ナタリー PowerPush - 奥華子
初ベストを通じて振り返る7年間の軌跡
自分の歌を誰かが歌ってくれる喜びを初めて知った
──2008年に入ってもペースを落とさず、活動は順調に続いていきます。
1年に1枚アルバムを出して、ツアーもやって、イベントにもたくさん出て、とにかく来るもの拒まずなんでもやってましたね。だから常にいっぱいいっぱいな感じだったと思います(笑)。
──それでも心が折れず、走ってこられたのはどうしてなんでしょう?
それはもう聴いてくれる人がいるから、待っててくれる人がいるからです。さらに、もっともっとたくさんの人に知ってもらいたいっていう気持ちもありましたしね。実際、奥華子のことを新しい人に知ってもらうということが、2008年くらいから加速した感じもあるんですよね。mixiを始めたっていうのもありますし、あとは「時をかける少女」がテレビで放映されたりもしたので、年々広がってきてる実感がありました。
──ガストのCMソングで奥さんの歌が流れ始めたのも2008年でしたしね。
そうですね、うん。より多くの人に知ってもらえることへのワクワク感がありました。
──そんな中、バンド編成でのツアーを初めて経験されています。
アレンジャーの佐藤準さんにバンマスをやっていただいたんですけど、1人じゃないライブって本当に楽しいなって思いましたね。自分が楽器を弾かなくても音楽が続いていくことの感動も味わいましたし。もちろん1人での弾き語りライブは喜びを独り占めできて楽しいんですけど、相当孤独でもありますから(笑)。ただバンドでのライブを経験したことで、自分には弾き語りというスタイルが改めて合ってるんだなっていうことも再確認できたところもあって。すごく貴重な体験でした。
──翌2009年の作品からは5曲がベストに収録されています。何か思い出深い曲ってありますか?
「BIRTHDAY」というアルバムに入ってた「笑って笑って」にはすごく思い出があります。元々はインディーズ時代から路上で歌ってた曲なんですけど、改めてメジャーでリリースしたんですよ。で、大分県にあった小学校が廃校になってしまうというときに、そこの子供たちがこの曲を歌ってくれたんです。
──テレビでも取り上げられていましたよね。
そうなんですよ。なんかね、そのときに初めて自分の歌を誰かが歌ってくれるという喜びを知ったんです。私は昔から教科書に載るような曲を作りたいってずっと思っていたんですけど、子供たちが歌ってくれたということでそれに少し近づけた気がして。ものすごく感動した思い出があります。
5周年は産みの苦しみを味わった1年
──2010年にはシングル「初恋」が初めてオリコンウィークリーチャートTOP10入りするという大きなトピックがありました。
その頃「奥華子の失恋ソングは泣ける」みたいな声が大きくなっていたので、じゃあ究極の失恋ソングを作ろうと思ってできたのが「初恋」だったんです。それがオリコン10位という結果となって認めてもらえたことが大きな自信になりましたね。自分以上にポニーキャニオンの人とかファンの方とか、みんなが喜んでくれたのもすごく記憶に残ってます。「ああ、チャートっていうのも大事なんだな」って思いました(笑)。
──しかも5周年という節目のタイミングでしたしね。
そうでしたね。ただ、5周年を振り返ると「うたかた」というアルバムで味わった産みの苦しみを思い出しちゃいますね(笑)。本当になかなかできなかったんですよ。そこを乗り越えられたことで、ちょっと吹っ切れた部分があった気もしますね、今思うと。
──どういう部分で吹っ切れたんですか?
そもそも曲を作ることは絶対的に簡単じゃないんだっていうことがわかったというか。「うたかた」のときは「なんでこんなにも曲ができないんだろう」って、どんどん自分を追いつめちゃってたところがあったんですよ。でも今なら例えば「good-bye」のようにほかの人の力を借りてみようかなとか、考え方に余裕が出てきたというかちょっと楽になったところがあるんです。そういう意味で2010年は重要な年だったと思いますね。
──そんな2010年の作品からは4曲がベストに収録されています。個人的には「トランプ」が入っていてすごくうれしかったです。
ああ、良かった。当時も「トランプ」が好きって言ってくれてましたよね。
──うん。
こないだの全国ツアーで質問コーナーをやったとき、「自分の曲で一番好きな曲はなんですか?」って訊かれたんですよ。そこで私は「トランプ」って答えたんです。もちろんほかにも好きな曲はいっぱいあるんですけど、この曲は歌詞が納得できる仕上がりだなっていうのがあるんですよね。超自己満足なんですけど(笑)。
──具体的に言うと?
