音楽ナタリー Power Push - NOKKO from REBECCA
EDMとの化学反応がもたらした“今の歌”
REBECCAの歌詞は普遍的な物語
──先ほどマドンナやリアーナの名前が出ましたが、彼女たちとREBECCAとの間にどんな共通点を感じますか?
当時から思ってたんですけど、私は家庭環境や社会性から生まれる古い女性観みたいなものを拭い去りたかったんですよね。そういうスタンスで歩いてたら、同じ道の上にマドンナがいたみたいな感じで。きっとその時期たくさんの人がそう感じていたんじゃないかな。
──当時そうやって活動する中で、力んでいた部分もありました?
うん、今思えばかなり(笑)。
──でも今回のアルバムは肩の力が抜けていて、とても自由な印象を受けます。
そうですね。迷いなく作れました。私の歳でこの歌詞を歌うのは相当勇気がいると思うんですけど(笑)、でも迷わなかった。
──それはなぜでしょう?
うーん、やっぱり予感みたいな気持ちで書いてたからだろうっていうのは思いますね。
──予感というのは?
あの頃歌詞を書くとき、自分の中にいつも答えがあったんですよ。絶対にこの言葉でなくちゃとか、ここの歌詞は「だわ」で終わらなきゃダメだとか。すごくはっきり見えていたんです。まるで現在を予測しているみたいに。
──だから今のNOKKOさんが、当時のREBECCAの楽曲を違和感なく歌える?
はい。あの当時は毎日「フレンズ」を歌いながら、ちょっと飽きてるところもあって(笑)。「もう50歳くらいにワープして歌いたいな」って思ってましたからね。もちろん目の前にあるものでいっぱいいっぱいなんですけど、でもこうじゃない、もっとこんなふうなはずだっていう感じはずっとありました。
──これは余談なんですが「フレンズ」の「指をつないだら」っていうフレーズはユニークですよね。
ああ、「手をつなぐ」ならわかるけど。
──そうなんです。30年間聴いててこの前初めて気付いたんですけど。
うふふ、「手をつないだら」だと言葉数が足りなかったのかも(笑)。
──(笑)。でも「指」という言葉によって、楽曲の持つ儚さがよりリアルに伝わってきます。
強がってるけど弱い主人公をイメージしてたんだと思います。REBECCAの歌詞は、自分の思いを書くというよりは、妄想的に作ってたところがあるから。
──物語として書いていた?
うん、普遍的なものにしていこうっていう気持ちはありました。
──個人的な思いを歌うのではなく?
「ロックだ」って言われて、あんなカッコしてたわりには普遍性を意識してましたね。すごく考えて書いていたと思います。
流行りものが持つ純粋なエネルギー
──EDMというジャンルは今すごく支持されている反面、このまま流行りものとして消費されていく危惧もあると思うんです。それを自分の音楽に取り入れることに抵抗はありませんでしたか?
そこに関して言えば、やっぱりEDMは若い人のものっていう意識はありますよね。
──そうなんですね。
でもだからこそ流行ってるものはすごいって思うんです。いろんな人が一斉に好きだって思うエネルギー。ある日を境にみんなが好きになるものって、やっぱりパワーがあるんですよね。そのパワーを私はREBECCAで体験してて。
──いわゆる音楽好きだけじゃなくて、普通の子まで一斉に夢中になる。
うん、そこには純粋なエネルギーがあるし、それを邪魔しないために普遍的な歌詞とかメロディとかリズムとかが必要だったんでしょうね。みんなが飛びつく、流行のものって、やっぱりすごくピースフルなんですよね。
──NOKKOさん自身が流行のど真ん中にいたからこそ、そう感じるんでしょうね。
私は昔も今もミーハーな気持ちに正直なだけ(笑)。ミーハーなものを否定するのは簡単なんです。でも好きになるっていう気持ちに裏はないですからね。ミーハーな気持ちを否定した時点で負けているって思う(笑)。
──流行を否定するんじゃなく、素直に受け入れていく?
うん、受け入れて楽しんだほうが、人生面白いですもんね(笑)。
- ニューアルバム「NOKKO sings REBECCA tunes 2015」 / 2015年10月28日発売 / Mastard Records
- Loppi・HMV限定盤 [CD] / 2700円 / LNCM-1127
- 通常盤 [CD] / 2160円 / LNCM-1128
- アナログ盤(限定mono仕様重量盤) / 2015年12月23日発売 / HMV record shop / 4104円 / HRLP-015
収録曲
- Encounter 2015
- RASPBERRY DREAM
- MOON
- 76th STAR
- 真夏の雨
- LITTLE DARLING
- OLIVE
- フレンズ feat. Charisma.com
Loppi・HMV限定盤CDボーナストラック
- MAYBE TOMORROW
- フレンズ GOH HOTODA dub mix
NOKKO(ノッコ)
1984年にREBECCAのメンバーとしてデビューした女性ボーカリスト。1991年のバンド解散までに「フレンズ」「RASPBERRY DREAM」「MOON」などを歌い、世代を超えて多くのファンから支持を集める。1990年代はソロシンガーとしても活躍し「人魚」「ライブがはねたら」などヒット曲を発表。2003年には、夫であるサウンドエンジニアのGoh HotodaとのユニットNOKKO&GOとしてアルバム「宇宙のコモリウタ」をリリースした。2013年に14年ぶりのソロアルバム「THE NOKKO STORY」を発表。2015年8月にはREBECCAを再結成し大きな話題を集めた。11月にEDM調のアレンジが施されたREBECCAの楽曲集「NOKKO sings REBECCA tunes 2015」をリリースした。