音楽ナタリー Power Push - NONA REEVES

紆余曲折ありつつ20年、ノーナに学ぶ音楽シーンのサバイブ術

16年目からなぜかハイペース

──その後2004年からは徳間ジャパンコミュニケーションズに所属して、リスタートを切ります。

郷太 最初はトライエムっていう会社だったんだけど、そこが徳間に吸収されたんですよね。

──この時期にリリースしたのが「THE SPHYNX」「3×3」「DAYDREAM PARK」「GO」(2004年10月~2009年3月発売)という4枚のアルバムですね。

郷太 「透明ガール」「ラヴ・アライヴ feat. 宇多丸」あたりは、俺らも自主的に「もう1回『DESTINY』みたいにシングル的なドカーンっていうアルバム作ろう」って気合いが入ってた。

奥田 「3×3」はカラフルだよね。

郷太 ちょうど「DAYDREAM PARK」の頃に10周年を迎えたんですよ。

──そして2011年にはBillboard Recordsに移籍です。そういえば今回のベストアルバムにはビルボード期の楽曲が収録されていませんね。

小松シゲル(Dr)

小松 あ、ビルボードは単体でベストを出したいって言ってくれてて。

郷太 ちょっと前に「WARNER MUSIC YEARS / THE BEST OF NONA REEVES 1997-2001」と「COLUMBIA & TOKUMA YEARS 2002-2009」っていうベスト盤2枚を出したんだけど、ビルボード期もそういう感じでまとめておこうかって。あとビルボードからは「"CHOICE" by NONA REEVES」も出してるから。

──カバーアルバムの「"CHOICE" by NONA REEVES」も含めると、ビルボード期にはアルバム計6枚を出してることになるんですね。

小松 そう、なにげにけっこう出してる。

奥田 全然ベストアルバム作れる量なんですよ。

郷太 2011年から5年で6枚やからね。ライブ盤も4枚出してるし、デビュー16年目からなぜかえらいハイペースになってるっていう(笑)。

やり尽くした感は全然ない

──さて、ここまで20年間の歴史をざっくり振り返ってきましたが、デビューから現在に至る自分たちの状況についてはどう捉えていますか? 例えば「もっと売れたい」といった気持ちもありますか?

郷太 まだインディーズのときだけど、俺、覚えてるのが奥田と飲み屋で1回口論みたいになって、俺が「売れるためにどうすればいいか」みたいなことを話してたら「なんでそこまで売れたいの?」って奥田に言われて。

奥田 そんなこと言ってたっけ?(笑)

郷太 で、俺は「売れんかったら続けていけへんやろ!」って言ったんやけど、結果売れなくても続けてるっていう(笑)。

──そこがNONA REEVESのすごいところだと思うんです。特にヒット曲もないのに、でもちゃんと続いている。

郷太 ヒット曲ないとか言わんといて!(笑)

──(笑)。しかも、ほぼ20年間にわたって規模を変えずに、渋谷CLUB QUATTROでワンマンライブをやり続けているという。

奥田健介(G, Key)

奥田 ほかにいますかね? これぐらいの規模で似た感じのバンド。

──あまり思い付かないですよね。これまで危機的な状況はなかったんですか?

小松 あったのかもしれないけど、なんか俺らツイてるんですよ。そういう時期にちょうど別の仕事が入ってきたりして。

奥田 悲観的になったことはないよね。NONA REEVESってものに対して。

──その自信はどこから生まれてるんでしょうね。

奥田 うーん、ほかの仕事でなんとかなってきたっていうのもあるし、あとは何回か挫折を経験して、そこから現実だけを見てるから。おかしな夢はもう見なくなった(笑)。

小松 もし何かあっても「まあそれはそれで」っていう腹の括り方はできてるつもりだしね。

──逆にNONA REEVES以外の仕事がこれだけ忙しい今、バンドから気持ちが離れてしまうことはないですか?

奥田 そこはね、ノーナでまだやってないことがあるって気持ちがいまだにあるから。やってない感じの曲調とか、やってない試みとか。そういうのが見えなくなったらやめればいいかなって思うんですけど、それは不思議とずっと切れたことがないんです。だからやり尽くした感はまだ全然ないですね。

NONA REEVESの遺伝子

──あとこのバンドのすごい点として、みんなに“一目置かれている”というか、音楽が好きな人なら、特にNONA REEVESのファンじゃなくても「ノーナはちゃんとしてる」「いい音楽をやってる人たちだよね」っていう認識がある気がするんです。

奥田 そうなのかな?

