音楽ナタリー Power Push - 小倉唯

二十歳のポジティブメッセージ

ワンマンツアーで“小倉唯のライブ”を作り上げていく

──そのハイタッチ会を経て、7月から初のワンマンツアー「High-Touch☆Summer」が始まります。意気込みのほどは?

ちょっと話がさかのぼるんですけど、去年の7月の初ワンマンライブが、いきなりパシフィコ横浜という、すごく大きなステージだったんですね(参照:小倉唯、パシフィコいっぱいに“HAPPY”詰め込んだ初ワンマン)。これは壁を乗り越えるというより、自分としては壁にぶち当たりにいった感じだったんです。10代最後のライブだったということもあって、そのときの自分ができる最高の、全力のパフォーマンスをみんなにぶつけて、当たって砕けろみたいな。

──文字通り、“10代の小倉唯の集大成”的なライブになりました。

ただ、あのときはパフォーマンスをするだけで精一杯だったとも思うんですね。それまでも、例えばゆいかおりでも大会場でのライブは経験していて、それこそパシフィコ横浜でライブをしたこともあったので、リハーサルの時点では、心のどこかで「大丈夫だろう」と思っていたんです。でも、いざ本番となると、2人のときのステージとはまったくの別物だったんですよ。やっぱり、1人に対してお客さん全員のエネルギーが注がれるので。

──パシフィコに集まった5000人分の期待を1人で引き受けなきゃいけない。

その重みを受け止めつつ、かつそれに負けないように必死で、結果として自分を全部出し切れたと思うんです。そういう意味であの1stライブはほんとに貴重な体験だったんですけど、今度のツアーはその次のステップというか、このツアーを通して“小倉唯のライブ”というものができあがっていくわけですよね。だから、次はお客さんからもらったパワーに応えるだけじゃなくて、プラスアルファ何かを届けていければいいなと。そういうことも考えつつ、気持ちを大きく持って、より一体感のあるライブをみんなと一緒に作っていきたいです。

「越えられるハードルだから自分に回ってくる」

──今回も、スタートから幕張イベントホールという大きなハコで、しかも2DAYSです。

小倉唯

そうなんですよ。でも私は高いハードルが用意されたときって、「ヤバい、越えられないかも!」じゃなくて、「越えられるハードルだから自分に回ってくるんだ」って考えるんですよ。

──越えられないハードルだったらそもそも自分に回ってこないと。

ある意味で試されているというか、自分にクリアできる可能性があるからこそ、そういう状況になるんだなって。今回のツアーも自分にとって大きな壁なんですけど、それを乗り越えればファンの皆さんとの結束力も強まるはずですし、純粋に1人で地方を回るっていうことに対するワクワク感もあります。

──千葉を皮切りに、愛知と大阪を回って、ツアーファイナルは小倉さんの誕生日の前日にあたる8月14日で、しかも故郷の群馬に凱旋という。

そうなんです。だから本当に、ベタすぎる表現ですけど「今年の夏も暑くなりそうだぜ!」みたいな(笑)。

あえて「なりたい自分」を想定しない生き方

──ここまでお話を伺う限り、小倉さんはご自身の活動に対する態度が一貫してますよね。そうやって目の前の壁を1つひとつ乗り越えていった先にある、“小倉唯の完成形”みたいなものは想定してるんですか?

「唯ちゃんはどこに向かってるの?」「目標はあるの?」みたいなことをよく聞かれるんですけど、私はあえて目標らしい目標は作っていないというか。例えば、私は尊敬してる人はたくさんいるんですけど、結局自分は自分だから「あの人みたいになりたい」とは思っていなくて、その尊敬する人たちから学んだことを糧に自分を表現していくのが大事なんじゃないかと思っています。なので、なりたい自分像っていうのは、本当に未知なんですよ。

──「なりたい自分像」がないから、逆に何にでもなれるみたいな?

