音楽ナタリー Power Push - NONA REEVES
紆余曲折ありつつ20年、ノーナに学ぶ音楽シーンのサバイブ術
NONA REEVESがメジャーデビュー時に所属していたレーベル、ワーナーミュージック・ジャパンと再契約。移籍第1弾作品として、メジャーデビュー20周年を記念したベストアルバム「POP'N SOUL 20~The Very Best of NONA REEVES」をリリースした。ベスト盤にはワーナー期、日本コロムビア期、徳間ジャパンコミュニケーションズ期の選りすぐりの楽曲に加え、「ENJOYEE!(YOUR LIFETIME)」の新録バージョンや新曲「O-V-E-R-H-E-A-T」も収録。彼らが1990年代から奏でてきた“POP'N SOUL”の集大成と言える1枚だ。
好況から不況へと音楽業界が激動した時期を経ながらも、デビュー時からの不動のメンバーで、常に第一線に立って良質なポップスを作り続けてきたNONA REEVES。その歴史を紐解くべく、これまでの20年の歩みを3人に改めて振り返ってもらった。
取材・文 / 大山卓也 撮影 / moco.(kilioffice) 衣装 / HUNDRED COLOR
「この3人なら20年間プロでやっていける」
──メジャーデビュー20周年おめでとうございます。このタイミングで古巣のワーナーミュージック・ジャパンと再契約とのことですが、これはどういう経緯で?
西寺郷太(Vo) いや、今回は俺らが何かがんばったってわけじゃなく、レーベルとマネージャーが話をまとめてくれて、メンバー的には「え、いいんですか?」「じゃあお願いします」っていう感じ(笑)。今ワーナーに戻って思いっきりやってみるのも面白いんちゃうかなっていうことですよね。
──なるほど。20年前のデビュー時を振り返って印象に残っていることはありますか?
郷太 あの頃はいわゆる下北ギターポップとかブリットポップムーブメントみたいなものとの差別化というか、自分たちの本質はちょっと違うよっていうのを強調してた時期だったのかな。バンドとして生き残っていくためにどうすればいいかっていうのを考えてましたね。
──具体的には?
郷太 NONA REEVESはインディーズ時代は5人編成だったんですけど、メジャーでやるぞっていうときに俺は小松と奥田を深夜のファミレスに呼んで「この3人でやろう」って言ったんです。「この3人なら20年間プロでやっていける」って。
──すごい。その言葉がそのまま現実になったんですね。
郷太 うん、辞めたメンバー2人もめちゃめちゃうまいプレイヤーだったんだけど、でもこの3人の少数精鋭でやったら20年間サバイブできるっていう自信があったんですよね。
「売れたくない」と思ってた
──NONA REEVESはインディーズでリリースした2枚のアルバムが高い評価を得て、そこからメジャーデビューまではトントン拍子だった記憶があります。
郷太 うん、あっという間にメジャーデビューした感覚はある。
小松シゲル(Dr, Vo) 当時はライブも数えるぐらいしかやってないんだけどね。
奥田健介(G, Key) ライブやるたびに知らない業界人が観に来て、なんとなくいい話を持ってくるみたいな(笑)。それで結局ワーナーと契約することになって。
──じゃあ当初からレコード会社からの期待はかなり大きかったのでは?
小松 でも当時はなんか「売れたくない」って思ってたよね。今思うとよくわかんないけど。
奥田 セルアウトしたくないっていうか。
小松 レコード会社の人がいろいろ言ってくれるんだけど、その通りやったらすぐにドカンと売れちゃってヤバいことになるって思ってたから(笑)。
──それで「フォーティ・パイ」という地味な曲を1stシングルにしてデビューしたんですね。
小松 そうそう(笑)。でも当時そうやってドカンと売れるのを避けたおかげで、今もマイペースで活動できてるのかもしれないけど。
──じゃあ「当時の自分、間違ってないぞ」と。
奥田 今にしてみれば「もうちょっとうまくやれよ」って言いたいとこはありますけどね。
小松 「『フォーティ・パイ』じゃないと思うぞ」とは言いたいです(笑)。
2ndアルバムで80'sリバイバル
──そして1999年2月にメジャー1stアルバム「ANIMATION」が満を持してリリースされます。これはどういう作品でしたか?
