指原莉乃がプロデュースする≠MEが2月16日に3rdシングル「チョコレートメランコリー」をリリースする。
青春感のあるさわやかでエモーショナルなアイドルソングを持ち味とする≠ME。バレンタインの時期に発売される今回のシングルもその路線を突き進んだ恋愛ソングになるかと思いきや、彼女たちはこれまでのイメージを覆す、ダークな世界観のナンバーに挑戦した。ゴシック調のサウンドに乗せて歌われるのは、相手への独占欲があふれた“激重”な愛情。音楽ナタリーでは蟹沢萌子、菅波美玲、谷崎早耶、冨田菜々風の4人にインタビューし、グループにとって意欲作になった「チョコレートメランコリー」の注目ポイントや、≠MEの中で独占欲の強いメンバーは誰か、という話題について話してもらった。
取材・文 / 近藤隼人撮影 / つぼいひろこ
誰も見たことのない≠ME
──今回、≠ME初のバレンタインソングということでかわいらしい曲を想像していたんですが、実際は予想とは真逆の仕上がりで。楽曲の資料に「狂気でしかない。独占欲、執着愛のダークな呪いのチョコレート」と書いてある通り、かなり強烈な世界観になっています。
蟹沢萌子 冬にシングルを発売するのが初めてで、どんな曲になるのかなと思っていたところにダークな雰囲気の楽曲が届いて。歌詞をなぞりながら聴いているとゾクゾクしてきて、この曲を≠MEで歌って、さらに振り付けが付いて、ミュージックビデオが作られたらいったいどんな世界観になるんだろう?とものすごくワクワクしました。最初に音源を聴いたときはその想像がまったくつかなかった分、レコーディングや振り入れに対する期待感がグッと上がりました。
冨田菜々風 バレンタインと言えば好きな人にチョコを渡すときのドキドキ感をイメージすると思うんですけど、「チョコレートメランコリー」はそれとは違って、好きでたまらなくて、追い求めて危ない橋を渡っていくようなドキドキ感があると思っていて。≠MEはさわやかなイメージが強い分、ファンの皆さんも衝撃を受けるだろうな、と考えながらレコーディングしたり、MVを撮影したりするのはすごく楽しかったです。
谷崎早耶 本当に今までのさわやかな青春感や疾走感のある≠MEのイメージとガラッと雰囲気が変わって。私自身、こういう方向の表現にあまり挑戦したことがなかったので楽しみな気持ちと同時に、「自分にできるのかな……」という不安や緊張も大きかったです。でも、歌詞の主人公の女の子に感情移入する楽しさや、メンバーの新しい表情を発見できて、表現するのがどんどん楽しくなっていきました。
菅波美玲 最初、ドゥンドゥンドゥンドゥン……ってダークな音で曲が始まるじゃないですか。まずそこから衝撃でした。それと同時にBメロの「死んでもヒロインでいたい」という歌詞から主人公の女の子の強い思いを感じて。相手のことが大好きすぎて、チョコレートを作っているときも彼のことしか考えていないし、曲の最後にその彼は女の子のことを知らず、女の子が彼のことを一方的に好きなことがわかるんですよね。その感情をどう表現するのか、私たちにとっては新たな挑戦で、自分をレベルアップさせられる曲だなと思いました。みんなで菜々風のことを囲んでチョコレートを舐めるような振りもあって、今までとは180°違う、誰も見たことのない≠MEが見れると思います。
──クールな一面を強調した2020年発表の「P.I.C.」を筆頭に、≠MEはさわやかな青春ソング以外の曲も見事にパフォーマンスしているように感じます。メンバー的に、今回のようなダークな雰囲気の曲は好きですか?
