ナタリー PowerPush - 人間椅子×シソンヌ
シソンヌ・じろう、憧れの和嶋慎治と初対面
人間椅子がニューアルバム「無頼豊饒」をリリースしたことを記念し、ナタリーでは和嶋慎治(G, Vo)と、お笑いコンビ・シソンヌのじろうによる対談を企画。人間椅子の熱心なファンであることを公言しているじろうに、バンドへの熱い思いをぶつけてもらった。
ちなみに和嶋とじろうはどちらも青森県弘前市出身で、同郷ということもあって2人はあっという間に親密に。対談は津軽弁が飛び交う和気あいあいとしたものになった。
取材・文 / 橋本尚平 撮影 / 小坂茂雄
実家は50mくらいしか離れてないんじゃない?
和嶋慎治 僕ら高校が同じなんですよね? 弘前高校なんでしょ?
じろう そうですそうです。
和嶋 あそこは地元の進学校なんですよ。だから立派なご職業に就く方が大半で。僕たちは完全にアウトサイダーですね(笑)。
じろう 道それちゃった組ですね(笑)。Wikipediaで知ったんですけど、和嶋さんは三中(市立第三中学校)出身なんですね。僕も三中で、「一緒なんだ!」って驚きました。
和嶋 そうなんだ! 小学校は?
じろう 二大(旧第二大成小学校。現在の大成小学校)です。
和嶋 もしかしたら保育園は……。
じろう みどり保育園ですね。
和嶋 わ、全部一緒だ(笑)。じゃあたぶん実家は50mくらいしか離れてないんじゃない? 今はもう引っ越したんだけど、僕が高校生くらいの頃は絶対どっかですれ違ってるね。
じろう えー! じゃあ一力ってわかりますか?
和嶋 ああ、老舗のおいしい蕎麦屋さん?
じろう あの店の娘が……(ここからローカルすぎるトークが10分ほど続く)。
──それだけ近くに住んでいたなら、イカ天(TBS系「三宅裕司のいかすバンド天国」)が放送されてた当時は「近所の人がテレビ出てる」ってことで、かなり話題になったのでは?
じろう 意外とそうでもないんですよね。お母さんは人間椅子の存在を知ってたんですけど。
和嶋 イカ天は青森では放送されてなかったからね。
「自分は田舎者である」って開き直ったほうがカッコいい
──では、じろうさんは何がきっかけで人間椅子を知ったんですか?
じろう 小5のときに同級生の子が、お兄ちゃんの影響で人間椅子を好きになって、ノートに「針の山」と「りんごの泪」の歌詞を書いてたんですよ。で、休み時間にそいつが歌ってるのを聴くっていう(笑)。1989年くらいかな。
和嶋 ちょうど僕らがイカ天に出てた頃ですね。
じろう それから中学のときにプロレスにハマったんですけど、日曜の深夜に全日本プロレスの後に「人間椅子倶楽部」って番組をやってたんですよ。「へー、これがヒロタくんが歌ってた人間椅子なんだー」って思いながら、プロレスを観る流れで一緒に観てました。
和嶋 ああ、青森ローカルでやってたんですよね。かなりゆるい番組だったでしょ? なんの縛りもなくて、好きなようにやってたんですよ。RainbowとかBlack Sabbathのカバーをやったりして。ま、普通の視聴者にはウケませんよね。
じろう ははは(笑)。でもけっこう長くやってましたよね。
和嶋 弘前に亀HOUSEっていうライブハウスがあって、そこのオーナーが僕たちを応援してくれて、番組の枠を買ってくれてたんですよ。残念なことに先頃閉めてしまったんだけど。
──じろうさんは人間椅子のどこに魅力を感じるんですか?
