青森県三沢市出身の高校生バンドNo titleが、1月23日にデビュー曲「rain stops, good-bye」をLINE MUSICで配信リリースした。
ほのか(Vo, G)、あんべ(G)、ポチ(Piano)の3人からなるこのバンドは、2017年7月に音楽ストリーミング時代の新たなスターを発掘することを目的に開催されたオーディションプロジェクト「LINE オーディション2017」で総合グランプリを獲得。音楽プロデューサーのJINによるプロデュースのもと、今回LINEが運営する音楽レーベル・LINE RECORDSよりデビューした。
16歳にして見事にオーディションを勝ち抜き、結成から約1年でデビューを果たしたNo titleとは何者なのか? 3人のインタビュー、そして「LINE オーディション2017」総合グランプリ発表の司会者を務めていたアルコ&ピースとの対談を掲載する。
取材・文 / 中川麻梨花 撮影 / moco.(kilioffice)
どうしてもバンドをやってみたかった
──結成からわずか1年にして、「LINEオーディション」でグランプリを勝ち取ったということで。バンドを結成したときはまだ中学生だったんですよね?
あんべ(G) はい。中学3年生のときに、僕が文化祭にバンドで出てみたいなと思って。それでほのかとポチを誘ったのがNo titleの始まりですね。
──同級生がたくさんいる中で、なぜこの2人を誘ったんでしょう?
あんべ ほのかは中学1年生と2年生の文化祭でも歌を歌ってたんですけど、それを観ていてうまいなあと思ったんですよ。ポチは中学校の合唱コンクールでピアノの伴奏をやってるのを聴いて、すごく上手だし、音も繊細だなと。
──じゃあ実際に実力を見たうえでの判断だったんですね。
あんべ はい。
ほのか(Vo, G) 半ば強引に誘われて、「えー!」みたいな感じで。
ポチ(Piano) 半強制でしたね。
あんべ 無理やり楽譜を渡しに行きました。どうしてもバンドをやってみたいなと思っていたので。今しかないかなと。
──あんべさんはもともとピアノを習っていたということですが、バンドという形態にこだわった理由はどういうところに?
あんべ 僕はSEKAI NO OWARIさんやRADWIMPSさんが好きでライブ映像とかをよく観てたんですけど、こういう機会があるのにバンドをやらないのはもったいないと思ったと言うか……あと、やっぱり1人で演奏していても面白くないので。
──ほのかさんとポチさんの中にもそういったバンドに対する憧れはあったんですか?
ほのか まったくなかったです。
ポチ ないです。
ほのか バンドの音楽を聴くのは好きだったけど、やりたいとは思ってなかった。
──じゃあもともとは、文化祭限定のつもりで組んだバンドだったんですか?
あんべ そうです。中学校の文化祭限りで解散する感じだと思っていました。そのあとは個人的な話になっちゃうんですけど、僕はラジオ番組がやっている音楽オーディションに応募したいなと思っていて、それに向けてオリジナル曲を作っていたんですよ。ただ作詞をしてくれる人がいなかったのと自分でメロディを作るのもどうなのかなと思っていたので、ほのかにギターのコードを渡してお願いしたんです。そういうやり取りをしながら、受験勉強の合間を縫って曲を作ってましたね。
ほのか そうでした。
あんべ その流れで、中学卒業後の4月にバンドを再結成して、5月にそのラジオ番組のオーディションに曲を送って。そのときは1次審査を通りました。
──最初はバンドを組むことに乗り気じゃなかったほのかさんとポチさんも、再結成には異論なく?
ほのか そうですね。バンド練習が楽しかったというのもあったと思うんですけど、「詞とメロディを付けてください」と言われて、その流れと言うか。嫌な気持ちは全然なく、やるならやってみようかなと。
ポチ 僕は最初の曲を作る段階では関わっていなかったんですけど、そのオーディションに応募するときに加わりました。練習自体が楽しかったので。
あんべ スタジオを借りて大きい音を出せるのはすごく楽しかったよね。
ほのか うん。純粋に音楽が楽しかった。
打ち込みでやるしかない
──バンドを組むにあたって、どうしてギターボーカル、ギター、ピアノのスリーピース構成で行こうと思ったんでしょう? バンドに憧れる中学生が選ぶスタイルとしては、ベースとドラムを入れないのは少しイレギュラーな形ですよね。
あんべ 中学校の文化祭に出るときに一応探したんですけど、見つからなかったんですよ。じゃあ打ち込みでやるしかないよね、と。SEKAI NO OWARIさんもベースとドラムがいないじゃないですか。そういうのを観ていて、打ち込みでもできることはわかっていたので。
──文化祭は人が見つからなかったから打ち込みでいこうと決めて、そのあと今日まで新メンバーとしてベースとドラムを入れるという発想はなかったんですか?
