「あの曲をやろうかな」
──今回配信される「rain stops, good-bye」は、「LINEオーディション2017」に応募した曲ですね。10年前、におPさんが発表したVocaloid曲ですが、この楽曲をカバーしたのはどういう流れで?
ほのか 私とポチが高校の文化祭で何か演奏したいねっていう話になったときに、あんべは高校が違うのでギターが1本足りないし、ベースもドラムもいないからピアノがメインで歌える曲を探していたんです。それで私が「rain stops, good-bye」を前から知っていたので、「あの曲をやろうかな」と。その文化祭の演奏が好評だったので「あんべを入れて3人でもやったらいいんじゃない?」っていう流れになったのが、オーディションにこの曲を応募したきっかけですね。
──「コピーする人によって曲の雰囲気が変わってくる」とおっしゃっていましたが、皆さんはオーディションに向けてバンドでこの曲をカバーするにあたって、どういうことを意識しながらアレンジを加えていきましたか?
あんべ オーディションのときはベースとドラムがいない分、自分たちが弾いてる楽器の音をよりちゃんと目立たせようということを意識しましたね。特にこの曲はピアノが映える曲だと思うので、ポチはかなりアレンジをして。その分ギターはアルペジオとかを使って、あんまりジャガジャガやらない感じにしました。いろいろ考えながら、足したり引いたりしてアレンジしてきた曲かなと思ってます。
ポチ 前奏はピアノだけだから、楽譜通りに弾くんじゃドラムとベースがいない分の厚みを出せないなと思って、かなりアレンジを加えましたね。歌が入ってからは、いかに歌が映えるようにするかということを考えながらアレンジしてきました。
──11月にオーディションの発表があって1月にもう配信デビューというのは、かなり早いスピード感ですよね。
ほのか 早い。でも、だんだん実感が湧いてきましたね。最初は「めっちゃ忙しい」という感じだったんですけど、デビューするにあたっていろんなところでたくさんの人がサポートしてくださって。そういうシチュエーションに出会うたびに、やるぞという意志が固まってきました。
ポチ ここに来るまでにいろんな人たちが関わってくれているので、本当に感謝しかないですね。これまで自分の中でアーティストさんというのは殿上人だったので、自分たちも同じように曲を出せるんだなと思うと、うれしいし驚いています。
あんべ この半年間ですごくいろんなことが変わってきたけど、やっぱりその中で曲を聴いてくれる友達とか、いつも支えてくれる親とか、東京に来てからお世話になるLINE RECORDSの方々とか、本当に多くの人が関わっているということを意識したうえで、自分たちのやるべきことをちゃんとやっていくことが大事なのかなと思います。
──地元のテレビ番組に出たりアー写やジャケ写の撮影をされたり、初めてのことを次から次へとこなしている時期だと思いますが、どういう気持ちで挑んでいますか?
あんべ どんどんお仕事は増えていくんですけど、1つひとつを真面目に全力でやっていくということを意識しています。やっぱり皆さんに届くものなので。1つでも適当にやっちゃいけない。
──すでに高いプロ意識を感じますね。
あんべ デビューっていう話になると、責任も生じてくるので。そういう意識を持つことが大事だと思っていますね。
無理に大人になろうとしないで
──先ほどあんべさんが“No title感”という言葉を使っていましたが、「LINEオーディション」のグランプリを取ったときも「私たちらしさを失わないように精一杯がんばります」とコメントしていました。No titleらしさとは、自分たちではどういうことだと思っていますか?
あんべ No titleらしさ……ベースとドラムがいないというのは1つありましたが、今回レコーディングするにあたってベースとドラムの音を入れていただいて。すごく迫力も増して、プリプロの段階からこんなに違うんだって感動したんですよ。プロデューサーのJINさんから「人々を感動させることと、お金と時間は比例していく。お金をかければかけるほど、時間を使えば使うほど、ライブも感動するものができあがる。でも、それを世の中に伝えるにはテーマが必要。自分たちが『こうしたいんだ』というテーマをもとに世の中に伝えていかないとみんな共感してくれないし、やっていく意味もない」というお話があったんですが、僕らはまだそのテーマが決まっていないんです。これからそのテーマを決めていくことが、No titleらしさを作っていくのかなと思っていますね。
──ほかにはJINさんとどのようなお話をされましたか?
ポチ 「子どもの心を持ち続けることが大切だ」と言われました。「純粋さを失うな」ということですね。それが人の心を開くことだったり、人を感動させることにつながるんだと学びました。
ほのか JINさんには音楽理論だけじゃなくて、アーティストになるにあたっての心の持ち方も教えていただきました。「心の位置を常に正しく今のままで保っていられるかどうかがこれから重要だ」って。それまで私は背伸びして「ちゃんと大人に付いて行こう」と思っていたんですけど、「無理に大人になろうとしないことが、かえって聴く人に届くから背伸びしないで」と言われたのがすごく印象的でした。
あんべ やっぱり人ってピュアなものに心を惹かれるらしくて。さっきポチが言っていた子どもの心を持ち続けることの大切さだったり、「これから有名になっていっても、自分たちがバンドを始めたときと同じような心で居続けることが大事だよ」ということや、もちろんレコーディング中に音楽的なアドバイスもいただきました。すごくいい経験になっていますね。
──デビューに向けて充実した時間を過ごしているNo titleですが、最後にこれから目指していく夢を聞かせてください。
あんべ 僕はいろんなアーティストさんを見てきて、やっぱりライブってすごく大事だなと思ったんですよ。多くの人に生で自分たちの演奏を見てもらうことは、人に感動を与えるということになると思うので。いつか大きなステージでたくさんの人の前でライブをしてみたいな、というのが今のところの夢です。
ほのか 私はまず青森でのワンマンですね。青森県の高校生バンドと名乗っているので、青森県に人を呼べるようになりたいです。
ポチ まず地元で一番有名なバンドになって、ゆくゆくは大きいステージで演奏できるようになりたいですね。
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No title×アルコ&ピース対談
- No title「rain stops, good-bye」
- 2018年1月23日配信開始 / LINE RECORDS
- 収録曲
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- rain stops, good-bye
ライブ情報
- GIRLS DON'T Cry -OUT OF OUR SHELLS 4-
- 2018年1月27日(土)青森県 LIVE HOUSE FOR ME
- 出演者
No title / ブレインストーミング / LOVESTRUCK / カドモモコ / 焞 -jun-
- No title(ノータイトル)
- ほのか(Vo, G)、あんべ(G)、ポチ(ゆうと)(Piano)の3人からなる青森県三沢市出身の高校生バンド。中学校の文化祭をきっかけに2016年に結成された。2017年11月に結成わずか1年にして、その表現力と独自性が評価され「LINEオーディション2017」で総合グランプリを獲得。2018年1月にオーディションの応募曲「rain stops, good-bye」をLINE RECORDSより配信リリースした。