冨田 めっちゃ好きです! 「P.I.C.」もみんな好きですし、いろんな曲に挑戦できるのはすごく楽しいですね。
蟹沢 「チョコレートメランコリー」はダークさの奥にある熱い恋の思いがスパイスになっているというか、シックな曲調と裏腹にどんどん加速していく恋心が歌詞に表れていて、表現していて楽しくて、大好きです。みんな曲を聴いた日から「ヤバい、めっちゃ好き!」って興奮していて。まあ≠MEは新曲のたびにそうなるんですけど(笑)、今回は女の子らしさをよりこじらせた恋愛感情にドキドキ、ワクワクしました。
──かなりのこじらせ具合ですよね。
菅波 それでいて、上品な女の子なのかなという印象も受けました。
ここで決めなきゃアイドルじゃない
──「チョコレートメランコリー」のMVはインパクトの強いシーンが多く、楽曲の世界観をより鮮明に味わうことができます。蟹沢さんが包丁を持っているシーンがあったり……。
蟹沢 ふふふ。この包丁、本物なんですよ! でも、チョコレートを調理するために持っているので、決して何か危険なことをしようとしてるわけではないです(笑)。おうちではセラミック包丁を使っているので、ステンレス包丁をひさしぶりに見てドキドキしながら手に取ったんですけど、曲の世界観に入り込むことができたのか、撮影が始まったら全然怖くなくなって。その包丁を食べてしまいそうなくらい顔に近付けてリップシーンを撮って、自分にとってはまさに≠MEな瞬間でした(笑)。
──うまいですね(笑)。
蟹沢 この曲だからこそのシーンですね。ほかの≠MEのMVでこのアイテムが似合うような場面はないし、最初は本当にドキドキしたんですが、画面の中でいい感じに映えたらいいなと考えて撮影に臨みました。包丁の角度を変えてみたら照明の光がきれいに当たって、キラーンって光った瞬間が印象的でした(笑)。
谷崎 私は最後のケーキの蓋を取るシーンの撮影が印象に残ってます。この蓋がガラスでできていて、とんでもなく重かったんですよ! 私の腕が少しでもブレちゃうとケーキが崩れちゃうんです。本当にどのシーンよりも一番緊張しました。手元だけしか映っていないんですけど、ものすごく真剣な顔でがんばりました。私の魂を込めたシーンなのでぜひ注目してほしいです(笑)。
冨田 私も下で支えてたんですけど、めっちゃハラハラしました(笑)。
蟹沢 端から見ていたらそんなに重いものだとわからないくらいきれいに垂直に持ち上げてました。
谷崎 本当に重かったです。でも、ここで決めなきゃアイドルじゃないと思って(笑)。
冨田 そこなの?(笑)
──顔は映っていないのに。
谷崎 芸能人の方って、テレビでここぞというときに決めるじゃないですか。「私もここで決めないとダメだ!」と思って、強い心で蓋を開けました(笑)。
冨田 あと、振り付けの話になるんですけど、どの振りもすごくインパクトがあって。MVには小指をくわえるシーンも出てくるんですよ。「小指のどの辺を噛んだら怖く見えるかな?」と考えながら踊ったのでファンの皆さんもぜひ(笑)。
菅波 ライブで一緒に嚙んでくれるかな(笑)。
谷崎 マスク越しに(笑)。
冨田 それは面白いかも(笑)。
指原さんからビジュアル面のアドバイス
──今回のシングルはジャケット写真の黒い衣装や今日着ているメイド風の衣装も含め、ビジュアルの作り込みがすごいですね。プロデューサーの指原莉乃さんとはビジュアル面について何か言葉を交わす機会はあったんですか?
谷崎 私はこの3rdシングルの制作期間に初めて耳の軟骨にピアス穴を開けたんですけど、指原さんに「ピアス開けてもいいですか?」とお聞きして。「開けたいけど、勇気がいるな」と思っていたところ、「似合うと思う!」と背中を押していただけました。このかわいくて甘い衣装に対して、ちらっと見えるピアスがいいアクセントになっていると思います。
蟹沢 美玲ちゃんは髪色をハイトーンにしたよね。
菅波 そうなんですよ! 「私ってどんな髪色が似合いますか?」と指原さんに連絡したら、「クレイジーな髪色がいい」とおっしゃってくださって、参考画像まで送ってくれたんです。曲の雰囲気がガラッと変わったので、それに合わせて髪色もガラッと変えていこうということで、ジャケット写真では明るい金色の髪になっています。でも、その前のMV撮影のときは思った以上に髪の色が抜けなくて……本当はもうちょっと明るくなっている予定だったんですよ。3rdシングルを通して自分の髪色の抜けなさを知ることができました(笑)。
──指原さんに髪色について相談するのは、ときどきあることなんですか?
谷崎 そうですね。今回、私はピンクに染めたいなと思って相談して。その結果、ハイトーンの色にする美玲ちゃんと被らないようなピンクに染めました。そういうグループ全体のバランスも考えて相談に乗ってくださるので、すごくうれしいです。
冨田 髪の話で言うと、私は今回のシングルに合わせて髪を切りたいなと思ってたんですよ。
谷崎 ショートにしたいってずっと言ってたよね。
冨田 でも、指原さんに「今回はごめんね」って言われて(笑)。
──作品の世界観に合わせて、そのときどきでメンバー1人ひとりのビジュアルを考えているということですね。
蟹沢 私もアイドル人生でもう1回ショートにしたくて。めちゃくちゃベリーショートにしたいと思っていたんですけど、「個人的には長いほうがいいと思う」と指原さんにアドバイスをいただいたんです。実際にMVを撮影していて、髪を切らずに今の長さでハーフアップにしているほうが正解だと感じたので、やっぱり指原さんのアドバイスってパフォーマンスやアイドルとしての志についてはもちろん、ビジュアル面も的確なんだなと改めて思いました。
冨田 「衣装がメイド服で、曲がダークな感じだからストレートに下ろしたほうがいいよ」っておっしゃってたよね。そういうふうにビジュアル面までプロデュースしていただけてうれしいです。
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菅波美玲からはマイナスイオンが出ている