音楽ナタリー Power Push - 映画「オアシス フジロックフェスティバル’09」公開記念特集
SCANDALが語るロックバンドoasisの魅力
「Supersonic」来たー!
──お二人にとって、今回の映画のハイライトを挙げるとしたら?
TOMOMI 難しいな……ずっとハイライトみたいな感じでしたからね。
RINA 私はセットリスト的には「Wonderwall」が終わって、次のドラムが始まったときに「『Supersonic』来たー!」ってテンション上がりましたね。あそこの流れがめちゃくちゃカッコよかった。
TOMOMI ちょうど真ん中くらいで、「The Masterplan」「Songbird」とアコギ系が続くところもキレイに聞こえましたよね。
──ノエルとリアムがそれぞれバラードを披露する場面ですね。
TOMOMI からの「Slide Away」。私、この曲も好きなんですよ。
──一気にロックな曲に引き戻しましたからね。そのまま「Morning Glory」とかが続いてアッパーな曲で畳みかけるのかと思いきや、再びバラードナンバー「Half The World Away」になって……。
TOMOMI 全部“からの”って言いたくなりますね(笑)。山場がありすぎてやっぱり選べないです(笑)。
伝え方やスタイルは違うけど、マインドとしては一緒
──同じバンドとして、oasisのステージングで惹かれる部分はありますか?
TOMOMI リアムの立ち方とか、シルエットだけでoasisってわかるじゃないですか。自分のスタイルを持ってますよね。
RINA やっぱり立ち振る舞いですね。パッとステージに立って、お客さんのこと見てくれてるだけでみんなうれしい気持ちになるというか、勇気をもらえると思うんですよ。映画でもそれはしっかり伝わりましたね。
──SCANDALの皆さんも毎年大規模なツアーをやっていて、ライブを大事にしている印象があります。この春には47都道府県ツアーも控えていますが、皆さんがライブで意識してるのはどういうところですか?
TOMOMI SCANDALを結成して10年、その時々でベストを尽くし、チャレンジしながらやってきたんですけど、振り返ってみたときに「あれでよかったのかな?」と迷うことも正直あったんですよ。ただ、いろいろ経験してきた中でやっと自分たちを認められるようになってきたので、そういうポジティブなエネルギーをステージ上でも出せたらと思ってますね。
RINA 私たちはカリスマが1人いるバンドじゃなくて、みんな横一列に並んでいて、それぞれのキャラクターを含めて好きになってくれたファンの人たちがライブに来てくれてると思っていて。だから全部楽しんでもらいたいっていうのが常にあるんですよ。音楽はもちろんですけど、MCも面白いほうがいいし、衣装も楽しんでもらいたいし。そういうのも含めて届けられるステージができたらいいなっていつも思ってますね。
──確かに、以前観させていただいたライブのMCで、お客さんを巻き込んで30分以上トークしていたのが印象的でした。
RINA そのほうが自分たちも楽しいので。あまりにバラエティに富んだライブをやることによって、「SCANDALって何がやりたいの?」とか「あいつらロックバンドなの?」って思われるんじゃないかっていうコンプレックスが初期の頃からずっとあったんですよ。でも10年やってきたことによって、「そんなふうに思ってる人なんてごくわずかだし、そこに向けて音楽をやるのは間違ってる」と気付いて。TOMOも「自分たちを認められるようになった」って言いましたけど、自分たちに似合うものをやり続ければいいと思うんですよね。
──先ほどTOMOMIさんが「oasisは全部自己肯定だ」とおっしゃってましたけど、そういう意味ではoasisのライブもSCANDALのライブも、本質的なところでは通ずるのかもしれないですね。
RINA それはすごくあると思います。伝え方やスタイルは違うんだけど、マインドとしては一緒というか。それぞれのバンドのできることをやっていけばいいと思うんですよね。
TOMOMI ファンの人たちに投票してもらったベストアルバムを2月15日にリリースしたんですけど、ポジティブな曲が多かったんですよね。ファンの人には、そういうポジティブなエネルギーのある曲が伝わってるんだなとわかって、自分たちがどういうバンドなのかを改めて理解しましたね。
若い子にも観に行ってもらいたい
──SCANDALは2年ほど前に「HELLO WORLD」というアルバムをリリースしましたよね。当時ジャケットの雰囲気が「Definitely Maybe」に似てると話題になりましたけど、実際のところはどうなんですか?
