ナタリー PowerPush - N'夙川BOYS

6周年だよ!ベストアルバム「THANK YOU!!!」

N'夙川BOYSが初のベストアルバム「THANK YOU!!!」をリリースする。ミニアルバム「PLANET MAGIC」でメジャーデビューしてからまだ1年半。その後はフルアルバムを1枚リリースしただけという状況の中、異例の早さでベストアルバムを発表する彼らの真意とは? 生き急ぐかのようなバンドの現状について、メンバー3人に話を聞いた。

なお今回の撮影は閉店した都内の銭湯にて行われた。フォトジェニックな彼らの姿をたっぷりと味わってもらいたい。

取材・文 / 大山卓也 撮影 / 福岡諒祠

バンドが6年続いたお祝いに

左からリンダdada、マーヤLOVE、シンノスケBOYs。

──なぜ今ベストアルバムをリリースすることになったんですか?

リンダdada “ロック”周年だから?

──(笑)。確かにバンド結成が2007年2月だから今年で6周年で。でも6周年ってちょっと中途半端だと思うんですが……。

マーヤLOVE 本当は去年5周年のときに出したかったんですよ。それでレーベルに話したんやけど「さすがにちょっと早い」って言われて。

シンノスケBOYs まだメジャーの1stアルバムを出す前やったからね(笑)。

マーヤ それで一度は諦めかけてたんです。でも「よう考えたら“ロック”周年やん」っていう気の利いたこと言われたんで、もういっぺん話したら「いいですよ」って。

──そんな軽いノリで(笑)。でもアーティストとしては、ベストアルバムより新作を出したいという気持ちはなかったですか?

リンダdada

リンダ まあそれもあるけど、でもうちらの場合はこのタイミングで、みんなが興味持ってくれてるなら、今出しとこって。

マーヤ 要は6年続いたお祝いですよ。やっぱバンドっていうのは、マジでいつまで続くもんかわからんから。

──そうなんですか?

マーヤ もちろん気持ちとしては行けるところギリッギリまで行きたいって思ってるんです。しょうもないことでは終わりたくない。やめるのは簡単なんですよ。今すぐ電話して「やめます」って言って、あとはみんなケータイ変えて、会社の人が家来ても無視しとけばいい。

リンダ 居留守?

マーヤ 居留守。でもやっぱどんな手段を使っても続けたいと思ってるし、俺らみたいなバンドは日々生き残りを賭けてやっていかないとあかんわけですよ。徐々に知ってもらえるようになってきてますけど、状況は皆さんが思ってるよりはヘビーなので。気ぃ抜いたらいつでも奈落の底に転落できる。

このスタイルでどこまで行けるか勝負したい

──じゃあこのベストアルバムを出して、バンドとしてはまた決意を新たに進んでいくということなんでしょうか。

マーヤ そうです。けじめじゃないけどこれ出して、自分の中でちょっと仕切り直して次に行こうってことですよね。だから次はまた1stアルバムの気持ちで作れると思う。俺も36歳になったし、ここまで来たらカッコつけてる場合やないぞと。どこまで生き残れるか、カッコつけてるよりも、もがいてるほうがカッコいいんかなって思うんです。このまま終わるわけにはいかんぞって。

──今もバンドはヘビーな状況だという話がありましたが、でもN'夙川BOYSを端から観ているといつもハッピーな感じだし、つらそうに見えたことはないんですよね。

シンノスケ いや、でもあれですよ。やっぱりいろいろ言われるんです。メジャー入ったときにも「バックバンドつけてライブやりますか?」とか。

マーヤ 「簡単なベース入れましょう」とかね。

シンノスケ でもそういうことじゃなくてね。このスタイルでどこまで行けるか勝負したいって話やから。そのためにはやっぱり戦わんとあかんのですよ。

シンノスケBOYs

マーヤ もちろんメジャーの会社の人らも協力はめっちゃしてくれるんですけど、それはこっちがハードに戦って悔しい思いをしてきた結果なんですね。

シンノスケ 最初はやっぱりお互いギャップがあったし、それを埋めるのにけっこう時間がかかって。

リンダ インディーズでやってた経験値みたいなもんが逆に邪魔になったりとか。

シンノスケ 「勝手にやらんといてください」とかいつも言われるもんな。

マーヤ 例えば俺らが「すげえ曲が100曲できたから年内にアルバム3枚リリースするぜ」って言っても「ちょっと待ってください」ってなるんです。逆に「すいません、曲ができないんで今年ナシで」っていうのもないんです。メジャーでやるっていうのはタイミングよく素晴らしいものを作ってくださいっていうことなんですよ。

リンダ まあしゃあないっていうか、言われて当たり前やなって思うことももちろんあるけどね(笑)。

ベストアルバム「THANK YOU!!!」 / 2013年3月20日発売 / 2500円 / Victor Entertainment / VICL-64002
「THANK YOU!!!」
収録曲
  1. ~誕生!!! スーパー夙川BOYS!!!~
  2. Candy People(再ROCK♡)
  3. マジシャン(再ROCK♡)
  4. 死神DANCE(再ROCK♡)
  5. The シーン
  6. フェアリー
  7. ~天空の!?LOVE BELLS~
  8. 物語はちと?不安定
  9. アダムとイブがそっと
  10. I'm waiting for the ah~
  11. メロディー(THANK YOU edition)
  12. ~流星☆彡通信~
  13. プラネットマジック
  14. ミッドナイトエンジェル
  15. シャンソン
  16. ~ドリー夢らNなー~
  17. 24hour
  18. Freedom
  19. homework
  20. ~ありがとう BIG サンキュー~
  21. BOYS DON'T CRY ※Bonus Track
N'夙川BOYS(んしゅくがわぼーいず)

N'夙川BOYS

2007年2月、マーヤLOVE、シンノスケBOYs、リンダdadaの3名により大阪・太陽の塔の下で結成。「N’夙川ボーイズ」「LOVE SONG」の2枚のアルバムをインディーズでリリースし、耳に残るキャッチーな楽曲と担当パートを固定しないスタイルなど、独自の魅力でライブハウスを席巻する。2011年8月にミニアルバム「PLANET MAGIC」でビクターエンタテインメントからメジャーデビュー。同年公開の映画「モテキ」にも出演し、劇中で見せた型破りなライブパフォーマンスが話題を集めた。2012年10月にアルバム「24HOUR DREAMERS ONLY!」をリリースし、2013年3月にベストアルバム「THANK YOU!!!」を発表。