NONA REEVES|「NONA REEVESとは〇〇〇〇である」7人のアーティストが考えるノーナの魅力 feat. 宇多丸(RHYMESTER)、YUKI、やついいちろう(エレキコミック)、しまおまほ、高橋健介(LUCKY TAPES)、Megu(Negicco)、坂本真綾

NONA REEVESが3月13日にニューアルバム「未来」をリリースする。

1995年の結成以来、1970~90年代のブラックミュージックやバンドサウンドで鳴らすブルーアイドソウルを下敷きにした “ポップンソウルミュージック”をコンスタントに世に送り出してきたNONA REEVES。何ゆえ彼らは20年以上の長きにわたりハイクオリティな作品を生み出し続け、また多くの音楽ファンの心を射止め続けることができるのか? 音楽ナタリーでは、新作の発表に併せて特集を展開。宇多丸(RHYMESTER)、YUKI、やついいちろう(エレキコミック)、しまおまほ、高橋健介(LUCKY TAPES)、Megu(Negicco)、坂本真綾といった、バンドとゆかりのある7人のアーティストたちに「NONA REEVESとは〇〇〇〇である」というお題に答えてもらい、NONA REEVESのポップで多面的な魅力に迫った。また特集後半ではニューアルバムについてメンバー3人に制作背景などを語ってもらった。

取材・文 / 久保田泰平

──今回の特集では、NONA REEVESというバンドが持つ魅力を浮き彫りにするべく、バンドとゆかりのある7人のアーティストに「NONA REEVESとは〇〇〇〇である」というお題を投げて、回答していただきました。まずはそちらを元にインタビューを進めていきたいと思います。

西寺郷太(Vo) 新しい趣向ですね(笑)。よろしくお願いします。

──では、さっそく。1人目のアーティストは、ノーナのニューアルバム「未来」にも参加されているRHYMESTERの宇多丸さんです。

宇多丸(RHYMESTER)

宇多丸(RHYMESTER)

NONA REEVESとは

聴けばいつでもハートをティーンエイジャーに戻してくれる、東洋一のポップ・マシーン

である。

Comment

そもそも郷太くんとは、一緒にDJやってても「兄弟か!?」と思うくらいツボが完全に一致しているので、彼らの作る曲が僕にハマらないほうがおかしいのです。いつもウキウキさせてくれてありがとう!

奥田健介(G, Key) 宇多丸さんに、こんなふうに言ってもらえるなんて本当にうれしいですね。

西寺 先日、ライムスに参加してもらった「今夜はローリング・ストーン」のミュージックビデオの撮影があって、3人にも出演してもらったんですけど、この人たちと一緒に音楽をやれて心からうれしいなあと思って。「生きててこれ以上いいことないよな?」っていうぐらい最高の気持ちでした。

──宇多丸さんとはラジオでもたびたびご一緒されていますよね。

西寺 今もアトロク(TBSラジオ「アフター6ジャンクション」)に月イチぐらいで出させてもらってますけど、その前に宇多丸さんがやってたタマフル(TBSラジオ「ウィークエンド・シャッフル」)のおかげで僕は救われたというか。2007年秋に発表した「マイケル・ジャクソンと小沢一郎ほぼ同一人物説」をいろんな方々から面白がってもらえたり(笑)、あの番組に出演したことで別の未来が拓けました。リスナーの幅も広がりましたし。お互い80年代の音楽が大好きで、少年時代の感覚を共有できるうれしい先輩ですね。

──まさに宇多丸さんいわく「ツボが一致してる」と。

奥田 ツボが一致してる人って感覚を共有できてるから共同作業をしたときも、いろいろスムーズに進んでいくんですよね。今回のコラボレーションも、まさにそういう感じでした。

小松シゲル(Dr) 宇多丸さんと知り合ったのは10数年前ですけど、もっと昔から知ってるような不思議な親和性を感じて。大学の先輩としゃべってるような感じがあるんです。「ああ、こういう感覚あったなあ」っていつも思う。酔っぱらって、兄貴キャラになって僕らを困らせるところなんかも先輩感あるし(笑)。

