西川貴教がニューシングル「His/Story / Roll The Dice」を11月14日にリリースした。本作収録の2曲は、放送中の「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2」のオープニングおよびエンディングテーマとして作られたもの。作曲、編曲は同作の劇伴を担当している澤野弘之が手がけている。
また、11月28日には澤野弘之のボーカルプロジェクトSawanoHiroyuki[nZk]のシングル「narrative / NOISEofRAIN」がリリースされ、タイトル曲の1つである「NOISEofRAIN」には西川貴教がフィーチャリングボーカリストとして参加。お互いにシンパシーを抱いていたという2人の初タッグは大きな話題を集めている。今回、音楽ナタリーでは西川貴教と澤野弘之との対談をセッティングし、大きな話題を呼ぶコラボの全貌に迫った。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 西槙太一
繊細な人なんだろうなってずっと想像してたんです……でも……(西川)
──今回の西川さんと澤野さんの初タッグによる相互コラボは、どのような流れで実現したものだったのでしょう?
西川貴教 順番で言うと僕のシングルのほうが先になりますね。ちょうど2年前に、虚淵(玄:ニトロプラス)さんが手がけられた「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」のオープニングテーマをT.M.Revolutionで担当させていただいたんですけど、今回その第2期が作られることになったときに改めてオファーをいただいて。そこで僕は、今回はより作品とマッチした、作品の世界に入りこむような関わり方をしたいなと思ったんです。そこで、「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」の第1期から音楽を担当されていた澤野さんにぜひ楽曲提供をお願いできないかなと。そういった流れでスタートした感じでしたね。
──お互いに面識はあったんですか?
澤野弘之 以前「劇場版 戦国BASARA ‐The Last Party‐」という作品で僕が劇中の音楽を担当して、西川さんが主題歌を歌われていたりとか、同じ作品に参加していることはあったんですけど、なかなかお会いする機会がなかったんです。そんな中、最初にお会いしたのは僕がAimerさんとやった「UnChild」っていう「機動戦士ガンダムUC」のライブイベントだったと思うんですけど。西川さんが観に来てくださって。
西川 そう。単にライブを観たくて行ったっていう。客として(笑)。そこで初めてちゃんとご挨拶しました。ただ、僕は以前から澤野さんの音楽が好きでよく聴いていたし、ライブを何度か拝見していたんです。
澤野 僕の存在をまさか知っていただいてるとは思っていなかったので、声をかけていただいたときはホントにうれしくて。その後もイベントでご一緒する機会があったんですけど、フランクにいろんなことを話してくださるのでありがたいなって思ってました。
西川 澤野さんは劇伴1つとっても、ドラマ、アニメ、映画、と幅広い作品を手がけられていて、その音世界は独自のものがありながらも関わる作品ごとにものすごく緻密に作り込まれている印象があるんですよ。だからきっと繊細な人なんだろうなってずっと想像していたんです。でも、ライブを観たり実際会ってみたらもうね、ホントにクソだったっていう。いい意味でね(笑)。
澤野 あはははは(笑)。クソにいい意味ってあるんですか?
西川 だってね、ライブを観るとわかるんですけど、そこまでにせっかく作り上げてきた世界観を一瞬でぶち壊すMCをする人ですから。そこがいいなあと思って(笑)。
澤野 その話の流れの最後に「いいなあ」を付けられても(笑)。いやでも光栄です。西川さんは僕が音楽を始めた頃にはもう当たり前のようにご活躍されていた方ですから。T.M.RevolutionのCDをよく聴いたりもしていたので、まさかそんな方とご一緒できるタイミングが訪れるなんて思ってなかったですし。
どんな仕上がりになるかすごく楽しみでした(澤野)
──西川さんから依頼を受けたとき、楽曲の方向性はすぐに固まりましたか?
澤野 西川さんはT.M.Revolution以外にも、abingdon boys schoolというバンドもやっていらっしゃる方なので、今回コラボするにあたってはどんなアプローチをすればいいかいろいろ考えましたね。ただ、僕の中ではやっぱりエレクトロニカやEDMをやられているT.M.Revolutionの印象が強かったので、今回一緒にコラボするのであれば逆にロックなサウンドに西川さんのエネルギーをぶつけてもらったら面白いんじゃないかっていう結論に達して。そこをきっかけにして楽曲制作に取りかかった感じでした。
西川 ずっと僕の音楽が好きで聴いてくれていた澤野さんからどんな曲が上がってくるのか、それが純粋に楽しみでした。僕としてはSawanoHiroyuki[nZk]で女性ボーカリストと一緒にやってる印象が強くて、そこで感じられる透明感と毒がすごくいいなと思っていたんです。でもそれは女性とだからこそ表現されている部分なのかもしれない。だったら僕みたいなタイプのボーカリストとやるときは果たしてどんな音で来るのかなっていう興味もあった。
──結果、今回シングルとしてリリースされる「His/Story」「Roll The Dice」という2曲が生まれました。
澤野 流れ的に言うと、先に西川さんにお送りしたのは「Roll The Dice」のほうだったんですよ。それはすぐ「やろう」って言っていただけて。
西川 うん。聴いた瞬間、これが「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2」のテーマになっていくんだろうなって思ったくらいの強さを感じました。それもあって今回のミュージックビデオはこの曲で撮らせてもらったんですけど。で、その後にもう1曲、結果的に「His/Story」というタイトルになる曲も送っていただいたんですけど、それがまたすごくよかった。こっちはもともと、「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」第1期のメインテーマとして作られたもので。それを今回、メロディと詞を付けて再構築していただいたんですよね。
澤野 そうですね。もとは劇伴の中の1曲ではあったけど、僕の中でいつかちゃんと歌の形にしたいなという思いがあったんですよ。今回、それを実現するいい機会をいただけたので、じゃあやってみようと。しかもそれを西川さんに歌っていただけるわけですからね。自分としてもどんな仕上がりになるかすごく楽しみでした。
西川 もともとあったメインテーマを歌曲にしたことで、「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」との親和性もより上がった気がしますよね。それで最終的には虚淵さんの判断で、「His/Story」をオープニングテーマ、「Roll The Dice」をエンディングテーマとして使っていただけることになったんです。
次のページ »
コラボで生まれた3曲はちゃんと物語としてつながっている(西川)
- 西川貴教「His/Story / Roll The Dice」
- 2018年11月14日発売 / EPICレコードジャパン
-
初回限定盤 [CD+DVD]
1800円 / ESCL-5130~1 -
通常盤 [CD]
1300円 / ESCL-5132
- 初回限定盤CD収録曲
-
- His/Story
- Roll The Dice
- 初回限定盤DVD収録内容
-
- 「Roll The Dice」Music Video
- Making of「Roll The Dice」Music Video
- 通常盤収録曲
-
- His/Story
- Roll The Dice
- His/Story(Instrumental)
- Roll The Dice(Instrumental)
- 期間生産限定盤CD収録曲
-
- His/Story
- Roll The Dice
- His/Story(「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2」OP ver.)
