ナタリー PowerPush - 奥華子
初ベストを通じて振り返る7年間の軌跡
今年7月でメジャーデビュー7周年を迎えた奥華子が、初めてのベストアルバム「奥華子BEST -My Letters-」をリリースした。ファン投票を元に自らがセレクトした全30曲は「恋のうた」「愛のうた」と題された2枚のディスクにまとめられ、その活動の歴史と彼女の歌が持つ魅力を改めて堪能できる仕上がりとなっている。また通常盤に加えてラインナップされるスペシャル盤とBOX盤には、未収録曲7編を収めたボーナスCDやPV集DVDなど、さまざまなアイテムも同梱。並々ならぬ思いを注いで作り上げられた本作は、奥華子からの愛情がたっぷりと詰まった、まさに豪華な“手紙”だ。
活動の節目を華やかに飾り、未来につながる重要なマイルストーンとなるであろう本作のリリースを記念し、ナタリーでは彼女へのインタビューを実施。ベストアルバムに込めた思い、そして7年の活動でのさまざまな思い出についてたっぷりと語ってもらった。
取材・文 / もりひでゆき
シングルコレクションじゃ全然意味がなかった
──初のベストアルバムは2枚組、全30曲の大ボリューム作となりましたね。
はじめはペロッと1枚で出そうと思ってたんですけど、これも入れたい、あれも入れたいって言ってるうちに全然入りきらなくなっちゃって。私の曲は1曲がすごく長いので、1枚に入っても最大15曲なんですよね。そうなるとシングル曲に、ほかの曲をちょっと加えたらもういっぱいになってしまうので、それだったらベストを出す意味がないなって思ったんです。で、どんどん広げていった結果、3形態でリリースすることなりました(笑)。
──奥さんにとってベストを出す意味とは?
最近、若い層のお客さんがすごく増えたんですよ。で、お手紙をいただくと「全部YouTubeで聴いてます!」とか「奥華子の失恋ソングが好きです!」とか書いてくれる子が本当に多いんです。でも私としては、失恋ソング以外にもいろんな曲があるのになっていう思いもあったので、そういう曲を全部まとめたベストを出したらどうかな、そうすれば今までCDを手にしていなかった人にも届くんじゃないかなって思ったんです。それがベストを出す一番の意味というか、きっかけになった思いでしたね。
──そういう思いがあれば、このボリュームになったことにも納得ですよね。
そうそう。シングルコレクションじゃ全然意味がなかったというか。ただ、30曲に絞るのも実際はかなり大変だったので、ファンの人に好きな曲を投票してもらって、それを元に収録曲を決めていったんです。結果として、みんなが選んでくれた曲は自分が入れたいなと思っていた曲とほとんど一緒でしたね。そこにランキングには入ってこなかったけど私が個人的に好きな曲とか思い入れが強い曲とかを加えていった感じです。
私は再録音をあまりしたくないタイプ
──今回「恋」と「元気でいてね」の2曲を再レコーディングして収録したのはどうしてですか?
私は再録音をあまりしたくないタイプなんですよ。たとえ歌が幼かったり、もっといい歌が歌えるなって思ったとしても、一度録音した形がその曲の全てだと思っているので。ただ「恋」という曲は最近のライブで歌い方がかなり変わってるんです。具体的に言うと、サビ前の「好きなのに……」のところを今はだいぶ溜めて歌ってるんですね。なので、昔のままの状態で入れるとちょっと違和感があるかなと思ったんです。あとはファン投票ではトップにくるくらい人気のある曲でもあるので、元々の弾き語りからちょっと豪華なアレンジにしてあげようかなって。
──「元気でいてね」のほうは?
ベスト盤を出せるということは応援してくれるみんながいたからだし、1曲1曲がみんなとの記録でもあると思うんです。なので、ファンの人へのメッセージソングとして特別な思いのあるこの曲は改めて録音して入れてもいいんじゃないかなって思ったんです。前回のツアーのアンコールでは初めてマイクを使わずにアカペラで歌って、すごく大きな反響をいただけたので、アカペラで再録することも考えたんですけど、ちょっと自分よがりになっちゃうかなと思ったので、シンプルなアコースティックスタイルで録音してみました。
ボーナスCDは奥華子色がより濃い内容
──またスペシャル盤とBOX盤には過去の作品への未収録曲7曲を収録したDISC 3も同梱されます。これ、ファンにとってはかなりうれしいですよね。
こういうタイミングでしかなかなか出せない曲たちなので、自分としても収録できて良かったなって思いますね。「月光」と「押し花」はインディーズ時代からずっと温めていた大切な曲だし、ほかにもいろんな企画で作った曲、ラジオでリスナーさんと一緒に作った曲が入ってます。
──7曲中5曲は今回のタイミングで新録されたそうですね。
はい。「押し花」のストリングス以外はアレンジも自分でやったんですよね。「小さな輝き -a song for Borneo-」では自分で太鼓を叩いたり、ミックスまでやってみたり。そこはボーナスCDならではというか、いろいろ自由に楽しんで作業することができました。ある意味、奥華子色がより濃い内容になってると思います。
──今回ベストアルバムを制作することで、ご自身の活動の歴史をたっぷり振り返ることができたんじゃないですか?
