≠ME「Springtime In You」特集|メンバーと指原莉乃プロデューサーが語る待望の1stアルバム

2019年2月、=LOVEに続く指原莉乃プロデュースによる第2のアイドルグループとしてお披露目された≠ME。それから5年の時を経て、彼女たちの表現の集大成とも言える1stアルバム「Springtime In You」がリリースされた。

3月3日に東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナで「≠ME 5th ANNIVERSARY PREMIUM CONCERT」を昼夜2公演にわたって開催し、計1万6000人を動員するなど、≠MEは先輩の=LOVEに引けを取らない勢いでアイドルシーンを駆け抜けている(参照:5周年の≠ME、怒涛のダンスナンバーや“超絶かわいい注意報”で観客圧倒!横アリ含む全国ツアー決定)。そんな彼女たちの楽曲やパフォーマンスの中心にあるのが“青春”というキーワード。力強いダンスナンバーも含みつつ、「君の中の青春」を意味するタイトルが付けられた1stアルバムの全14曲にも、メンバーが描く“青春”が詰め込まれている。

音楽ナタリーでは本作の発売を記念し、メンバーの尾木波菜、落合希来里、蟹沢萌子、川中子奈月心、冨田菜々風、永田詩央里のインタビューと、指原プロデューサーのインタビューを2本立てで掲載。アルバムの新曲や、“青春”というグループのアイデンティティに対する思いをたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 近藤隼人撮影 / 上野留加

尾木波菜、落合希来里、蟹沢萌子、川中子奈月心、冨田菜々風、永田詩央里
インタビュー
左から川中子奈月心、永田詩央里、冨田菜々風、蟹沢萌子、尾木波菜、落合希来里。

左から川中子奈月心、永田詩央里、冨田菜々風、蟹沢萌子、尾木波菜、落合希来里。

今まで描いてきたものが新曲に詰まっている

──1stアルバムのリード曲「ラストチャンス、ラストダンス」はさわやかで明るい曲調と、切ない片思いを描いた歌詞のコントラストが印象的です。

蟹沢萌子 まず、私たちにとって大切な色である水色の衣装を着てメンバー全員で踊ること、そのことに幸せを感じます。衣装の生地に≠MEというグループ名がプリントされているのもありがたいですし、≠MEが今までの楽曲で描いてきた一途に誰かを思う気持ち、まっすぐな気持ちの強さみたいなものが今回の曲に詰め込まれていると思います。

尾木波菜 指原さんの歌詞には、自分の中にあるなかなか言語化できない感情を、想像しやすいように言葉にしてくれている感覚があります。そのうえで私は歌に感情を込めやすくするために、曲の主人公の相手をファンの方に置き換えて考えることが多くて。「ラストチャンス、ラストダンス」では、「君の全部が好きだ」という歌詞のようにファンの方も私の全部を好きと思ってくれるのかなと考えたり、逆に私はファンの方の全部が好きだなと改めて思いながらレコーディングに臨みました。

尾木波菜

尾木波菜

川中子奈月心 私はこの曲が本当に好きで、最初に聴いて歌詞を読んだときからグッと来るものがありました。「君に似合う人なのかな?」というフレーズで始まるところが胸に刺さりますし、「雨が降った日のハネたストレート」や「授業に飽きた表情さえ きっと忘れないだろう」という歌詞から、好きな人のことをずっと見ていたことが伝わってきます。それぐらい大好きなのに、相手に気持ちが伝わらなくてあきらめちゃうところが本当に切なくて。でもメロディはキラキラしているという、その組み合わせが素敵です。

落合希来里 曲調がすごく≠MEらしいなと私は第一印象で思いました。ミュージックビデオには笑顔で歌う、キラキラしたアイドル感のあるシーンもあれば、失恋ソングらしく切ない表情で歌うところもあって。ここ最近のシングルが「アンチコンフィチュール」「想わせぶりっこ」など、“カッコいい”か“かわいい”に振り切った楽曲だったので、今回は新たな表現に挑戦した感覚がありました。

冨田菜々風 片思い、失恋、そして“僕目線”っていう私の好きな要素が歌詞に全部入っていて。1stアルバム、しかも結成5周年というタイミングで≠MEらしさあふれる楽曲を歌えることがうれしいです。

──先輩グループの=LOVEが歌う失恋ソングは大人びている印象があるのに対して、≠MEの描く失恋ソングは青春感があるのが特徴ですね。

落合 青春感がありつつ、活動5年目にして大人っぽい表現もできるようになってきたのかなと思います。今の≠MEだからこそ歌える曲を指原さんは用意してくださったのかもしれません。

