音楽ナタリー Power Push - 小倉唯

二十歳のポジティブメッセージ

小倉唯がニューシングル「ハイタッチ☆メモリー」を、5月18日にリリースする。表題曲はアニメ「カードファイト!! ヴァンガードG ストライドゲート編」のエンディングテーマに採用された、本人いわく「はっちゃけ元気」なポップチューン。一方、カップリング曲「TO BE ALIVE」はPlayStation 4 / PlayStation Vita用ゲーム「サモンナイト6 失われた境界たち」の主題歌で、こちらはバイオリンがフィーチャーされたメロディアスなロックナンバーとなっている。

好対照をなす2曲だが、いずれの曲の歌詞にも非常に“前向き”なメッセージが込められており、それは20歳を迎えた小倉の決意表明にも見える。インタビューではそんなニューシングルの聴きどころはもちろん、7月から始まる初のワンマンツアーへの意気込み、さらには今後のキャリアについても語ってもらった。

取材・文 / 須藤輝

「20歳の小倉唯」を実感するのに時間がかかった

──今回のニューシングルは、昨年8月15日に20歳の誕生日を迎えられた小倉さんにとって、20代で最初のリリースになりますね。

小倉唯

そうなんです。だけど曲としては、20歳になったのをきっかけに、例えば「大人っぽい表現をしてみました」みたいなものにはなっていないんですよ。自分が20歳になったのを実感するようになったのって、実はわりと最近のことだったりして……。

──なかなか10代気分が抜けなかった?

はい。10代のときからお仕事をしてきて、私自身もずっとその感覚でいたので、例えば「お酒を飲むのはいけないことなんだ」みたいな常識が長らく自分の中に定着してたんです。それを破るというか、「飲んでもいいんだ」って納得するのにすごく時間がかかって。だから今回のシングルも「20歳になった小倉唯です」というよりは、10代で培ってきたものを最大限に生かした、10代の延長にあるありのままの小倉唯を表現できるシングルになればいいなと思って作りました。

──表題曲「ハイタッチ☆メモリー」の歌詞に「次のステージへ」「扉開けて 駆け出せ迷わずに」といった一節が見られたので、20歳になった小倉さんの、ある種の決意表明なのかなと思ったのですが。

もちろん、私自身がファンの皆さんと一緒に「次のステージ」に進みたいっていう気持ちは大いにあります。ただ、この曲はアニメ「カードファイト!! ヴァンガードG ストライドゲート編」のエンディングテーマでもあるんですよね。歌詞も作品に沿った内容になっていて、「扉開けて」も作品タイトルの「ゲート」にちなんだものだったり。あと、このアニメは日曜日の朝に放送されるので、その気だるさを吹き飛ばすような、思わず外に駆け出したくなるような曲にしようと。

──あまり遊びのない、ストレートなポップソングになっていますね。路線としては、4thシングル「Tinkling Smile」(2014年8月発売)に近いような。

ストレートな曲という意味ではそうですね。でも「Tinkling Smile」はちょっと大人っぽさもあるので、それと比べると「ハイタッチ☆メモリー」はもっとはっちゃけた感じ。すごくキラキラしててキャッチーなんだけど、甘すぎないというか。自分としてはかわいらしさより、さわやかさや元気さに重きを置いて歌いました。

──確かにミュージックビデオも徹頭徹尾さわやかで、元気いっぱいですね。

今回は初の海外ロケで、グアムで撮らせていただいたんですよ。なので曲調にもすごく合った、初夏を感じさせるようなMVになったと思います。ダンスシーンも、いつもはフリフリした衣装が多いんですけど、今回ははっちゃけ元気なナンバーということで、ショートパンツとサンバイザーでちょっとだけボーイッシュに。そういう部分にも注目していただけたらなと。

まさかの少年向けバトルアニメのタイアップ

──先ほど「アニメのエンディングテーマ」という話が出ましたが、正直このタイアップは意外でした。少年向けの、しかもカードバトルアニメのエンディングテーマで。

私も意外でした! 候補の曲がいくつかあった中で、この「ハイタッチ☆メモリー」がダントツにポップで、私としても一番しっくりきたんですけど、これが少年向けアニメのエンディングテーマになるっていうのは最初は想像できなくて。

──アニメの第1話はご覧になりました?