振り返れましたねえ。しみじみしちゃいましたよ。BOX盤に付くヒストリーフォトブックの写真は全部自分で選んだんですけど、何万枚とある写真を眺めていると「こんなことあったなあ」とか「うわ、痩せてる!」とか(笑)、いろいろな思いが湧き上がってきて。あとは、マスタリングのときに収録される曲たちを全部1人で聴いてみたんですけど、そこで「一生懸命、曲を作ってきたんだなあ」ってものすごく感じることができたんですよ。それはなんかうれしかったですね。
- ベストアルバム「奥華子BEST -My Letters-」 / 2012年10月17日発売 / ポニーキャニオン
- ベストアルバム「奥華子BEST -My Letters-」HANAKO BOX [CD3枚組+DVD2枚組+フォトブック+グッズ] 8750円 / PCCA-03693
- ベストアルバム「奥華子BEST -My Letters-」Special Edition [CD3枚組+DVD] 4900円 / PCCA-03692
- ベストアルバム「奥華子BEST -My Letters-」通常盤 [CD2枚組] 3300円 / PCCA-03691
DISC1 CD収録曲
- ガーネット
- 魔法の人
- 恋(2012 Arrange version)
- 最終電車
- 変わらないもの
- シンデレラ
- 秘密の宝物
- トランプ
- 夕立
- 透明傘
- あなたに好きと言われたい
- 一番星
- 僕の知らない君
- 最後の恋
- 初恋
DISC2 CD収録曲
- やさしい花
- しあわせの鏡
- Birthday
- 笑って笑って
- 帰っておいで
- 迷路
- 君の笑顔
- 二人記念日
- Happy days
- タイムカード
- 手紙
- そんな風にしか言えないけど
- 愛を見つけた場所
- 元気でいてね(2012 Acoustic version)
- 明日咲く花
HANAKO BOX / Special Edition
DISC3 CD収録曲
- 押し花
- 月光
- それぞれ
- つながる場所 -野音の歌-
- 小さな輝き -a song for Borneo-
- どさん子華子のうた
- 働くネコ
HANAKO BOX / Special Edition
DISC4 DVD収録内容
- 魔法の人
- ガーネット
- 小さな星
- 手紙
- 初恋
- シンデレラ
HANAKO BOX
DISC5 DVD収録内容
- 路上ライブ
- ギター弾き語り? 「私を振った男達日本北上 17連発!」
- 花火(60秒PV)
- My Letters(レコーディング風景)
- 裸眼でトーク!
「奥華子2013 LIVEツアー」決定!
弾き語りとバンドライブで1日2回公演!
<昼公演> 奥華子 弾き語り 2013 Last Letter
<夜公演> 奥華子 BAND LIVE TOUR 2013
- 2013年1月12日(土)大阪府 Zepp Namba OSAKA
- 2013年1月14日(月・祝)神奈川県 横浜BLITZ
- 2013年1月19日(土)東京都 Zepp Tokyo
- 2013年1月26日(土)北海道 Zepp Sapporo
- 2013年2月16日(土)福岡県 Zepp Fukuoka
- 2013年2月24日(日)愛知県 Zepp Nagoya
奥華子(おくはなこ)
“10万人が足を止めた魔法の声”と称されるシンガーソングライター。キーボード弾き語りによる駅前路上ライブを2004年に渋谷でスタートさせる。1年間に2万枚の自主制作CDを手売りするなどの驚異的な集客力が話題となり、2005年7月にシングル「やさしい花」でメジャーデビュー。2006年には劇場版アニメ「時をかける少女」の主題歌に「ガーネット」、挿入歌に「変わらないもの」が起用されスマッシュヒットとなる。2010年3月発売のシングル「初恋」は自身初のオリコンウィークリーチャート初登場10位を記録。2011年4月には東日本大震災を受け制作された新曲「君の笑顔」をデジタル配信。この楽曲の収益全額は被災者および被災地の復興支援、そして今後必要とされる活動のために寄付された。グランドピアノとキーボードのみで行う全国弾き語りツアーは2012年で5度目を迎え、自身最多の全国44公演を成功させた。これまでにシングル12枚アルバム6枚を発表。CMソングも多く手がけており、まっすぐに届く歌詞と歌声は老若男女、年齢を問わず幅広い世代からの支持を集めている。10月には初のベストアルバム「奥華子BEST -My Letters-」をリリース。