月刊誌「ウルトラジャンプ」にて連載中のカラスマタスクの同名マンガを原作とするアニメ「ノー・ガンズ・ライフ」。体の一部もしくは全部を機械化する「身体機能拡張技術」が普及した世界を舞台に、頭部が銃の男・乾十三によるSFハードボイルドが描かれる。
今月よりTBSほかでアニメの放送が開始したことを記念し、ナタリーではジャンルを横断した特集企画を展開。第3回となる音楽ナタリーの特集では、オープニングテーマ「MOTOR CITY」を書き下ろした浅井健一にインタビューを行い、浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLSのメンバーである中尾憲太郎(B)、小林瞳(Dr)とレコーディングし、歌詞に社会風刺を込めたという「MOTOR CITY」について話を聞いた。
取材・文 / 秦理絵 撮影 / 斎藤大嗣
アニメやマンガは大事なものだと思ってる
──音楽ナタリーでは、9月にリリースされたアルバム「BLOOD SHIFT」についてのインタビューも掲載させていただいて(参照:浅井健一「BLOOD SHIFT」インタビュー)。そのときに「MOTOR CITY」ができたことで、アルバムの方向性が明るくて激しい方向に変わったというお話をされてましたよね。
あのアルバムは去年の9月から制作に入ったんだけど、その途中で「ノー・ガンズ・ライフ」のための曲を何曲か作ったんだよね。それで、KILLS(THE INTERCHANGE KILLS)で何曲かレコーディングしたら、すごく大好きな曲ができて。これはアルバムに入れたほうがいいなと思ったので、アルバム全体の方向性が変わったっていう。
──「MOTOR CITY」ができたのは、いつ頃だったんですか?
今年の2月から3月くらい。
──「ノー・ガンズ・ライフ」のお話が来たときは、どんなふうに思いましたか?
うれしかったよ。好きそうな感じの作品だったから。
──もともと作品はご存知だったんですか?
全然知らなかった。でも、この作品の中で言おうとしてることはいいなと思った。ちゃんとした正義があるのがいいなって。やっぱり作品には正義がないと嫌なんだよね。
──ええ、わかります。
あと、アニメとかマンガは大事なものだと思っとって。人生で最初に読んだのは「あしたのジョー」で、本だったら「フランダースの犬」だったんだけど、日本ってマンガの文化がすごいじゃん。レベルが高くて。変なのもいっぱいあるけど、素晴らしいものは素晴らしい。それはすごく大事なことだと思う。やっぱり子供たちの心は大事だと思うよ。未来を作っていくわけだから。マンガってそこに一番訴えかけるものだと思うんだよね。大人になってマンガも読まなくなっちゃったけど、すごく大事なものだということはわかってるから、そこに自分も参加できるのはうれしいよね。
──小さいときにどんなマンガを読んだかで、そのあとの人生が違ってきますよね。
そうだね。俺もいっぱい読んだよ。何読んだかな……姉がいたから昔は少女マンガも読んでましたね。
──少女マンガですか? ちょっと意外な感じです(笑)。
「伊賀野カバ丸」っていう忍者マンガとか。テレビアニメにもなったよね。「ジャンプ」のマンガも読んでました。
激しめの曲は、KILLSのメンバーが得意とするところ
──「ノー・ガンズ・ライフ」は、人間の体の一部を機械化した“拡張者”をテーマにしたディストピアものと言われる作風ですけど、そういう作品は好みですか?
SFだよね。好きだよ。
──ほかに例えば? マンガじゃなくてもいいですけど。
映画の「インターステラー」は感動した。家族って大事だなと改めて思って涙が出ました。
──エンタメ作品として見どころの多い作品だと思いますけど、浅井さんがグッとくるところは家族の大事さなんですね。
それだけではもちろんないけど。どこの国でも、家族が崩壊すると世の中が崩壊に近づいていくと思う。結婚しない人が増えてるのは、社会がどんどん冷たいものになっていく原因の1つかなと。結婚したくてもできない場合があるから、難しいんだけどね。
──確かに。「MOTOR CITY」に話を戻しますと、まず「ノー・ガンズ・ライフ」の制作サイドから、「こういう曲がいいです」というリクエストは何かあったんですか?
「ノリのいい、激しくて速い感じで」とは言われたね。そこからイメージして、部屋でギターを弾きながら、「ああでもない、こうでもない」って作った。
──そこから、いわゆるリフもののかっこいいロックンロールになったと。
こういう激しめのやつは、KILLSのメンバーが得意とするところだからね。マンガを読んで、これはKILLSのメンバーでやるといいだろうなと思ったんだよね。
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ちゃんと光がある作品じゃないと嫌