じろう 弘前にいた頃って、あんまり弘前のこと好きじゃなかったんですよ。別に嫌いなわけでもないけど、なんとも思ってなかった。
和嶋 ああ、わかります。
じろう でも離れてから、時間が経てば経つほどどんどん恋しくなっちゃって。僕は弘前の桜がすごいってことに気付いてなかったんですよ。それが当たり前だったから。東京で花見に行っても桜がショボいし、お祭りとしても規模がちっちゃいですよね。
和嶋 こっちはなんかホコリっぽいんだよね(笑)。
じろう そういうのもあって「あ、弘前っていいとこだったんだな」って思うようになったんです。で、人間椅子って歌の発音がちょっとズーズー弁っぽかったり、ギターを三味線っぽく弾いてたりするじゃないですか。歌詞にも自分の中に昔から染み込んでる言葉が出てくるし、こんなに地元を感じられるバンドは人間椅子しかいないんですよ。
和嶋 弘前にいてもよさがわからなかったのは、僕もそうです。やっぱり田舎を出る人っていうのは、都会でがんばりたいっていう意志を持って出るわけだから、そういう感覚の人が多い。自分たちがロックをやろうと思ったときもさ、やっぱり僕らはものすごい田舎者だなと思ったんだよ。なのにそれを隠して、カッコよく白人のようなハードロックをやるってことはできなくてさ。あえて開き直って「自分は田舎者である」っていうことを出していったほうがむしろカッコいいんじゃないかなと思って。それをあえて取り入れたのが人間椅子なんですよ。
じろう なるほど。
和嶋 例えば僕が沖縄民謡みたいなことやったら説得力ないわけよ。正確にその音をなぞることはできても、沖縄のソウルは表現できないんで。アイデンティティを持って表現することが真っ当なやり方だと思っててさ。そういう感じが郷愁というか、いろんな人が田舎を思い出すようなものになればいいなと思ってます。
バンドをやるのって健康的ですよ
──じろうさんが人間椅子のライブを初めて観たのはいつですか?
じろう 実は生で観たのは今年の3月が初めてだったんです。基本、あんまりフットワークが軽いほうじゃなくて。
和嶋 あっ、わかります。ライブを観に行ける人と行けない人っているからさ。いいんですよ、それで。
じろう ライブアルバム(「疾風怒濤~人間椅子ライブ!ライブ!!」)のDVDをずっと観てて、今度こそ行こうと思ってたんですけど、ライブの日に仕事が入っちゃって。それでTwitterに「人間椅子見に行きたかったなぁ。すぐ近くにいるのになぁ」ってつぶやいたら、それをスタッフの方が見つけてくださって、「よかったら来ませんか?」って言ってくれたんです。これは絶対何かの縁だって思って、もう自分のライブの入り時間になってたんすけど「どうしても行きたいんで、ちょっと観てきていいですか?」って言って飛び出して。いやー、やっぱ生で観たらカッコよかったっす。47歳のおじさん2人が背中を合わせてギターとベースを弾いてるのとか、たまんないですよね。
和嶋 あれ、ステージ上でやると気持ちいいんですよ。普段の生活でおじさん同士が密着してたらものすごく気持ち悪いけど(笑)。
じろう 2人の高校時代からの友情とか、そういうのを勝手に想像してグッときてました。25年前に夢を追いかけて東京に出てきた2人が、今ステージで飛び跳ねながら楽器弾いてるんだなって思ったら……(笑)。やっぱりライブって、年々しんどくなってくるんすか?
