ナタリー PowerPush - 大橋トリオ
“グリーンアコースティック”を奏でる好評カバーシリーズ第2弾
すべての人の耳を、心地良い歌声と時間で包み込むグッドミュージックを歌い奏でる大橋トリオが、2010年にリリースしたカバー集「FAKE BOOK」の第2弾となる「FAKE BOOK II」を発表する。
前作のテーマが原曲のイメージを覆した「贈る言葉」に代表される意外性なら、今回のテーマは“大橋トリオが歌うなら”。1960年代から2000年代の洋楽ヒット曲を題材に、緑に囲まれた郊外の自宅スタジオにて録音&ミックスされた“グリーンアコースティック”なハンドメイド作品だ。シンプルでオーガニックな歌世界が感じられる1枚に仕上がった。
取材・文/早川加奈子
幅広い人に音楽を聴いてもらえるのはうれしい
──先日放送されたフジテレビ系「SMAP×SMAP」での「旅立ちの日に」と「贈る言葉」のSMAPとの共演、拝見しました。トークシーンがなかったのがちょっと残念でしたけど。
卒業シーズンだからってことで歌うことになったんですけど、SMAPのような国民的存在の方たちと歌うっていうのはもう、あり得ないことっていうか。光栄の一言ですよね。
──確かにそうですね。
あんまり「俺を見ろ」みたいな人間じゃないんで、テレビに出ること自体は得意じゃないんですけど、テレビで歌うってことはたくさんの人に観てもらえるってことだし。そこから幅広い人に音楽を聴いてもらえたら、それは純粋にうれしいことですからね。
──そんな中、カバーアルバム第2弾「FAKE BOOK II」が完成しました。
僕自身、そろそろまたカバーをやりたいなと思っていたんです。そうすると、周りは話題性のある曲のカバーを求めるじゃないですか。だから最初は意外性のある曲ばかりリクエストされたんですけど、その期待感がどうもしっくりこなくて(笑)。前回の「贈る言葉」とかはほんと、偶然できたものだから。それに、話題性とかそういうことじゃなくて、ミュージシャンとして面白いことをしたいと思うんですよね。
──そうすると、今回のカバー曲はどんなを基準で選ばれたんですか?
みんなが知ってる曲であることと、その中で自分がやってみたいなって思う曲って感じで選びましたね。そしたら自然と全部洋楽になっちゃったんですけど、そこに狙いはなくて。やりたいなぁと思って探したらこうなったって感じですね。もちろん全部自分がセレクトした曲ってわけじゃないんですけどね。
「声だけこのアーティストで聴きたいな」というカバー
──例えば、AEROSMITHはスタッフ側からの提案だったり?
や、AEROSMITHは自分です。高校生のころ、ロックバンドをやっていたこともあるんで、AEROSMITHはわりと好きですね。あと、YouTubeでいろんなビデオクリップを見てて、この曲を聴いたときに面白いアレンジを思いついたんで、これは面白くなるかもと思って。
──アレンジで気をつけた点はあります?
わりと最初に思いついたまま。ただ、楽器はあんまり入れないようにはしましたね。ギターは入れてなくて、ピアノ、ベース、ドラムだけですね。
──SADEの「Kiss Of LIfe」は、大橋さんとSADEに、ジャズやソウルをバックグラウンドに持つという共通項がある分、どう自分流にアレンジするかかなり工夫されたんじゃないですか?
まぁ、どう違うのかなって思いつつ「や、全然違うから」って自分に言い聞かせながら(笑)。今回はわりと全体的にそんな感じなんですよね。原曲とがらっと違う感じじゃないというか。前回は、いかに原曲と違うアレンジにするかをすごい意識したんですよ。でも今回はそれはもういいやって。実際、カバーアルバムを聴くときに、声だけこのアーティストで聴きたいなっていう場合があるんですよ。今回そういうアーティストの曲ばかり選んだわけじゃないんですけど、「誰が歌ってるか」をポイントにしたカバーもありかなと。何曲かはがらっとアレンジを変えてるから、意地張って全部そうすることもないかなって。
CD収録曲
- ANGEL(AEROSMITH)
- Kiss Of Life(SADE)
- CALFORNIA DREAMIN'(THE MAMAS & THE PAPAS)
- You Gotta Be(デズリー)
- Heartbeat(TAHITI 80)
- MY CHERIE AMOUR(スティーヴィー・ワンダー)
- The Man Who Sold The World(デヴィッド・ボウイ)
- If I Ain't Got You(アリシア・キーズ)
大橋トリオ(おおはしとりお)
マルチプレイヤー大橋好規によるソロプロジェクト。 音楽大学を卒業後、2003年に映画「この世の外へ クラブ進駐軍」にピアノ演奏とビッグバンドアレンジで参加。その後も映画やCMの音楽制作や楽曲提供、サポート演奏などで幅広く活躍する。2007年に大橋トリオ名義のアルバム「PRETAPOTER」、2008年に「THIS IS MUSIC」をリリース。「THIS IS MUSIC」は第1回CDショップ大賞で準大賞に選出され、大きな話題を呼んだ。2009年5月にミニアルバム「A BIRD」でメジャーデビュー。2010年3月には初のカバーアルバム「FAKE BOOK」で幅広いジャンルの名曲に挑戦した。同年夏には「GREENROOM FESTIVAL 10」「WORLDHAPINESS 2010」などの野外フェスにも出演し、多くのファンを獲得。2011年3月、カバーアルバム第2弾となる「FAKE BOOK II」をリリースする。