そういうことかもしれませんね。まず自分の手の届く範囲で、地道に小さな目標を達成していった先に、また次の目標が見えてくるというか、そうやってステップアップしていくうちに、自分でも想像もつかなかったような自分になれたらいいなと思っているので。逆に、今から「なりたい自分」を決めてしまうと、仮にそうなったときに自分が空っぽになりそうな気がして。

──なるほど。最終目標を定めてしまうと、達成できたときにその先がなくなってしまう。

はい。それよりは、目の前のことを一所懸命やって、あとから結果がついてくればいいなって。

──今「目標を達成できたら自分が空っぽになる」という意味のことをおっしゃいましたが、人によっては「目標を達成できなかったらがっかりする」って考えると思んですよね。でも小倉さんは、達成することを前提に考えている。そこも、やっぱりポジティブなんだなって。

言われてみればそうですね。

──過去に小倉さんが声優として出演なさったアニメ「ヤマノススメ」じゃないですけど、登山に例えるなら、自分は今どのくらいの標高の山を登ってるかわからないし、登頂した自分も想定してないけど、とにかく登るのだと。

そうそう。あと、「この山を登ろう」って決めてしまうと、アプローチの仕方も限定されちゃうじゃないですか。それって、別の山の、もっと高いところまで登れたかもしれない可能性を捨てちゃうことになるんじゃないかなって。まあ、今の山をちゃんと登れてるかどうかは、あとになってわかることなんですけど(笑)。

ニューシングル「ハイタッチ☆︎メモリー」2016年5月18日発売 / KING RECORDS
期間限定盤[CD+DVD] 1944円 / KICM-91667
通常盤[CD] 1296円 / KICM-1668
期間限定盤CD収録曲
  1. ハイタッチ☆メモリー
    [作詞:ワタナベハジメ / 作曲:高尾奏之介 / 編曲:奈良悠樹]
  2. TO BE ALIVE
    [作詞:磯谷佳江 / 作曲:駒形めぐみ(Puresound)/ 編曲:菊谷知樹]
  3. ハイタッチ☆メモリー(off vocal ver.)
  4. TO BE ALIVE(off vocal ver.)
通常盤CD収録曲
  1. ハイタッチ☆メモリー
  2. TO BE ALIVE
  3. ハイタッチ☆メモリー(TV size)
  4. TO BE ALIVE(GAME size)
  5. ハイタッチ☆メモリー(off vocal ver.)
  6. TO BE ALIVE(off vocal ver.)
期間限定盤DVD収録内容
  • 「ハイタッチ☆メモリー」MUSIC VIDEO
  • MAKING
公演情報
小倉唯 1st LIVE TOUR「High-Touch☆Summer」
  • 2016年7月9日(土)千葉県 幕張イベントホール
  • 2016年7月10日(日)千葉県 幕張イベントホール
  • 2016年7月17日(日)愛知県 一宮市民会館
  • 2016年8月6日(土)大阪府 オリックス劇場
  • 2016年8月14日(日)群馬県 桐生市市民文化会館 シルクホール

料金:全席指定 6900円(全公演共通)
※未就学児童入場不可
一般発売:2016年6月18日(土)

小倉唯(オグラユイ)
小倉唯

1995年群馬県生まれの声優、アーティスト。2009年に14歳で声優デビューし、2011年「神様のメモ帳」のアリス役、「ロウきゅーぶ!」の袴田ひなた役で大きな注目を集め、以来、毎シーズン放映のアニメの主要キャラを演じるように。また2010年に石原夏織と結成したユニット・ゆいかおりでメジャーデビューを果たし、2011年には「ロウきゅーぶ!」の出演声優ユニット・RO-KYU-BU!で歌った楽曲の数々がスマッシュヒットを記録するなど、声優業と並行して積極的に音楽活動も展開している。2012年にはシングル「Raise」でソロデビュー。以降アニメ「変態王子と笑わない猫。」のエンディングテーマ「Baby Sweet Berry Love」や、「最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。」のエンディングテーマ「Charming Do!」など、話題のアニメのテーマソングを発表している。2015年3月にはソロデビュー3年目にして初のフルアルバム「Strawberry JAM」をリリースし、7月には神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで初のワンマンライブを開催した。2016年5月には通算6枚目のシングル「ハイタッチ☆メモリー」をリリース。7~8月には初のワンマンツアー「小倉唯 1st LIVE TOUR『High-Touch☆Summer』」を行う。