- Roll The Dice(「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2」ED ver.)
- 期間生産限定盤DVD収録内容
-
- 「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2」オープニング映像
- 「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2」エンディング映像
- SawanoHiroyuki[nZk]「narrative / NOISEofRAIN」
- 2018年11月28日発売 / SACRA MUSIC
-
初回限定盤 [CD+DVD]
1620円 / VVCL-1360~1 -
通常盤 [CD]
1350円 / VVCL-1362 -
期間生産限定盤 [CD]
1620円 / VVCL-1363
- 初回限定盤CD収録曲
-
- narrative by SawanoHiroyuki[nZk]:LiSA
- NOISEofRAIN by SawanoHiroyuki[nZk]:Takanori Nishikawa
- Christmas Scene by SawanoHiroyuki[nZk]:mizuki & Tielle
- Cage <NTv> by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle
- narrative(instrumental)
- NOISEofRAIN(instrumental)
- 初回限定盤DVD収録内容
-
- 「narrative」MUSIC VIDEO
- 「Christmas Scene」MUSIC VIDEO
- 通常盤 / 期間生産限定盤収録曲
-
- narrative by SawanoHiroyuki[nZk]:LiSA
- NOISEofRAIN by SawanoHiroyuki[nZk]:Takanori Nishikawa
- Christmas Scene by SawanoHiroyuki[nZk]:mizuki & Tielle
- Cage <NTv> by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle
※記事初出時、収録内容の一部に誤りがありました。お詫びして訂正します。
- 西川貴教(ニシカワタカノリ)
- 1970年生まれ、滋賀県出身。1996年5月にT.M.Revolutionとしてシングル「独裁-monopolize-」でメジャーデビュー。キャッチーな楽曲と激しいライブパフォーマンスで人気を集め、「HIGH PRESSURE」「HOT LIMIT」「WHITE BREATH」などのヒット曲を連発する。2008年には「滋賀ふるさと観光大使」に任命され、翌2009年から大型野外ロックフェス「イナズマロック フェス」を毎年開催している。ほかにも舞台やミュージカルなど幅広い分野にて精力的な活動を展開している。2013年には水樹奈々とのコラボシングル「Preserved Roses」「革命デュアリズム」を発表。2016年5月にはT.M.Revolutionデビュー20周年を記念してベストアルバム「2020 -T.M.Revolution ALL TIME BEST- 」を発表し、2017年5月には埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演を2日間にわたって開催した。2018年3月に西川貴教名義では初めてのシングルとなる「Bright Burning Shout」を発表。11月に澤野弘之プロデュースによる「His/Story / Roll The Dice」をリリースした。
- 澤野弘之(サワノヒロユキ)
- 1980年生まれ、東京都出身の作曲家、編曲家。「医龍」シリーズやNHK連続テレビ小説「まれ」、「アルドノア・ゼロ」「進撃の巨人」「キルラキル」「機動戦士ガンダムUC」シリーズなど、ドラマ、アニメ、映画など映像作品のサウンドトラックを中心に、楽曲提供や編曲をするなど精力的に音楽活動を展開している。2014年春からはボーカル楽曲に重点を置いたプロジェクト、SawanoHiroyuki[nZk]を始動。その第1弾作品として「機動戦士ガンダムUC」シリーズの楽曲も共作したAimerと、SawanoHiroyuki[nZk]:Aimer名義のアルバム「UnChild」を発表した。2015年9月にSawanoHiroyuki[nZk]の1stアルバム「o1」と、澤野名義のサウンドトラックベスト「BEST OF SOUNDTRACK【emU】」を発表した。2017年9月にSawanoHiroyuki[nZk]として2作目のアルバム「2V-ALK」、2018年4月にテレビアニメ「銀河英雄伝説 Die Neue These」のオープニングテーマ「Binary Star」と「実物大ユニコーンガンダム立像」のテーマソング「Cage」を収めたシングルをリリース。11月28日にLiSAと西川貴教をゲストボーカルに迎えた両A面シングル「narrative / NOISEofRAIN」を発表する。
2018年11月28日更新