音楽ナタリー Power Push - 大原ゆい子
映画主題歌で歌手デビュー 注目シンガーソングライターの音楽履歴書
魔法学校に通う仲良し3人組のドタバタを描く本日10月9日公開のアニメ映画「リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード」。この作品の主題歌「Magic Parade」を、新人シンガーソングライターの大原ゆい子が歌っている。彼女はこの作品の主題歌オーディションで抜擢された存在で、10月7日に「Magic Parade」を表題曲としたシングルでCDデビューした。このデビューシングルのリリースを記念して、音楽ナタリーでは彼女にインタビューを実施。さまざまな音楽体験をした幼少期からオーディションでデビューを勝ち取った現在まで、彼女の歩んできた道のりを辿った。
取材・文 / 三橋あずみ 撮影 / 小坂茂雄
歌うことが好きだった
──大原さんは小さい頃から音楽に触れていたと伺いました。
そうなんです。3歳のときに両親が音楽教室のミュージカルコースに私を入れてくれて、そこで歌うことが好きになりました。その教室ではエレクトーンも習って、エレクトーンは小学生の頃まで続けていましたね。
──歌とエレクトーンを習っていたんですね。
はい。でもエレクトーンの個人レッスンが嫌いすぎて、個人レッスンは「お腹痛い」って言って休んでグループレッスンだけ受けたりしていました(笑)。そのときから歌うことのほうが好きだったから、発表会でも歌を担当することが多かったです。自分からアピールして。
──ご両親から、音楽教室に入れてくれた理由を聞いたことはありますか?
ちゃんと聞いたことはないけど、2人とも音楽好きだからかな? 父がずっと趣味でドラムをやっていて、母もピアノを弾けるので。あと、小さい頃は車の中でずっとユーミンさんの曲が流れていたのを覚えています。そのときに聴いて好きになった曲は、今でもずっと聴いていますね。
──そうなんですね。そうして、小学校5年生からはバイオリンを始めたんですよね?
はい。小学校4年生のときに愛知から千葉の船橋市に引っ越したんですけど、船橋市は音楽が盛んで、「オーケストラ部」っていう部活がいろんな学校にあるんです。私が入った学校にもオーケストラ部があって、ほとんどの子が入部していたので私も入りました。本当はパーカッションや金管楽器がやりたかったんですけど、先生に「あなたはバイオリンね」って言われてバイオリンのパートになって。
──バイオリンに触れてみて、いかがでしたか?
バイオリンは練習が楽しくて、まったく苦にならなかったです。中学に進学しても、そのままオーケストラ部でバイオリンを続けました。
表現することの楽しさを実感できた
──常に音楽に触れている中で、大原さんが歌手になりたいと本格的に思ったのはいつ頃だったんですか?
中学生のときにMDプレーヤーを買ってもらって、そこから頻繁に音楽を聴くようになったんです。歌手になりたいと思ったのはその頃かもしれません。昔よく両親と聴いていたユーミンさんやスピッツさん、サザンオールスターズさんなどの曲を聴き返して……私、そのときに「この人たちは自分で曲を作って歌っているんだ」っていうことを初めて知ったんです(笑)。それから「シンガーソングライターになりたい」って思うようになって、家にあったギターでいろんな曲を弾き語りするようになりました。
──大原さんはご両親が好きな音楽に大きな影響を受けているんですね。
そうですね。その中でも特に坂本九さんの歌がすごく好きで、「自分もこういう曲を作って歌えるようになりたい」ってずっと思っています。
──ちなみに、そのギターはお父さんのもの?
母のものですね。母は松山千春さんが好きで、その影響でギターを買ったみたいです。
──じゃあ、弾き方もお母さんに教わって?
いえ、誰にも教えてもらわなかったんです。とりあえずギターの教則本を買って、見様見真似で自分の好きな曲を弾いてみたりしていました。
──そうだったんですね。ギター、すぐに上達しましたか?
いや、全然しなかったですね。私練習が嫌いなんで……「弾けている」っていう気持ちだけで手をなんとなく動かしながら、歌を歌っていました(笑)。
──では中学時代は部活をやりつつ、家ではギターを弾きつつ……という感じ?
そうですね。でもギターはほとんど遊びみたいな感じでした。部活がとても忙しかったから。
──オーケストラ部での経験は、今の大原さんにどのような影響を与えていますか?
表現することの楽しさを実感できたのは、本当にこの部活動のおかげだと思っています。自分の中で、本当に大事な経験です。
──その中でも特に思い出に残っているような出来事ってありますか?
小さい頃から明るい曲が好きだったんですけど、中学校1年生でマーラーの「交響曲第5番」を弾いたときに、この曲がすごく心に残って。それがお葬式の曲(葬送行進曲)だっていうことを先生に教えてもらってから、自分でこの楽曲について調べていったんです。自分が作曲を始めてからは、悲しい曲を書くことが多いから……たぶんオーケストラ部で出会ったこのマーラーの曲に、自分はすごく影響を受けているなって思います。
──作曲を始めたのはいつ頃なんですか?
高校生のときですね。作曲の方法は全然わからなかったけど、「コードを分解すればいいのかな?」っていう認識で1曲だけ書きました。本格的に作り始めたのは、音楽の専門学校に入ってからです。
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- メジャーデビューシングル「Magic Parade」2015年10月7日発売 / 1296円 / TOHO animation RECORDS / THCS-60079 / Amazon.co.jp
- 「Magic Parade」
収録曲
- Magic Parade
- 世界のどこかで
- 星に雲に揺れる木々に
- Magic Parade(Instrumental)
- 世界のどこかで(Instrumental)
- 星に雲に揺れる木々に(Instrumental)
映画「リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード」2015年10月9日公開
幼い頃に観た魔女・シャイニィシャリオのショーで魔法の魅力に取り憑かれて、ヨーロッパの魔女育成名門校「ルーナノヴァ魔法学校」に入学したアッコ。しかし彼女は、いまだにホウキにも乗れないどころか、授業でも騒動ばかり起こしている。そんなアッコと友人で世話役のロッテ、皮肉屋のスーシィの3人は、罰として魔女狩りの歴史を再現したパレードに参加させられることに。同じく問題児グループのアマンダたち3人と一緒にパレードを成功させなければ、落第決定。しかしどうせなら思いっきりハッピーなパレードにしたい! そう考えたアッコたちの、街全体を巻き込んだ魔法仕掛けのパレードが動きだす。
スタッフ
監督・キャラクターデザイン・作画監督:吉成曜
脚本:島田満
美術監督:金子雄司
音響監督:渡辺淳
音楽:大島ミチル
キャスト
潘めぐみ
折笠富美子
村瀬迪与
日笠陽子
志田有彩
村川梨衣
上田麗奈
日高のり子
大原ゆい子(オオハラユイコ)
2月5日生まれ、千葉県出身。3歳から音楽教室に通い始めたことをきっかけに、歌や楽器の演奏に興味を持つ。小学校5年生からはバイオリンを、18歳からは音楽専門学校で作詞作曲を学び、2012年から都内のライブハウスを中心にライブ活動を本格的に行う。2015年10月公開のアニメ映画「リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード」の主題歌オーディションに合格し10月7日発売のシングル「Magic Parade」でデビューを果たす。