永田詩央里 今回、振付は武田舞香先生が担当してくださいました。舞香先生の振付は踊っていて「今、私はアイドルしている!」という気分になれるところがすごく好きです。かわいい要素がたくさんちりばめられているんです。

落合 カタカナの「スキ」を手で表している振付はぜひファンの方に真似してほしいです。

落合希来里

落合希来里

思わずあふれる“想わせぶりっこ”な表情

──MVは「相手にまったく届かない僕の気持ち」というテーマのもと、歌詞に登場する“僕”目線で、学校のマドンナたちの視線で追う映像になっています。監督を務めたナカジマセイトさんは「『“全力のアイドルスマイル”は今回封印してください』と演出していたのですが、やはりみなさんアイドルなので『想わせぶりっこ』な笑顔ばかりで、笑顔の引き算が一番難しかったです」とコメントしていましたが、体に染み付いたアイドルスマイルが無意識にあふれ出てしまうんでしょうか?

永田 波菜ちゃんが教室のシーンを撮影しているときにモニタを観ていたんですが、カメラに向けてくれる笑顔があまりにもかわいすぎて、スタッフさんが「もう少し抑え気味でいこう」とおっしゃっていました(笑)。

尾木 「それは好きな人に向ける笑顔だね」って言っていただきました(笑)。片思いされている側、曲の主人公のことをただのクラスメイトだと思っている表情を求められていたから、相手に好意があるような“想わせぶりっこ”な表情は違うんですよね。でもそれが難しくて、監督さんに何度も「それはまだ好きの顔だね」と言われながら撮影しました。

冨田 私も桜の木の下で撮影したMVのラストシーンでけっこう苦戦しました。“僕”のことは友達だと思っていて、自分はほかの人に好意を持っていて……という設定を細かく指導していただいていた中、少しいきすぎてしまったんです。他人感が出てしまって(笑)、“僕”がかわいそうになってしまったので、程よい距離感を探りながら撮影しました。今回のMVを機に、メンバーみんな新たな表情を得ることができた気がします。

冨田菜々風

冨田菜々風

──水が張られていないプールの中のダンスシーンはいかがでしたか?

川中子 MVを撮影したのが、とてもとても寒い日で……風も強い日でした。裸足で踊ったんですが、プールの床も非常に冷たくて、自分がどんな顔をしているかわからなくなりました。切ない表情をしているつもりが、引きつった寒い表情をしちゃったんです。舞香先生が「寒い顔をしているよ!」とメンバー全体に言っていたとき、「私のことだ……! ごめんなさい!」と思いながらがんばって踊りました。

永田 その表情が切ない雰囲気を醸し出していてよかったと思います(笑)。

すべての時間がかけがえのない“青春”

──やはり“青春”というキーワードが≠MEの表現の核であり、=LOVEや≒JOYと並んだときに浮かび上がる一番のアイデンティティなんでしょうか?

蟹沢 そうですね。「君の中の青春」を意味する「Springtime In You」というタイトルを1stアルバムに付けていただけたことがうれしいです。ファンの皆さんも≠MEを応援している中で青春を感じていると思いますし、私たち自身も暑い日や寒い日もメンバーと一緒に過ごしてきて、「青春しているな」と感じる瞬間がたくさんあります。いろいろな世界を≠MEとして冒険してきて、それらすべてがかけがえのない時間、つまりは青春になっているんじゃないかなって。そう考えると、青春という言葉ってすごく素敵だなと改めて感じました。

蟹沢萌子

蟹沢萌子

──そんな中、≠MEは今年で結成5周年を迎えました。作品のリリースペースしかり、コンサートの会場規模しかり、「超特急 ≠ME行き」というメジャーデビューミニアルバムのタイトルを体現するかのようなスピードで階段を登ってきた印象です。

冨田 早かったし、長かった5年間でした。そう感じるのは、これまでの日々が濃かったからだと思います。本当に「超特急 ≠ME行き」というタイトル通りみんなで走り続けてきて現在の位置にたどり着いていますが、それはメンバー1人ひとりが気持ちを強く持たないとできないことだったなって思います。5周年という節目にもう1回気を引き締め直して、これからは超特急どころではない今まで以上の勢いで活動しつつ、ファンの皆さんを置いていかないように手をつないで進んでいきたいです。

