音楽ナタリー PowerPush - 小倉唯
あらゆる可能性をモノにする“プリティモンスター”の誕生
なんなんだ!? 小倉唯って!
──ここまで追ってきたように小倉さんは2009年の声優デビュー以降、毎年目まぐるしくいろんな活動をしています。オールマイティになんにでも挑戦したいとは言っていたものの、ちょっとワーカホリックぎみというか(笑)。
確かに中学生から高校生くらいの頃は、いろんなものが嵐のように過ぎ去っていっているような感覚はありました(笑)。学校に行って授業を受けて、放課後はお仕事……それもいろんなお仕事をさせていただいていて。オールマイティにいろんなことをやりたかったから、それ自体はすごくうれしかったんですけど、やっぱり慌ただしかったですし、あとRO-KYU-BU!のときもホントにたくさんの方が応援してくださるのを見て「ここにホントに私もいるの?」「なんなんだ!? 小倉唯って!」って考えちゃったりもしてました。RO-KYU-BU!の次の年あたりからはちょっと落ち着けている気がするんですけど、あの頃は嵐のまっただ中でしたね(笑)。
──あっ、その後はけっこう落ち着いている? 2012年にはソロデビューもしているし、RO-KYU-BU!後も嵐のただ中にいるもんだと思ってました。
3年くらいのあいだに声優のお仕事を始めさせてもらって、ゆいかおりとしてメジャーデビューして、RO-KYU-BU!で大きなステージに出させてもらって……。当時はやっぱり大変だったんですけど、そういう経験があったからこそ「こういうことがあってもこうすれば大丈夫なんだな」って思えるくらいには落ち着きが出たのかなっていう気はしてます(笑)。
──じゃあ「ソロデビューしましょう」ってオファーがあったときはドーンッと構えていられた?
あっ、それにはビックリしました(笑)。「ゆくゆくはソロでも歌ってみたいな」「また新しい自分をどんどん切り拓いていきたいな」とは思っていたんですけど、まさかこんなに早くソロデビューの話があるとは思わなかったので。
──それこそ小倉さんのいう通り、ここまでのできごとってほんの3年のうちに起きたことですもんね。
しかもそれまでユニットで歌うことが多かったので、1人でどうすればいいんだろう?って考えちゃって。自分の責任ですべてのことができることにワクワクもしたんですけど、やっぱりちょっとプレッシャーは感じてました。
アニメと音楽、お互いがお互いにいい影響を与えたい
- 小倉唯/「Tinkling Smile」MUSIC VIDEO *short ver.
──そして今月ソロ4枚目のシングルとなる「Tinkling Smile」をリリースします。これまでの小倉さんのディスコグラフィを振り返ってみると変幻自在というか……。
それぞれバラエティに富んだ楽曲になってますよね(笑)。
──ですね。デビューシングル「Raise」からして、バトルシーンも多いアニメ「カンピオーネ! ~まつろわぬ神々と神殺しの魔王~」のエンディングテーマだっただけあって、パブリックイメージとしての小倉唯像からはちょっと想像も付かないカッコいい感じ、ともすれば雄々しい楽曲でしたし。
私自身「Raise」は「1枚目からインパクト強いなあ」って思ってました(笑)。今おっしゃったようなイメージで見られることが多かったので、皆さん驚くんじゃないかって。でもイメージを固めてしまうのもどうかと思っていたので、すごくいい挑戦をさせてもらったと思ってます。
──で、2ndの「Baby Sweet Berry Love」以降は一転、「Raise」のイメージを裏切り続けてますよね(笑)。「Baby Sweet Berry Love」はかわいらしいんだけどけっこうアタックの強いタフな楽曲だし、「Charming Do!」は意味やメッセージ性よりも、言葉の響きや音の鳴りを楽しむノベルティポップで。
ホントですよね(笑)。
──しかもこの小倉唯のディスコグラフィをさらにいい意味で複雑にしてくれているのが今回の「Tinkling Smile」なんですよね。すごくさわやかなギターポップをバックに、ちょうど小倉さんくらいの年頃の女の子同士の友情を高らかに歌うというド直球を放ってきたわけですから。
あはははは(笑)。今回「Tinkling Smile」がこういう曲になったのには、「ヤマノススメ セカンドシーズン」のエンディングテーマだからっていう大きな理由があって。曲のコンセプトはもちろんなんですけど、タイアップが付いているんだからアニメのコンセプトもすごく大事にしたいんです。で「ヤマノススメ」は友情の物語だから、そこに重きを置いて歌いたかったんです。
──タイアップものを歌うときは常にアニメのことを意識します?
そうですね。せっかくタイアップをいただいているなら、曲もアニメのイメージに合わせたほうが、アニメのファンの方も喜んでくださると思ってました。相乗効果のお話じゃないんですけど、CDを買ってくださる方の中には声優としての私を応援してくださる方もきっといらっしゃると思うので。「カンピオーネ!」や「ヤマノススメ」、ほかの2枚のシングルがテーマソングになっていたアニメもそうなんですけど、私自身それぞれの作品に出演してもいるので、アニメと音楽、お互いがお互いにいい影響を与え合えたらすごくうれしいなって思ってるんです。
次のページ » 「私は今、何をすべきなのか」考える至福
- ニューシングル「Tinkling Smile」/ 2014年8月13日発売 / キングレコード
- 期間限定盤 [CD+DVD] 1728円 / KICM-91526
- 通常盤 [CD] 1188円 / KICM-1526
-
CD収録曲
- Tinkling Smile(テレビアニメ「ヤマノススメ セカンドシーズン」エンディングテーマ)
- thx!!
- Tinkling Smile *off vocal ver.
- thx!! *off vocal ver.
期間限定盤DVD 収録内容
- Tinkling Smile(MUSIC VIDEO)
小倉唯(オグラユイ)
1995年群馬県生まれの声優、アーティスト。2009年に14歳で声優デビューし、2011年「神様のメモ帳」のアリス役、「ロウきゅーぶ!」の袴田ひなた役で大きな注目を集め、以来、毎シーズン放映のアニメの主要キャラを演じるように。また2010年に石原夏織と結成したユニット・ゆいかおりでメジャーデビューを果たし、2011年には「ロウきゅーぶ!」の出演声優ユニット・RO-KYU-BU!で歌った楽曲の数々がスマッシュヒットを記録するなど、声優業と並行して積極的に音楽活動も展開する。2012年にはシングル「Raise」でソロデビュー。そして2014年8月、アニメ「ヤマノススメ セカンドシーズン」のエンディングテーマとなる、4枚目のシングル「Tinkling Smile」を発表する。