西寺 最近はお忙しいのでタイミングは減りましたが、飲むと昼まで?みたいなコースも昔はありましたから。で、全力で「80年代はどこまでか?」とか音楽論争(笑)。宇多丸さんは、とにかくエネルギッシュなんですよね。愛すべき大先輩です。

──お次もノーナとつながりの深いこの方です。

YUKI

YUKI

NONA REEVESとは

本醸造 超辛

である。

Comment

温めると淡麗になり、酔っ払う。
(温まったグルーヴはより洗練されたサウンドを聴かせ、音楽で酔わせる)

西寺 メロウって言われがちな僕らを辛口って言ってくれてうれしい(笑)。多分、我が道を行ってることをそう表現してくれたんじゃないかな? すごくYUKIちゃんらしいコメントですね。

──YUKIさんの最新アルバム「forme」には西寺さんが作曲した「しのびこみたい」も収録されてますし、この曲では演奏もノーナが担当しています。さかのぼると、2010年発表のYUKIさんのアルバム「うれしくって抱きあうよ」には奥田さんがギターで、小松さんがドラムで参加していました。

奥田 YUKIちゃんは、大前提として、とにかく「かわいい」っていう。みんな思ってるから当たり前すぎて話として挙がらないけど、今回のジャケットとか見ても「やっぱり、かわいいなあ」と思いますね(笑)。

──同性からの支持も絶大ですし。長い間、「かわいい」のアイコン的存在として君臨してるのはすごいことですよね。

奥田 YUKIちゃんは、かわいさの中に気っぷのよさがあって、さらに音楽センスもある。すごく乗せ上手というか、レコーディングのときもノンストレスで気持ちよく弾かせてもらいました。YUKIちゃんの後ろで弾くのって、ガチガチに緊張してもおかしくないんだけど、今までまったくそういう記憶がなくて。

小松 とにかくサッパリしてる人だなあって思いますね。物事をスパッと決められるし、決めたことには絶対に責任を持つ。そういうところがホントにカッコいいなと思いますね。

西寺 小松はYUKIちゃんのツアーでバンマスをしてたり、奥田もレコーディングでギターを弾いたりしてたんだけど、僕だけずっと一緒に音楽を作ったことがなかったんですよね。付き合いは長いんですけど、ついに「しのびこみたい」で初めて一緒に曲を作ることができて。キター!って(笑)。

──郷太さんがYUKIさんと知り合ったのはどういうきっかけだったんですか?

西寺 YUKIちゃんは僕らのメジャー1stシングル(1997年リリースの「GOLF.EP」)を自分で買って、ラジオでかけてくれたんですよね。その噂を聞いて、そこから付き合いが始まって。1990年代から2000年代初頭は一緒に食事に行ったり、特に遊んでいました。YUKIちゃんは当時から僕らとつながりが深いキリンジも大好きで。YUKIちゃんの新しいアルバム(「forme」)で、僕作曲の「しのびこみたい」と、今ソロになった堀込泰行くんの曲「ただいま」が隣同士でブックレットに並んでるんですけど、「こういう曲順にしたのも、YUKIちゃん、あえてなのかな?」とか思ったり(笑)。

──他ジャンルのアーティストからも回答をいただいています。お笑い界を代表して、やついいちろうさん。

やついいちろう(エレキコミック)

やついいちろう(エレキコミック)

NONA REEVESとは

コロッケ

である。

Comment

コロッケって最初は洋食を真似して作ったものだったらしいんですが、それがすっかり日本独自の美味しい食べ物になったって歴史があって。ノーナにもそういう楽しさを感じます。コロッケってとても手軽でみんな大好きだし。それって一番POPだって事だから。

西寺 お! やっつん、うれしいこと言ってくれますね。

──やついさんともお付き合いは古いですよね?

西寺 もう17、8年の付き合いですね。最初はテレビでエレキを観て僕も普通にファンで。その後、2002年かな? ホフディランの休止ライブを観に行ったら、やっつんが観に来ていて終わったあとに話しかけてくれたんですよ。「インディーズ時代の『QUICKLY』から聴いてます!」みたいな感じで。あと、個人的にエレキコミックはノーナと似てる部分があるなとずっと思っていて。

──それは具体的に言うと?