あんべ 一時期入れたりもしたんですよ。でも、音楽性がちょっと合わなかったり。
ほのか 練習場所が遠かったりね。この形態しかないなという感じで、結局3人でやることになりました。ライブでどうしてもドラムが必要なときは、一時的にサポートの人にお願いしてますね。
あんべ ほのかとポチは同じ高校に行ってて、僕だけ違う高校なんですけど、ほのかが高校の文化祭ののど自慢大会で米津玄師さんの「アイネクライネ」を歌った動画をアップしたらすごく反響が大きくて。それがきっかけでだんだんライブに呼んでもらえるようになったんです。地元の湖の近くのお祭りとか。
ほのか 青森に小川原湖っていう湖があるんですけど、その近くの公園で毎年やってる音楽の催し物と言うか、お祭りがあるんです。
あんべ ほかにも地元のお祭りのメインステージでやらせてもらったりね。動画の反響が大きかったので、人もたくさん来てくれました。
ほのかの歌は“No title感”を引き出してくれる
──ほのかさんの歌は楽曲の世界観に人を引き込む力が強いですよね。「LINEオーディション2017」の最終審査のステージもまさにそうで。
あんべ ほのかの歌はうまい以上のところに行っていると言うか、“No title感”を引き出してくれる感じがありますね。コピーにもいろいろあって、コピーする人によって全然曲調とか曲の雰囲気も違うんですけど、僕らの場合それを決めるのがほのかなのかなと思ってます。
ポチ だいぶ過去の話になっちゃうんですけど、僕が小学校5年生くらいのときに学校ののど自慢大会にほのかが出てたんです。その頃から1人だけ異彩を放ってるなあって(笑)。それは今も変わらず、毎回聴く度にすごいなあと思ってます。
ほのか 初めて言われた(笑)。
──小学生のときからそこまで歌が完成されていたんですか。
あんべ そうですね。小学生の歌じゃなく、CDで聴くような歌だったんですよ。僕が小学生のとき、クラスのオリエンテーションでお楽しみ会というのがあったんです。そこでみんな縄跳びとかリフティングとか自分の十八番を披露してたんですけど、ほのかは歌を歌っていて。本当に小学生とは思えなかった。
──ほのかさんの歌の純度の高さや表現力はNo titleの大きな武器だと思いますが、特に歌を習っていたわけではなく?
ほのか そういった経験はないですね。田舎なので歌を習う教室もなかったんですし。独学と言うか、アーティストさんの真似をしてみたり。私は宇多田ヒカルさんが好きなんですけど、宇多田さんはただ歌がうまいんじゃなくて、歌を聴いていると歌詞が頭に入ってきて……そういう歌い方をしたいとずっと思ってきました。やっぱり昔から歌詞の主人公になりきると言うか、ちゃんとイメージして歌おうとは思っていたので、自分ではわからないけどそういうところがオーディションでも伝えられたのかなとは思いますね。
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「あの曲をやろうかな」
- No title「rain stops, good-bye」
- 2018年1月23日配信開始 / LINE RECORDS
- 収録曲
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- rain stops, good-bye
ライブ情報
- GIRLS DON'T Cry -OUT OF OUR SHELLS 4-
- 2018年1月27日(土)青森県 LIVE HOUSE FOR ME
- 出演者
No title / ブレインストーミング / LOVESTRUCK / カドモモコ / 焞 -jun-
- No title(ノータイトル)
- ほのか(Vo, G)、あんべ(G)、ポチ(ゆうと)(Piano)の3人からなる青森県三沢市出身の高校生バンド。中学校の文化祭をきっかけに2016年に結成された。2017年11月に結成わずか1年にして、その表現力と独自性が評価され「LINEオーディション2017」で総合グランプリを獲得。2018年1月にオーディションの応募曲「rain stops, good-bye」をLINE RECORDSより配信リリースした。