小松 だったらラッキーですね(笑)。

NONA REEVES

郷太 ヒット曲もないのに(笑)。でも確かに3人ともほかのアーティストのヒットの手助けはけっこうしてるからね。ノーナの遺伝子っていうか、3人が関わって広がっていった音楽っていうのは膨大な量になってると思う。そこは自信を持ってるとこですね。

──そうした他現場への参加や郷太さんの執筆といった活動が、バンド本体にいい影響を与えてる部分もありますよね。

小松 うん、それはすごくあると思う。ノーナだけだったらたぶん飽きる可能性あるけど、ずっとほどよい感じでやれてるから。

郷太 バンドでよくあるパターンとして、例えばボーカルが忙しくて、誰かが暇っていう状況があると思うんだけど、俺らは3人ともそういう瞬間がないから。それこそナタリー見ながら「2人ともめっちゃ仕事してるやん」っていっつも思ってる(笑)。そういうグループは確かに少ないよね。

ベストアルバム「POP'N SOUL 20~The Very Best of NONA REEVES」 / 2017年3月8日発売 / WARNER MUSIC JAPAN
初回限定盤 [CD] / 2700円 / WPCL-12516 / 紙ジャケット仕様
通常盤 [CD] / 2700円 / WPCL-12533
CD収録曲(初回限定盤・通常盤 共通)
  1. O-V-E-R-H-E-A-T
  2. LOVE TOGETHER
  3. パーティは何処に?
  4. BAD GIRL
  5. ラヴ・アライヴ feat.宇多丸
  6. HIPPOPOTAMUS
  7. 透明ガール
  8. 重ねた唇
  9. I LOVE YOUR SOUL
  10. NEW SOUL -2017 MIX-
  11. DJ! DJ! ~とどかぬ想い~ feat. YOU THE ROCK★
  12. STOP ME
  13. DAYDREAM PARK
  14. HEY, EVERYBODY!
  15. WARNER MUSIC
  16. ENJOYEE!(YOUR LIFETIME)2017
ハイレゾアルバム「POP'N SOUL 4824~The Very Best of NONA REEVES」(全10曲収録) / 2017年3月8日発売 / WARNER MUSIC JAPAN
ライブ情報
NONA REEVES「デビュー20周年記念 赤坂ノーナ最高祭!!! 第一夜」
2017年3月26日(日)東京都 赤坂BLITZ
<出演者>
NONA REEVES / 堂島孝平 / サニーデイ・サービス
NONA REEVES「デビュー20周年記念 赤坂ノーナ最高祭!!! 第二夜」
2017年5月28日(日)東京都 赤坂BLITZ
<出演者>
NONA REEVES / KIRINJI
インストアイベント
2017年3月13日(月)東京都 タワーレコード新宿店7F
START 20:00
<出演者>
NONA REEVES(西寺郷太、奥田健介、小松シゲル)
内容:アコースティックライブ+特典会(サイン&握手)
2017年3月22日(水)愛知県 タワーレコード名古屋パルコ店 店内イベントスペース
START 19:00
<出演者>
西寺郷太(NONA REEVES)
内容:トーク+特典会(2ショット撮影&握手)
2017年3月23日(木)大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店イベントスペース
START 20:00
<出演者>
NONA REEVES(西寺郷太、奥田健介、小松シゲル)
内容:アコースティックライブ+特典会(サイン&握手)
NONA REEVES / ノーナ・リーヴス
NONA REEVES

西寺郷太(Vo)、奥田健介(G, Key)、小松シゲル(Dr)の3人からなる“ポップンソウル”バンド1995年に結成し、1997年11月に「GOLF ep.」でメジャーデビュー。初期はギターポップ色の強い楽曲を得意としていたが、1999年のメジャー2ndアルバム「Friday Night」を機にディスコソウル的なサウンドを追求しはじめる。その後も精力的に活動を続け、コンスタントに作品を発表。ポップでカラフルなメロディと洗練されたアレンジによって、国内で他に類を見ない独自の立ち位置を確立する。西寺は文筆家としても活動し、80'sポップスの解説をはじめとする多くの書籍を執筆。さらにメンバーは3人とも他アーティストのプロデュースや楽曲提供、ライブ参加など多岐にわたって活躍中。2017年3月にメジャーデビュー20周年を記念したベストアルバム「POP'N SOUL 20~The Very Best of NONA REEVES」をリリースした。