西寺 やってることが難しくないところ。僕らがデビュー以来やってきたことって、周りの同世代のバンドに比べてすごくシンプルな気がするんですよ。エレキの面白さも、ある意味子供のままみたいな、いい意味でのくだらなさがあって、すごくポップなんです。僕はやついくんがコントのときに被る角刈りのヅラが大好きで。かわいいじゃないですか(笑)。ともかく最初、三鷹に生のエレキを観に行ったとき、ホント面白くて衝撃を受けて今も大ファンです。どこかである種、似た者同士という気もします。「お前もコロッケやで」って書いといてください(笑)。

──わかりました(笑)。

奥田 やついくんには“反射神経で生きてる人”っていう印象がありますよね。それも一番ピュアな子供の反射神経というか。そういう部分の、センスやスタンスが似てるというのは僕も感じますね。実は、知り合う前から、僕はやついくんと同じ街に住んでて、いつも電車の中で見かけてたんです。「NHKの『爆笑オンエアバトル』によく出てる人だ!」って(笑)。そしたらいつのまにか知り合いになっていて。こんなに長い付き合いになるとは思わなかった(笑)。僕がサポートしてるレキシのライブには、よくやついくんも出演してるし。あと音楽がすごく好きな人だから、お笑いもどこか音楽的で。コントを観てても、すごく音楽を感じる瞬間があるんです。

小松 ライブやフェスとか、とにかく、いろんな音楽の現場でお会いしますよね。「やついフェス」にも誘ってくれて。今年はひさびさにNONA REEVESとして出演できるので、今からすごく楽しみです。

NONA REEVES「未来」
2019年3月13日発売 / Warner Music Japan
NONA REEVES「未来」初回限定盤

[CD] 3240円
WPCL-13008

Amazon.co.jp

収録曲
  1. 未来
  2. ガリレオ・ガール
  3. 今夜はローリング・ストーン feat. RHYMESTER
  4. Physical
  5. Sad Day
  6. プレジデント・トゥナイト
  7. Go Home
  8. Sorry JoJo
  9. Aretha
  10. Disco Masquerade
  11. 遠い昔のラヴ・アフェア

ツアー情報

THE FUTURE 2019
  • 2019年5月3日(金・祝)東京都 新代田FEVER
  • 2019年5月4日(土・祝)東京都 新代田FEVER
  • 2019年5月11日(土)大阪府 Music Club JANUS
  • 2019年5月12日(日)愛知県 ell.FITS ALL
  • 2019年5月18日(土)北海道 札幌KRAPS HALL
  • 2019年5月25日(土)福岡県 DRUM SON
  • 2019年6月1日(土)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
  • 2019年6月23日(日)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA(※追加公演)
NONA REEVES(ノーナ・リーヴス)
西寺郷太(Vo)、奥田健介(G, Key)、小松シゲル(Dr)の3人からなる“ポップンソウル”バンド。1995年に結成し、1997年11月に「GOLF ep.」でメジャーデビューを果たす。初期はギターポップ色の強い楽曲を得意としていたが、1999年のメジャー2ndアルバム「Friday Night」を機にディスコソウル的なサウンドを追求し始める。その後も精力的に活動を続け、コンスタントに作品を発表。ポップでカラフルなメロディと洗練されたアレンジによって、国内でほかに類を見ない独自の立ち位置を確立する。西寺は文筆家としても活動し、80'sポップスの解説をはじめとする多くの書籍を執筆。さらにメンバーは3人とも他アーティストのプロデュースや楽曲提供、ライブ参加など多岐にわたって活躍している。2017年3月にメジャーデビュー20周年を記念したベストアルバム「POP'N SOUL 20~The Very Best of NONA REEVES」を、10月には通算13枚目となるオリジナルアルバム「MISSION」をリリース。2019年3月にはニューアルバム「未来」を発売し、5月からレコ発ツアー「THE FUTURE 2019」を行う。

2019年3月13日更新