音楽ナタリー Power Push - 映画「オアシス フジロックフェスティバル’09」公開記念特集
SCANDALが語るロックバンドoasisの魅力
oasisのライブ映像作品「オアシス フジロックフェスティバル’09」が、3月4日より全国の劇場で上映される。
「オアシス フジロックフェスティバル’09」は2009年7月24日に開催された「FUJI ROCK FESTIVAL '09」初日、GREEN STAGEのヘッドライナーを務めたoasisのライブの模様をノーカットで収めた作品。このライブの約1カ月後にノエル・ギャラガー(G, Vo)が脱退を表明し、バンドはその活動にピリオドを打つことになったため、「FUJI ROCK FESTIVAL」のステージが日本でのラストライブとなった。この日、彼らは大雨が降りしきる中で「Rock 'n' Roll Star」「Lyla」「The Masterplan」「Morning Glory」「Don't Look Back In Anger」など代表曲を惜しみなく披露してオーディエンスを沸かせ続けた。音楽ナタリーでは、oasisファンを公言するSCANDALのTOMOMI(B, Vo)とRINA(Dr, Vo)に映画を観てもらい、作品の見どころやoasisの魅力について語ってもらった。
取材・文 / 丸澤嘉明 撮影 / 藤田二朗
誰にも媚びずに正直に生きて、最後までやり通した
──2人がoasisを知ったのは、いつ頃だったんでしょうか?
RINA マネージャーがoasisの大ファンで、「RINAはきっとoasisが好きだから聴いたほうがいいよ」って言われていて、「Definitely Maybe」と「(What's The Story) Morning Glory?」を借りたのがきっかけです。確か4年くらい前かな?
TOMOMI 私は初めにCDを手にしたのは中学生の頃ですね。地元のCDショップに10枚セットとかでCDが売られていて、その中にoasisのアルバムも入っていました。
──どのアルバムだったんですか?
TOMOMI 「Definitely Maybe」です。当時私はずっとダンスをやっていて、oasisはダンスミュージックとはかけ離れたものだったのですごく新鮮な感じがしましたね。
──2人はoasisのどのアルバムがお気に入りですか?
TOMOMI 最初に手に取った「Definitely Maybe」ですね。
RINA 私は「(What's The Story) Morning Glory?」です。
──2作共名盤として名高い初期の作品ですね。お二人は昨年12月に公開されたドキュメンタリー映画「オアシス:スーパーソニック」もご覧になってるんですよね?
RINA はい。「オアシス:スーパーソニック」を観て、音楽だけじゃなくて彼らの人柄がすごく好きだなと思いましたね。仕草だったり態度だったり、生きるうえでのスタイルも含めて。
TOMOMI oasisって、やってること全部が自己肯定だと思うんですよね。自分たちの正しさをずっと歌っていて、立ち振る舞いも含めて正直だなって思います。ロックバンドをやる理由って、最初は自己満足だと思うんですよ。「こういうことを言いたいんだ!」っていう自己満足があって、それを聴いて共感してくれる人がいて、初めて自己満足じゃなくなるというか、みんなの曲になるというか。
──確かにそうですね。
TOMOMI 最近は「たくさんの人に聴いてもらいたいからこういう曲を作ろう」っていうのが先行している気がして。もちろんそれが悪いわけではないけど、やり方が違うんだろうなって思うんですよね。ロックスターは誰かに聴いてもらうために音楽をやるんじゃないんだっていうのをoasisを見ていて感じました。彼らは誰にも媚びずに正直に生きて、最後までそれをやり通した。すごく潔いですよね。
RINA うらやましいよね。街の不良たちが集まってバンド始めて、自由にやりたいことだけやりまくる。カッコいいなって思いますね。
日本であんな素敵なライブをしていたことがうれしい
──今回劇場公開される「オアシス フジロックフェスティバル’09」をご覧になっていかがでした?
RINA めちゃくちゃカッコよかったですね! 日本であんな素敵なライブをしていたことがうれしいし、私はoasisのライブを生で観ることはできなかったんですけど、こうやって映画館で体感できて幸せでした。公開されたらもう1回観に行こうと思います(笑)。
TOMOMI 私も生で観たことないけど、その場でライブを観てるような感覚になりました。
──SEが流れた瞬間の、観客の“待ってました感”が半端ないですよね。大雨の中で会場全体から歓声が上がり、メンバーが悠然と登場して「Rock 'n' Roll Star」が始まって。
TOMOMI 1曲目が「Rock 'n' Roll Star」でドキドキしました(笑)。ベスト(2006年リリースの「Stop The Clocks」)の1曲目と同じですね。
──セットリストがまさにベストみたいな感じでしたよね。1st、2ndアルバムをメインにしつつ、満遍なく網羅されていて。
RINA そうですね。
──観ていて印象に残った曲は?