尾木 たくさんの方に支えていただいたうえで迎えられた5周年ですね。「≠ME全国ツアー2023『We shout "I am me."』」のツアーファイナル公演として日本武道館という大きなステージに立ったときも「まだここでは満足できないな」という気持ちを持っていましたが、メンバー全員が同じ気持ちでずっと高みを目指し続けたいと思います。

音楽ナタリー初登場、落合&川中子の魅力

──落合さんと川中子さんは今回が音楽ナタリーのインタビュー初登場。毎回数名ずつインタビューに参加いただいていますが、これで≠MEのメンバー全員にお話を聞くことができました。≠ME全員が登場した記念も含めて、初登場の落合さん、川中子さんの魅力をほかのメンバーからご紹介いただいてもよいでしょうか? まずは落合さんについて。

永田 ずっと変わらないのは、姉御感があるところです。頼りたくなるというか。でもどっしりと構えているときもあれば、かわいらしくメンバーとじゃれあっているときもあって、いろいろな一面を見せてくれます。

川中子 人の目を見て話してくれます! 芯がしっかりしているので頼れるし、姉御という言葉がぴったりで、人として素敵だなと思います。ダンスも歌も素敵です!

川中子奈月心

川中子奈月心

尾木 「≠ME」(2019年発表の≠ME最初のオリジナル曲)のMVのときから思っているんですが、プロフェッショナルなんですよね。生まれ持ったアイドルとしての素質があって、表情や表現に関して勉強になることばかりです。それと同時に5年間近くで見てきた中、時間をかけて努力して伸ばしているところもあって、すごく尊敬しています。

蟹沢 「フロアキラー」という希来里のセンター曲があるんですが、そのタイトル通り、フロアを沸かせるキラーチューンなんですよ。希来里はパフォーマンスの面でもトークの面でもフロアキラーで、会場を熱くさせるのが上手です。希来里が踊ると、観ている側の心の熱が一気に上がるし、アイドルらしい楽曲では弾けるような笑顔をキラキラした姿を見せているし、いろいろな色を持ちつつ、その全部にパワーがありますね。

冨田 あるコンサートで、希来里が足音のSEに合わせてステージに登場する演出があったんですが、あの日から、希来里が近付いてくるとその足音が頭の中で聞こえるようになりました(笑)。それくらい空間を支配する力があるなと思います。

永田 マイクを持っている姿が本当に似合うんですよね。

落合 うれしい! マイクを持ち続けます!(笑)

──続いて川中子さんの魅力についてもお願いします。

尾木 奈月心は≠MEの中で一番変化したメンバーだと思います。少し人見知りをするところもあるし、最年少ということで最初はみんなに気を使っていて、こんなにも面白い子だとは思っていなかったんですよ。でも一緒に活動していくうちに、私たちに心を許してくれるようになったのかなと感じています。もっと面白いところを引き出すためにさらに甘やかしていきたいですね。

落合 最近は意見を言ってくれるようにもなって、心の距離が近付いた感じがしてうれしいです。自分のやりたいこと、叶えたいことをしっかり持っている子だなと思います。活動をしていくうえで自分のやりたいことをはっきりさせるのは大事なことだと思うから、すごく素敵です。

蟹沢 私は最年長なので、6歳年齢が離れているんですが、奈月心は考え方がしっかりしているし、パフォーマンスに対する姿勢も最初の頃からずっとカッコいいんです。無限の可能性を持っているなと思います。それはダジャレの面においてもです(笑)。パフォーマンスでもダジャレでもこちらが予想していない、奈月心だけの色を出せるのが素敵です。

永田 なつみんは普段、楽屋で場を沸かせてくれたり、ジョークを言ったり、たくさん笑っていたりするんですが、真剣なときはすごく言葉を選びながら話してくれる印象があります。そのときの視線の動き方が好きで、ずっと聞き続けたくなるような話し方なんです。

永田詩央里

永田詩央里

冨田 それに奈月心は本当に妹気質で……。

川中子 そうかな!?(笑)

冨田 最近は心を解き放って、みんなに対してぐいぐい来てくれるというか、いい意味で砕けたという印象です。手足が長いから、ステージに立つとそれが際立つし、そのギャップが素敵です。≠MEの秘密兵器のようなメンバーだと思います。

川中子 こんなに褒めてもらえる機会を作っていただいてありがとうございます

──今回の特集では指原さんにもインタビューするのですが、メンバーから指原さんに何か聞きたいことはありますか?

落合 あります! アルバムタイトル「Springtime In You」の中の「me」は≠MEにかかっているのかなと個人的に解釈したのですが、そのことについてぜひ知りたいです!

2024年3月26日更新