「ジョーカー」っていう言葉をすごくうまく使えたと思うし、あとはこの曲に出てくるようなちょっと切ない「僕」っていうのがいいなって(笑)。
──ああ、それはすごくわかります。奥さんはそういう「僕」を描くのが上手ですよね。
なんかね、好きなんですよね。だからベストにも入れちゃいました。
- ベストアルバム「奥華子BEST -My Letters-」 / 2012年10月17日発売 / ポニーキャニオン
- ベストアルバム「奥華子BEST -My Letters-」HANAKO BOX [CD3枚組+DVD2枚組+フォトブック+グッズ] 8750円 / PCCA-03693
- ベストアルバム「奥華子BEST -My Letters-」Special Edition [CD3枚組+DVD] 4900円 / PCCA-03692
- ベストアルバム「奥華子BEST -My Letters-」通常盤 [CD2枚組] 3300円 / PCCA-03691
DISC1 CD収録曲
- ガーネット
- 魔法の人
- 恋(2012 Arrange version)
- 最終電車
- 変わらないもの
- シンデレラ
- 秘密の宝物
- トランプ
- 夕立
- 透明傘
- あなたに好きと言われたい
- 一番星
- 僕の知らない君
- 最後の恋
- 初恋
DISC2 CD収録曲
- やさしい花
- しあわせの鏡
- Birthday
- 笑って笑って
- 帰っておいで
- 迷路
- 君の笑顔
- 二人記念日
- Happy days
- タイムカード
- 手紙
- そんな風にしか言えないけど
- 愛を見つけた場所
- 元気でいてね(2012 Acoustic version)
- 明日咲く花
HANAKO BOX / Special Edition
DISC3 CD収録曲
- 押し花
- 月光
- それぞれ
- つながる場所 -野音の歌-
- 小さな輝き -a song for Borneo-
- どさん子華子のうた
- 働くネコ
HANAKO BOX / Special Edition
DISC4 DVD収録内容
- 魔法の人
- ガーネット
- 小さな星
- 手紙
- 初恋
- シンデレラ
HANAKO BOX
DISC5 DVD収録内容
- 路上ライブ
- ギター弾き語り? 「私を振った男達日本北上 17連発!」
- 花火(60秒PV)
- My Letters(レコーディング風景)
- 裸眼でトーク!
「奥華子2013 LIVEツアー」決定!
弾き語りとバンドライブで1日2回公演!
<昼公演> 奥華子 弾き語り 2013 Last Letter
<夜公演> 奥華子 BAND LIVE TOUR 2013
- 2013年1月12日(土)大阪府 Zepp Namba OSAKA
- 2013年1月14日(月・祝)神奈川県 横浜BLITZ
- 2013年1月19日(土)東京都 Zepp Tokyo
- 2013年1月26日(土)北海道 Zepp Sapporo
- 2013年2月16日(土)福岡県 Zepp Fukuoka
- 2013年2月24日(日)愛知県 Zepp Nagoya
奥華子(おくはなこ)
“10万人が足を止めた魔法の声”と称されるシンガーソングライター。キーボード弾き語りによる駅前路上ライブを2004年に渋谷でスタートさせる。1年間に2万枚の自主制作CDを手売りするなどの驚異的な集客力が話題となり、2005年7月にシングル「やさしい花」でメジャーデビュー。2006年には劇場版アニメ「時をかける少女」の主題歌に「ガーネット」、挿入歌に「変わらないもの」が起用されスマッシュヒットとなる。2010年3月発売のシングル「初恋」は自身初のオリコンウィークリーチャート初登場10位を記録。2011年4月には東日本大震災を受け制作された新曲「君の笑顔」をデジタル配信。この楽曲の収益全額は被災者および被災地の復興支援、そして今後必要とされる活動のために寄付された。グランドピアノとキーボードのみで行う全国弾き語りツアーは2012年で5度目を迎え、自身最多の全国44公演を成功させた。これまでにシングル12枚アルバム6枚を発表。CMソングも多く手がけており、まっすぐに届く歌詞と歌声は老若男女、年齢を問わず幅広い世代からの支持を集めている。10月には初のベストアルバム「奥華子BEST -My Letters-」をリリース。