TOMOMI 私、ポジティブなサウンドなのに涙腺を刺激する「Live Forever」がすごく好きなのでこの曲ですね。「Live Forever」ってカート・コバーン(Nirvana)の「自分のことが大嫌いだし、死にたい」という言葉に反発して書かれたんですよね。それでこういう曲を作ってしまうって、カッコいいですよね。
RINA 私は「Wonderwall」が一番好きで。昔は日本語の曲を歌詞カード見ながら聴くのが好きだったから洋楽をあまり聴いてこなかったんですよ。でも「Wonderwall」を聴いたときにメロディがめちゃくちゃカッコよくて、特に出だしの「Today」なんて、「これ以上カッコいい『Today』のメロディないでしょ」って思うくらい素敵で、それで洋楽も聴くようになったんですよね。なので「Wonderwall」が来たときはうれしかったですね。
──やっぱり1st、2ndの曲が印象に残ったんですね。「Morning Glory」もすごく盛り上がってましたよね。イントロのギターのリフだけでお客さんも「来たー!」って。
RINA すごかったですよね。
TOMOMI oasisの曲ってどれもキャッチーですよね。コード進行も本当に簡単で、ベースもほとんど動かないのにこんなにポップで、反則だろって思います(笑)。
RINA ずるいよね。そしてあの歌声! 痺れますね。
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「オアシス フジロックフェスティバル’09」
2017年3月4日(土)東京都 新宿ピカデリーほか
配給:ローソンHMVエンタテインメント / カルチャヴィル
※期間限定上映
- セットリスト
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- Fuckin' In The Bushes
- Rock 'n' Roll Star
- Lyla
- The Shock Of The Lightning
- Roll With It
- Waiting For The Rapture
- Cigarettes & Alcohol
- The Masterplan
- Songbird
- Slide Away
- Morning Glory
- My Big Mouth
- Half The World Away
- I'm Outta Time
- Wonderwall
- Supersonic
- Live Forever
- Don't Look Back In Anger
- Champagne Supernova
- I Am The Walrus(※The Beatlesカバー)
SCANDAL(スキャンダル)
2006年8月に大阪のボーカル&ダンススクールで出会ったHARUNA(Vo, G)、MAMI(G, Vo)、TOMOMI(B, Vo)、RINA(Dr, Vo)の4人で結成したガールズバンド。結成直後から大阪城公園でストリートライブを始め、キュートなルックスと力強いバンドサウンドを武器に瞬く間に人気を獲得する。2008年10月、シングル「DOLL」でメジャーデビューを果たし、2009年末に「第51回輝く!日本レコード大賞」で新人賞を受賞した。2012年3月に初のベストアルバム「SCANDAL SHOW」を発売。2013年3月にメンバーの念願だった大阪・大阪城ホールにてワンマンライブを開催し、2014年6月に神奈川・横浜アリーナにてガールズバンドとして23年ぶりとなる2DAYSのワンマンライブを成功に収めた。同年12月にニューアルバム「HELLO WORLD」をリリース。2015年1月からは全31公演の国内ホールツアーと、フランス、イギリス、アメリカ、香港、台湾、メキシコ、ドイツ、シンガポールといった国での初単独公演を含むワールドツアーを開催する。結成10周年記念日となる2016年8月21日には地元大阪の泉大津フェニックスで野外ワンマンライブを開催。2017年2月には10周年を記念したベストアルバム「SCANDAL」をリリースした。
oasis(オアシス)
ノエル・ギャラガー(G, Vo)とリアム・ギャラガー(Vo)兄弟を中心としたロックバンド。1994年4月にシングル「Supersonic」でデビューし、同年8月にリリースした1stアルバム「Definitely Maybe」はイギリスのチャート1位を獲得。その1年後の1995年10月に発表された「(What's The Story) Morning Glory?」は全世界で2200万枚以上を売り上げ、名実共にイギリスを代表するロックバンドとなる。1996年8月にイギリス・ロンドン郊外のネブワースにて、当時としては最大規模となる2日間で25万人動員の野外ライブを実施した。1998年に東京・日本武道館公演を行い、2001年の「FUJI ROCK FESTIVAL」では初日のヘッドライナーを務める。2009年の「FUJI ROCK FESTIVAL」でもヘッドライナーを務めるが、その1カ月後にノエルが脱退を表明し、バンドはその活動に終止符を打った。発表したフルアルバム全7作が全英チャート1位に輝き、アルバムは全世界で7000万枚以上を売り上げている。