はい。

──内容的には、だいぶ暗いですよね。「日曜朝の子供向けアニメなのに、1話からこんなにどんよりしてていいの?」っていうくらい。でも、そんな重たい雰囲気の本編が終了するや、スコーンと抜けたイントロが流れて……。

いっせーので君とだけ♪(笑)

──そう。そのギャップにずっこけるというか、ホッとするというか(笑)。

アニメの制作サイドの方々としては、そういう狙いもあったのかもしれませんね。曲選びのときも、そこまでタイアップを意識しすぎず、このくらいはっちゃけた曲調のほうがいいですって言ってくださったので。ストーリーがけっこうシリアスだから、あえてエンディングは明るく。

ニューシングル「ハイタッチ☆︎メモリー」2016年5月18日発売 / KING RECORDS
期間限定盤[CD+DVD] 1944円 / KICM-91667
通常盤[CD] 1296円 / KICM-1668
期間限定盤CD収録曲
  1. ハイタッチ☆メモリー
    [作詞:ワタナベハジメ / 作曲:高尾奏之介 / 編曲:奈良悠樹]
  2. TO BE ALIVE
    [作詞:磯谷佳江 / 作曲:駒形めぐみ(Puresound)/ 編曲:菊谷知樹]
  3. ハイタッチ☆メモリー(off vocal ver.)
  4. TO BE ALIVE(off vocal ver.)
通常盤CD収録曲
  1. ハイタッチ☆メモリー
  2. TO BE ALIVE
  3. ハイタッチ☆メモリー(TV size)
  4. TO BE ALIVE(GAME size)
  5. ハイタッチ☆メモリー(off vocal ver.)
  6. TO BE ALIVE(off vocal ver.)
期間限定盤DVD収録内容
  • 「ハイタッチ☆メモリー」MUSIC VIDEO
  • MAKING
公演情報
小倉唯 1st LIVE TOUR「High-Touch☆Summer」
  • 2016年7月9日(土)千葉県 幕張イベントホール
  • 2016年7月10日(日)千葉県 幕張イベントホール
  • 2016年7月17日(日)愛知県 一宮市民会館
  • 2016年8月6日(土)大阪府 オリックス劇場
  • 2016年8月14日(日)群馬県 桐生市市民文化会館 シルクホール

料金:全席指定 6900円(全公演共通)
※未就学児童入場不可
一般発売:2016年6月18日(土)

小倉唯(オグラユイ)
小倉唯

1995年群馬県生まれの声優、アーティスト。2009年に14歳で声優デビューし、2011年「神様のメモ帳」のアリス役、「ロウきゅーぶ!」の袴田ひなた役で大きな注目を集め、以来、毎シーズン放映のアニメの主要キャラを演じるように。また2010年に石原夏織と結成したユニット・ゆいかおりでメジャーデビューを果たし、2011年には「ロウきゅーぶ!」の出演声優ユニット・RO-KYU-BU!で歌った楽曲の数々がスマッシュヒットを記録するなど、声優業と並行して積極的に音楽活動も展開している。2012年にはシングル「Raise」でソロデビュー。以降アニメ「変態王子と笑わない猫。」のエンディングテーマ「Baby Sweet Berry Love」や、「最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。」のエンディングテーマ「Charming Do!」など、話題のアニメのテーマソングを発表している。2015年3月にはソロデビュー3年目にして初のフルアルバム「Strawberry JAM」をリリースし、7月には神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで初のワンマンライブを開催した。2016年5月には通算6枚目のシングル「ハイタッチ☆メモリー」をリリース。7~8月には初のワンマンツアー「小倉唯 1st LIVE TOUR『High-Touch☆Summer』」を行う。