Novelbrightが4月28日にメジャー1stアルバム「開幕宣言」をリリースする。
アルバムにはメジャーデビュー曲であり「コカ・コーラ ゼロシュガー」のCMソング「Sunny drop」やテレビ東京系ドラマ「共演NG」の主題歌「あなたを求めただけなのに」といったタイアップ曲を含む全13曲を収録。さらなる未来に向かって進んでいくバンドの決意が込められたタイトルトラック「開幕宣言」や全編英詞の「Friends for life」、デジタルロックチューン「さよならインベーダー」、ピアノとボーカルのみのバラードナンバー「愛結び」など、バラエティ豊かでありながら、いずれもバンドの持ち味であるキャッチーなメロディが光る新曲も並んでいる。
音楽ナタリーでは5人にインタビューを行い、今まさに広い世界に向かって大きく羽ばたこうとしているバンドの姿勢を紐解く。
取材・文 / 蜂須賀ちなみ 撮影 / 斎藤大嗣
大きな夢に向かって走り続けていたい
──アルバムのリリースは約1年ぶりですが、配信リリースをコンスタントに行っていましたよね。
沖聡次郎(G) バンドの姿勢として、作品をコンスタントに出したいというのがあって。
圭吾(B) ホットな曲を出し続けて、常にいろいろな人の目に見えるところにいたいというスタンスです。
──短いスパンで曲を出し続ける理由の1つに「忘れられるのが怖い」といった気持ちはありますか?
圭吾 と言うよりは、「早く塗り替えたい」という気持ちが強いからですね。
沖 曲単体でしか好きになってもらえないのが嫌だ、というのが大きな理由だと思います。僕らはいろいろなことをやっているし、1曲では全部は伝わらないと思うので、Novelbrightというバンドを好きになってもらうんやったら、いろいろな曲をたくさん出して、全部の曲を好きになってもらわないといけないな、と。
竹中雄大(Vo) 確かに「曲を好きになってもらいたい」という気持ちよりも「アーティストとして好きになってもらいたい」という気持ちのほうが大きいかもしれないですね。「それなりに売れれば十分だ」という気持ちはまったくないし、いつまでも大きな夢に向かって走り続けていたいんですよ。だから、1曲に対してすごく反響があったとしても、「やったー!」とはならないというか。「うれしいなあ」「よっしゃ、もっと反響のある曲を作ろう」「もっともっと!」という感じですね。
圭吾 ただ、反響を受け止めつつも、「自分たちが今やりたいことをやる」ということはすごく大事にしています。やりたくないことをやっている人の姿って輝いて見えないと思うし、今いろいろな人が僕たちのことを見てくれているのは、自分たちがやりたいことをやれているからこそだと思うので。
──そんな思いがある中で、メジャー1stアルバムはどんな作品にしたいと思いましたか?
沖 メジャー1枚目のアルバムということで、“Novelbrightがどんなバンドなのかを知ってもらう”というコンセプトがありました。Novelbrightはメンバーそれぞれ違うジャンルの音楽が好きで、それぞれの好みをバンドに落とし込んだときにバラエティ豊かな曲ができるので、その幅広さを打ち出したいと思いましたね。あと、サウンドのスケール感を意識しながら、インディーズの頃よりもクオリティ高く、華々しいものにしたいという気持ちもありました。
──インストトラックの「El Dorado」から「開幕宣言」に入るオープニングは確かに壮大です。
沖 ライブのキャパシティも上がってきていて、アリーナやドームに立つアーティストになりたいという気持ちもある中で、こういうスケール感の曲をやりたいという気持ちはバンドの意思として自然と芽生えていきました。このスケール感は、インディーズの頃には考えられなかったものだと思いますね。
──このアートワークは東京ドームを意識しているんですか?
沖 そうですね。あまりにも東京ドームっぽくしすぎると権利的な問題があるので、こういうイラストになっているんですけど(笑)。
竹中 ドームに限らず、大きいところでライブをやりたいんです。スタジアムとか、野外に特設ステージを組んだりとか。
圭吾 自分たちの尊敬するアーティストが大きな会場でライブしている姿を映像で観てきたので、そこに対する憧れもあります。
地下に潜っていた自分たちを押し上げてくれた存在
──「開幕宣言」はどのように生まれた曲なんですか?
竹中 結局中止になっちゃったんですけど、インディーズ最後のアルバムとしてリリースした前作「WONDERLAND」のツアーでZeppを回る予定だったんですよ。ずっと100~200人のライブハウスでやってきたけど、こうやってZeppまで来れたなということで、「WONDERLAND」の最後の曲「時を刻む詩」は「今まで付いてきてくれてありがとう」「これからもよろしくね」という曲だったんですね。で、「開幕宣言」はそれを受けて「ここからまた新しく始まりますよ」という感じ。0から1へ向かうというよりは、1から2へ向かうというイメージで、決意を込めた歌にしました。
──バンドの姿勢として、曲の中で「ありがとう」「これからもよろしくね」と伝えることをかなり大事にされていますよね。
竹中 そうですね。活動していくにあたって、「自分たちはファンの人がいてこその存在だ」という感覚があって。なんの後ろ盾もなく、ずっと地下に潜っていた自分たちを押し上げてくれたのはファンのみんななんですよ。最近はテレビで取り上げてもらえたり、タイアップが付いたりして、すごくうれしいなと思うんですけど、それはファンのみんなが路上ライブの様子を広めたりしてくれたおかげ。だから、「あなたと一緒に叶えていこう」「一緒にシンデレラストーリー駆け上がっていこうぜ」と伝えていきたい。たった1人で夢を叶えることももちろん素晴らしいことですけど、自分の夢を誰かと共有できることってもっと素晴らしいなあと思うんですよね。
──演奏面はどう考えてアプローチしていきましたか?
ねぎ(Dr) フルバンドのオーケストラが入っていて、キラキラとした音の重なりが美しい曲なので、ドラムはボトムで支えることを重視して考えました。ほかの楽器と一緒にキメるところだけスコンと抜けるように、アレンジ面で工夫しつつ。
圭吾 ベースは上モノを崩さないように、「よく聴いたら聞こえる」ぐらいのポジションで弾こうかなと。でもフレーズはけっこう動いているので、よく聴いたら旨味がわかると思います。
山田海斗(G) 僕はこの曲ではアコギを弾いているんですけど、アコギを入れることによって、全体的に軽快さが出たかなと思います。
──アウトロでは「ラララ」というコーラスが入っています。今回のアルバムではシンガロングパートが盛り込まれた曲が多いですよね。
沖 今はガイドラインを守りながらライブをやっている状況ですけど、その状況はきっといつか明けるだろうし、ライブハウスがパンパンになって、お客さんも歓声を上げられる未来を見たいという気持ちがめちゃくちゃ強くて。今回のアルバムでみんなで一緒に歌うところが多いのは、「今できていないから未来でやりたい」というフラストレーションからだと思います。
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新たなNovelbrightの顔