奥田 「ANIMATION」はちょっとインディーズ時代の名残みたいなムードもあったんじゃないかな。経験もなかったし、戦略みたいなものも皆無だったから。
郷太 今思えば過渡期ですよね。そのあとの2ndアルバム「Friday Night」(1999年12月発売)は今のノーナに直結してるんですけど。
奥田 最初はやっぱ直球投げるのを避けてたとこもあったんです。でも「Friday Night」から、ちょっとそんなことしてる場合じゃないぞって。
小松 俺らの80's好きな部分を、ちゃんと音に還元させたんですよね。
郷太 当時はまだローファイなものが良しとされる、いわゆるアンチ80'sの時代だったから。そんな中「Friday Night」ではマイケル・ジャクソンとかダリル・ホール&ジョン・オーツとかプリンスとか、音楽的にはそういう要素を盛り込んでる。今の時代ではシティポップとかアーバンとか言われてるけど。
小松 1999年からもう80'sリバイバルを始めてるっていうのが面白いよね(笑)。
奥田 そのとき以降、音楽性で迷ったことは一切ないと思います。
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- ベストアルバム「POP'N SOUL 20~The Very Best of NONA REEVES」 / 2017年3月8日発売 / WARNER MUSIC JAPAN
- 初回限定盤 [CD] / 2700円 / WPCL-12516 / 紙ジャケット仕様
- 通常盤 [CD] / 2700円 / WPCL-12533
CD収録曲(初回限定盤・通常盤 共通)
- O-V-E-R-H-E-A-T
- LOVE TOGETHER
- パーティは何処に?
- BAD GIRL
- ラヴ・アライヴ feat.宇多丸
- HIPPOPOTAMUS
- 透明ガール
- 重ねた唇
- I LOVE YOUR SOUL
- NEW SOUL -2017 MIX-
- DJ! DJ! ~とどかぬ想い~ feat. YOU THE ROCK★
- STOP ME
- DAYDREAM PARK
- HEY, EVERYBODY!
- WARNER MUSIC
- ENJOYEE!(YOUR LIFETIME)2017
ハイレゾアルバム「POP'N SOUL 4824~The Very Best of NONA REEVES」(全10曲収録) / 2017年3月8日発売 / WARNER MUSIC JAPAN
ライブ情報
NONA REEVES「デビュー20周年記念 赤坂ノーナ最高祭!!! 第一夜」
- 2017年3月26日(日)東京都 赤坂BLITZ
- <出演者>
NONA REEVES / 堂島孝平 / サニーデイ・サービス
NONA REEVES「デビュー20周年記念 赤坂ノーナ最高祭!!! 第二夜」
- 2017年5月28日(日)東京都 赤坂BLITZ
- <出演者>
NONA REEVES / KIRINJI
インストアイベント
- 2017年3月13日(月)東京都 タワーレコード新宿店7F
START 20:00 - <出演者>
NONA REEVES(西寺郷太、奥田健介、小松シゲル)
内容:アコースティックライブ+特典会(サイン&握手)
- 2017年3月22日(水)愛知県 タワーレコード名古屋パルコ店 店内イベントスペース
START 19:00 - <出演者>
西寺郷太(NONA REEVES)
内容:トーク+特典会(2ショット撮影&握手)
- 2017年3月23日(木)大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店イベントスペース
START 20:00 - <出演者>
NONA REEVES(西寺郷太、奥田健介、小松シゲル)
内容:アコースティックライブ+特典会(サイン&握手)
NONA REEVES / ノーナ・リーヴス
西寺郷太(Vo)、奥田健介(G, Key)、小松シゲル(Dr)の3人からなる“ポップンソウル”バンド1995年に結成し、1997年11月に「GOLF ep.」でメジャーデビュー。初期はギターポップ色の強い楽曲を得意としていたが、1999年のメジャー2ndアルバム「Friday Night」を機にディスコソウル的なサウンドを追求しはじめる。その後も精力的に活動を続け、コンスタントに作品を発表。ポップでカラフルなメロディと洗練されたアレンジによって、国内で他に類を見ない独自の立ち位置を確立する。西寺は文筆家としても活動し、80'sポップスの解説をはじめとする多くの書籍を執筆。さらにメンバーは3人とも他アーティストのプロデュースや楽曲提供、ライブ参加など多岐にわたって活躍中。2017年3月にメジャーデビュー20周年を記念したベストアルバム「POP'N SOUL 20~The Very Best of NONA REEVES」をリリースした。