊藤元気
3公演ともまったく違う刺激をもらえた
──先日、ライブDVD / Blu-ray「ONAKAMA 2021」の内容を特別編集した映像作品「ONAKAMA 2021 THE MOVIE」が配信および全国の映画館で上映され、ファンの方にツアーの映像がお披露目されました。田邊さんは残念ながら欠席で等身大パネルでの登壇となりましたが、GENさんと山中さんによる舞台挨拶も行われましたね(参照:フォーリミGENとオーラル山中が「ONAKAMA」振り返った舞台挨拶、ブルエン田邊はパネルで参加)。
田邊駿一(BLUE ENCOUNT) 魂だけはその場にいました。これからはそういう形の出演もできますので。
山中拓也(THE ORAL CIGARETTES) 魂、来てましたね(笑)。
GEN(04 Limited Sazabys) 見えてた見えてた。3回まではその方法でいけると思うよ。4回目からはサボり始めたなって思われる(笑)。
──お二人は舞台挨拶をしてみて、会場の雰囲気はいかがでしたか?
GEN 場内の空気が熱くなってましたね。あと2人だとこんなに円滑に進行できるものなのかと。時間が押さない押さない。
山中 本当に押さなくてびっくりしたもん。
田邊 俺と司会の芦沢(ムネト)さんがそろったら大変なことになってたと思う。当日会場には行けなかったけど、Twitterでファンの方々からいろいろなリプライが届いていたんですよ。「すごく面白かったですよ」「いなかったのに存在感ありました」と。「ONAKAMA 2021」に行けなかった人にもライブビューイングや配信でライブ映像を観てもらえて、こうやって感想をもらえてよかったですね。
──お二人が田邊さんのパネルを抱えて運んでいる写真が話題を呼んでいましたね。
山中 確かにあれは面白かったし、「ぐりとぐら」はいいネーミングやなと(笑)。次またこういう機会があったら俺とGENちゃんがパネルかな。
田邊 ちょっと待って、俺1人でしゃべるってこと!?
山中 そうそう。
GEN でもできる気がするよ。
田邊 今からトーク力鍛えておきます(笑)。
──舞台挨拶でも話されていましたが、改めてツアー「ONAKAMA 2021」を無事に終えたことに対する所感を聞かせてください。私は最終日の福岡公演に伺わせていただいて、皆さんが自分たちやファンのために開催を決断したのはもちろん、ロックシーンを盛り上げたいという強い思いを持ってライブに臨んでいることが伝わってきました(参照:フォーリミ×オーラル×ブルエンのツアー終幕「誰かにとっては不要不急でも誰かにとっては生きる意味」)。
GEN 状況が状況だったので、普通にライブをやるのとはまた違う緊張感がありましたし、みんなで1つのことに挑戦してそれを達成できたという手応えを感じましたね。
山中 開催するのかしないのかはだいぶ話し合って、その結果「チーム一丸となって十分に対策をして開催しましょう」というところにみんなで向かっていくことになりました。5年前の「ONAKAMA」ではバチバチやりあう感じだったんですけど、今回はシーンを盛り上げるという1つの目的に向かってみんなでライブを作っていく感じだったので、無事に終わったときはすごく達成感がありました。
田邊 オーラルとフォーリミは確か「ONAKAMA 2021」の少し前に有観客ライブをやってたよね。俺らはコロナ禍になってからは無観客の配信ライブばっかりで。唯一「MERRY ROCK PARADE 2020」(2020年12月に愛知・ポートメッセなごやで開催されたライブイベント)に出させてもらったくらい。自分たちとしては「ONAKAMA」というひさびさのフィールドでどう試合するか、みたいなところをメンバーで話し合いました。それで純粋に原点に帰って新鮮な気持ちでライブをやれたからか、3公演ともまったく違う刺激をもらえました。達成感もそうですけど、またバンドとしてがんばらないといけないな、という気合いも入りましたね。
GEN やっぱ初日が一番緊張したよね。
田邊 うん。俺らは初日の1番手と最終日のトリをやったから余計緊張した。
山中 俺は初日のブルエンのライブをステージ袖で観ていて、「あー最初じゃなくてよかった!」と思いました(笑)。
GEN 初日のトリもイヤだったけどね(笑)。オーラルの2番手ポジションがよかったよ!
──ツアー終了から約4カ月が経ちましたが(取材は6月末に実施)、その間に少しずつロックシーンが活性化してきたと肌で感じることはありましたか?
