音楽ナタリー Power Push - NOKKO from REBECCA
EDMとの化学反応がもたらした“今の歌”
NOKKOがEDMアレンジでREBECCAナンバーを歌ったソロアルバム「NOKKO sings REBECCA tunes 2015」がリリースされた。本作ではCharisma.comをゲストに迎えて制作された「フレンズ」など、ダンスミュージックとして再構築された往年の名曲を楽しむことができる。
本作のリリースを記念し、音楽ナタリーではNOKKOへのインタビューを実施。彼女がEDMに出会った経緯、今改めてREBECCAのナンバーを歌うことに対する自身の思いなどを語ってもらった。
取材・文 / 大山卓也
EDMとREBECCAのつながり
──なじみ深いREBECCAの楽曲が2015年のサウンドでよみがえりましたね。まずはこのアルバム制作のきっかけから教えていただけますか?
少し前に、カーリー・レイ・ジェプセンの歌を小学生の娘と車の中で聴いてたんです。その頃、私と娘の間でちょっと流行ってて。
──どういうところが気に入ったんですか?
90年代に私がハウスミュージックに傾倒してた頃は、もっとメロディがシンプルで、展開もAとBの繰り返しみたいなのが主流だった気がするんです。でも最近流行ってるEDMはAメロBメロ、サビがあって、日本の歌謡のスタイルと似てるっていうか、肌に合う感じがあって。それであるとき1人で車に乗ってるときに、曲に合わせて「76th STAR」を歌ってみたら歌えたんですよね。
──それはカーリー・レイ・ジェプセンのEDMっぽい曲のトラックに「76th STAR」がうまくハマったということでしょうか?
そう、キーは違うんだけど通して歌えたんです。それが面白くて主人(Goh Hotoda)に話したり、家のターンテーブルで曲をつなぎながら歌ってみたり。そういうのを掘り下げていったらこのアルバムになった感じで。
──日常の中で、EDMサウンドとREBECCAの楽曲が結び付いたんですね。
同じ時期にREBECCAの再結成ライブのリハーサルも始まったんですけど、「真夏の雨」をやるときに、リアーナの「Man Down」っていう曲に触発されて作り直してみたりもして。マドンナの時代のダンスミュージックからREBECCAを経て、今につながるものがあるって感じたんですよね。
22歳の頃よりラクに歌えている
──実際にEDMアレンジでREBECCAの楽曲を歌ってみてどうでした?
新鮮でしたね。歌い方はもとのREBECCAから外れて外れて、また戻ってきて、ほぼ同じになってる気がするんです。
──ひと回りして戻ってきた?
はい。ただ発声的にはもっと負担のない感じになってるんですよ。こうやって歌えばラクだよって、20代の私に教えてあげたい(笑)。
──再結成後のライブも拝見しましたが、NOKKOさんがREBECCAの曲を当時以上に歌えていることに、失礼ながら驚きました。ロックボーカリストが年齢を重ねつつ、同じ音域と歌声をキープするのはすごく難しいことだと思うんですが。
そうですよね。今こうやって歌えているのは、やっぱり一度バンドを離れたからだと思うし、自分が模索していた歌い方をこのタイミングで見付けられたからっていうのもあるんです。
──どういったものを見付けられたのでしょうか?
ソロのライブを一緒にやってるギタリストの鳥山(雄司)さんに「自宅で歌うときとお客さんの前で歌うときとなんでそんなに違うの?」って言われて、それをきっかけに固定観念が解かれていくような感じがあったんです。私はやっぱりお客さんの前だと声を張り上げて歌わなきゃ申し訳ないっていう意識があって、そうやって大きな会場でライブをしているうちに、どんどん出力の大きなボーカリストになっていってたんです。
──なるほど。
でも、そこに気付いてからは歌に対する意識が変わりました。あと今は時代が進んでモニタースピーカーからイヤモニになったおかげで、本当の自分の歌の響きがわかるようになったっていうのもあって。
──それ以降は力まず歌えるようになったんですね。
そうですね。やっと今頃それがわかったんです(笑)。
あの頃の“先取り感”を表現するために
──今回「フレンズ」にCharisma.comが参加しているのも面白いですね。このコラボはどういうつながりで?
TOWA TEIさんが「彼女たちしか考えられないよ」って紹介してくれたんです。すぐにアルバム聴かせていただいて、面白いしカッコいいしで。
──ただ、楽曲に対するファンの思い入れが深いぶん、こうやってラップを加えたりアレンジを変えたりすることに抵抗感を持つ人もいるかもしれませんね。
でも例えば「76th STAR」はライブでもこっちの新しいバージョンでやってますけど、けっこう違和感ないっていうか、これがいいって言ってくれた人も多かったんですよね。逆にあの頃の“先取り感”を表現するにはこのアレンジのほうがいいのかも。「フレンズ」みたいにロック寄りのものはもしかしたら難しいかもしれないけど、BPMが125くらいのものは大丈夫みたいです。
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- ニューアルバム「NOKKO sings REBECCA tunes 2015」 / 2015年10月28日発売 / Mastard Records
- Loppi・HMV限定盤 [CD] / 2700円 / LNCM-1127
- 通常盤 [CD] / 2160円 / LNCM-1128
- アナログ盤(限定mono仕様重量盤) / 2015年12月23日発売 / HMV record shop / 4104円 / HRLP-015
収録曲
- Encounter 2015
- RASPBERRY DREAM
- MOON
- 76th STAR
- 真夏の雨
- LITTLE DARLING
- OLIVE
- フレンズ feat. Charisma.com
Loppi・HMV限定盤CDボーナストラック
- MAYBE TOMORROW
- フレンズ GOH HOTODA dub mix
NOKKO(ノッコ)
1984年にREBECCAのメンバーとしてデビューした女性ボーカリスト。1991年のバンド解散までに「フレンズ」「RASPBERRY DREAM」「MOON」などを歌い、世代を超えて多くのファンから支持を集める。1990年代はソロシンガーとしても活躍し「人魚」「ライブがはねたら」などヒット曲を発表。2003年には、夫であるサウンドエンジニアのGoh HotodaとのユニットNOKKO&GOとしてアルバム「宇宙のコモリウタ」をリリースした。2013年に14年ぶりのソロアルバム「THE NOKKO STORY」を発表。2015年8月にはREBECCAを再結成し大きな話題を集めた。11月にEDM調のアレンジが施されたREBECCAの楽曲集「NOKKO sings REBECCA tunes 2015」をリリースした。