RINA うふふ。
TOMOMI なんて言うんですかね、オマージュって言うんですかね(笑)。
──やっぱりそのへんは意識……。
TOMOMI バリバリしてますね(笑)。
RINA 「Definitely Maybe」のジャケットを見ながら撮影しましたからね(笑)。でも、私たちファンって中高校生が多いんですけど、あのジャケットがきっかけでoasisを知った子もけっこういたんですよ。だから私たちがoasisに興味を持ってもらう架け橋になれたらいいのかなって。
──なるほど。
RINA 今回の映画も、oasisをずっと好きだった人はもちろんですけど、oasisの曲を聴いたことがないような若い子にも観に行ってもらいたいですね。バンドはライブを観て好きになるっていう入り口がすごく大きいと思うので。
──「Lyla」とかCMでもバンバン流れたから、きっと聴いたことある曲もあるでしょうしね。
RINA そうそう。「あ、これoasisの曲だったんだ」って気付くこともあると思うんですよ。だから自分たちと同年代の子たちとか、それより若い子にも観てほしいですね。
TOMOMI 思わず一緒に歌いたくなると思うので、その覚悟をしていったほうがいいと思います(笑)。
「オアシス フジロックフェスティバル’09」
2017年3月4日(土)東京都 新宿ピカデリーほか
配給:ローソンHMVエンタテインメント / カルチャヴィル
※期間限定上映
- セットリスト
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- Fuckin' In The Bushes
- Rock 'n' Roll Star
- Lyla
- The Shock Of The Lightning
- Roll With It
- Waiting For The Rapture
- Cigarettes & Alcohol
- The Masterplan
- Songbird
- Slide Away
- Morning Glory
- My Big Mouth
- Half The World Away
- I'm Outta Time
- Wonderwall
- Supersonic
- Live Forever
- Don't Look Back In Anger
- Champagne Supernova
- I Am The Walrus(※The Beatlesカバー)
SCANDAL(スキャンダル)
2006年8月に大阪のボーカル&ダンススクールで出会ったHARUNA(Vo, G)、MAMI(G, Vo)、TOMOMI(B, Vo)、RINA(Dr, Vo)の4人で結成したガールズバンド。結成直後から大阪城公園でストリートライブを始め、キュートなルックスと力強いバンドサウンドを武器に瞬く間に人気を獲得する。2008年10月、シングル「DOLL」でメジャーデビューを果たし、2009年末に「第51回輝く!日本レコード大賞」で新人賞を受賞した。2012年3月に初のベストアルバム「SCANDAL SHOW」を発売。2013年3月にメンバーの念願だった大阪・大阪城ホールにてワンマンライブを開催し、2014年6月に神奈川・横浜アリーナにてガールズバンドとして23年ぶりとなる2DAYSのワンマンライブを成功に収めた。同年12月にニューアルバム「HELLO WORLD」をリリース。2015年1月からは全31公演の国内ホールツアーと、フランス、イギリス、アメリカ、香港、台湾、メキシコ、ドイツ、シンガポールといった国での初単独公演を含むワールドツアーを開催する。結成10周年記念日となる2016年8月21日には地元大阪の泉大津フェニックスで野外ワンマンライブを開催。2017年2月には10周年を記念したベストアルバム「SCANDAL」をリリースした。
oasis(オアシス)
ノエル・ギャラガー(G, Vo)とリアム・ギャラガー(Vo)兄弟を中心としたロックバンド。1994年4月にシングル「Supersonic」でデビューし、同年8月にリリースした1stアルバム「Definitely Maybe」はイギリスのチャート1位を獲得。その1年後の1995年10月に発表された「(What's The Story) Morning Glory?」は全世界で2200万枚以上を売り上げ、名実共にイギリスを代表するロックバンドとなる。1996年8月にイギリス・ロンドン郊外のネブワースにて、当時としては最大規模となる2日間で25万人動員の野外ライブを実施した。1998年に東京・日本武道館公演を行い、2001年の「FUJI ROCK FESTIVAL」では初日のヘッドライナーを務める。2009年の「FUJI ROCK FESTIVAL」でもヘッドライナーを務めるが、その1カ月後にノエルが脱退を表明し、バンドはその活動に終止符を打った。発表したフルアルバム全7作が全英チャート1位に輝き、アルバムは全世界で7000万枚以上を売り上げている。