GEN 本当にちょっとずつですけど、進んだ感じはあります。
田邊 行動を起こしているバンドさんやアーティストさんが増えてきていて、今は一気にツアー渋滞みたいな感じになってますよね。お客さんは「誰のツアーに行こう!?」みたいな感じになっている気がする。だから俺らは「このアーティストのライブに行きたい」と思ってもらえるバンドかどうかが問われていて、それはそれでまた面白いなと思いますね。自分のバンドのことでいうと、4月に横浜アリーナでワンマンをやらせていただいて、2人にサプライズで出てもらったんです。
GEN まだギャラ振り込まれてないけど?
田邊 ごめんごめん忘れてたわ!
山中 田邊から直接もらうって聞いてるけど?
田邊 俺から現ナマなの!? OK、OK、それはちょっとまた話そう(笑)。まあだから……「ONAKAMA」をやってよかったと思ったんですよね。ワンマンという自分たちのフィールドに帰ってきたときに背伸びせずにライブができたから。普段はワンマンだったらちょっとカッコつけたり、トゥーマッチなことをやっちゃったりすることがあるんですけど、横アリでのワンマンに自然体で臨めたのは「ONAKAMA」でこの2人のボーカリストに揉まれたからだと思っています。
ステージで馴れ合うのが嫌いな3人
──お互いのライブをツアーや映像で観て、気付いたことがあれば教えてください。
GEN みんなの演奏力の高さかな。舞台挨拶のときにも話したんですけど、ブルエンは「バッドパラドックス」というわりと最近リリースした曲がライブの軸になっていて、セットリストやバンドの力がアップデートされている感じがめっちゃいいなと。初日は「もっと光を」をやってなくて、「『もっと光を』なしでもいけんだ!?」と思ったし、それに代わる新しい代表曲ができているのがすごいなと。しかも「バッドパラドックス」はサビの感じがコロナ禍に合っているし。新しい武器を手に入れているな、と思いました。
田邊 うれしい!
GEN オーラルはひさびさにアリーナでライブを観て、楽曲のスケールが大きいからアリーナが似合っているなと感じましたね。同期を使った曲も増えているから、会場が大きくても音が分厚く聴こえる。あと拓也、というか2人がMCで何を話すのか、けっこうちゃんと聞いてたんですよ。特に初日は2人がどんなMCをするか気になっていたというか、トリだから2人のMCを受けて話さないとなと思って。そうしたらこの難しい状況の中で2人ともちゃんと言葉を選びながら話していて、安心感のあるMCだなと思いました。
山中 俺はGENちゃんのMCでの対応力がすごいなと。昔と比べて成長したからこそこういうふうに言えるようになったんやなと思った。あとブルエンが「HANDS」を演奏したときには、KYOTO MUSEとかで一緒にライブをしていたインディーズ時代のことをめっちゃ思い出したな。改めてこの2バンドが好きやなと思いました。
田邊 フェスとかで観ることはありますけど、それより長い尺の2バンドのライブをひさびさに観て。しかもアリーナで。昔から近くで見てきた仲間として、2組が昔から鳴らしていた曲たちがどんな会場でも戦える曲に変わっていて感動しました。バンドとしての度量が増したからこそ、昔と同じ曲でもデカいスケールの音が鳴らせるようになっているんだなと。そんな姿を見て悔しくなっちゃって、だから「俺らのライブも見とけよ!」みたいな感覚で、3公演毎回セットリストを変えて臨んだんです。ステージ裏は和気あいあいとした雰囲気だったんですけど、俺はピリピリしていた時間もあって。俺、最終日は楽屋エリアにいなかったんですよ。
GEN 実家帰ってた?
田邊 ちげーわ!(笑) なんでそこで急に熊本帰るの俺!
山中 冗談やんー!
田邊 いやわかってるわ!(笑) で、話を戻すと、最終日はちょっとピリピリしていたのでスタッフさんにお願いして、みんながいる楽屋エリアと離れた別部屋を取っていただいたんです。そこで1人で瞑想……ではないですけど、その日のライブのイメトレをしていて。普段はあまりそういうことはしないんですけど、それくらい2バンドから悔しさや刺激を食らいまくりましたね。仲がいいからこそ、ステージに立ったら馴れ合うのが嫌いな3人だと思うんですよね。
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2バンドの楽曲の魅力を改めて感じた
2021年7月16日更新