和嶋 うーん、そうでもないですよ。僕はあんまり体重を増やさないようにしてるし。鈴木(研一 / B, Vo)くんはかなり太ったから、動くのがキツいとか言ってるけど(笑)。
じろう 「人間椅子倶楽部」を放送してたときよりも、今のほうがシュッとされてる気がしますね。
和嶋 そう、今のほうが体重減ってる。バンドが苦しかった頃にものすごく痩せたんだよね。でもその時期を乗り越えたら、ステージでのキレもむしろ前よりいいんですよ。
──ライブではSGを持ってピョンピョン跳んでるから、かなり体力を消耗しそうですよね(笑)。
和嶋 だからひどい筋肉痛になるんですよ(笑)。でもステージの上ではアドレナリンが出るからね、そんなにしんどくはないよ。ツアーに出ると毎日そんな感じだから、すごくごはんが美味しいし。体が引き締まる感じがしていいですよ。バンドをやるのって意外と健康的ですよ。
- 人間椅子 ニューアルバム「無頼豊饒」/ 2014年6月25日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 初回限定盤 [CD+DVD] 4800円 / TKCA-74080
- 通常盤 [CD] 3086円 / TKCA-74085
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CD収録曲
- 表徴の帝国
- なまはげ
- 地獄の料理人
- 迷信
- 生まれ出づる魂
- 悉有仏性(しつうぶっしょう)
- 宇宙船弥勒号(うちゅうせんみろくごう)
- リジイア
- ミス・アンドロイド
- グスコーブドリ
- がらんどうの地球
- 結婚狂想曲
- 隷従の叫び
初回限定盤DVD収録内容「『バンド生活二十五年~猟奇の果~』@TSUTAYA O-EAST 2014/1/18より」
- 新調きゅらきゅきゅ節
- 爆弾行進曲
- 時間からの影
- 怪人二十面相
- 九相図のスキャット
- ねぷたのもんどりこ
- 品川心中
- 踊る一寸法師
- 相剋の家
- 蜘蛛の糸
- 針の山
- 猟奇が街にやって来る
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人間椅子(ニンゲンイス)
和嶋慎治(G, Vo)、鈴木研一(B, Vo)、ナカジマノブ(Dr, Vo)による3ピースバンド。1989年に出演したTBSテレビ系「平成名物TV イカすバンド天国」で高い評価を獲得し、1990年7月にメルダックより「人間失格」でメジャーデビューを果たす。その後インディーズでの活動や、ドラマーの交代などを経ながらも、コンスタントにライブやリリースを重ねていく。Black Sabbath風のハードロックと地元・青森の津軽民謡を掛けあわせた独自のサウンドや、江戸川乱歩などに影響を受けた文学的な歌詞、確かなテクニックに裏打ちされたライブパフォーマンスで、音楽ファンの厚い支持を集め続けている。2012年、ももいろクローバーZのシングル「サラバ、愛しき悲しみたちよ」に収録された「黒い週末」に和嶋がギターで参加したことが話題に。2013年にはオジー・オズボーンのオーガナイズにより千葉・幕張メッセで開催されたロックフェス「OZZFEST JAPAN 2013」に出演し、そこでのパフォーマンスが大きな評判を呼ぶ。また2014年には、ふんどしの普及に貢献した著名人を表彰する「BEST FUNDOSHIST AWARD 2013」を受賞。同年6月にアルバム「無頼豊饒」をリリースし、8月からは結成25周年を記念したワンマンツアーを敢行する。
- 人間椅子ワンマンツアー「二十五周年記念ツアー ~無頼豊饒~」
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- 2014年8月20日(水)宮城県 enn 2nd
- 2014年8月22日(金)青森県 青森Quarter
- 2014年8月24日(日)北海道 BESSIE HALL
- 2014年8月30日(土)熊本県 DRUM Be-9 V1
- 2014年8月31日(日)福岡県 DRUM Be-1
- 2014年9月3日(水)広島県 HIROSHIMA BACK BEAT
- 2014年9月4日(木)香川県 高松MONSTER
- 2014年9月12日(金)大阪府 Shangri-La
- 2014年9月14日(日)愛知県 ElectricLadyLand
- 2014年9月20日(土)東京都 LIQUIDROOM ebisu
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シソンヌ
じろう、長谷川忍の2人によって2006年に東京NSCで結成された、現在「よしもとで一番単独ライブに芸人が観に来る芸人」と言われる実力派コントコンビ。2012年と2013年に若手お笑い芸人のコンクール「ABCお笑いグランプリ」にて2年連続で決勝進出を果たしている。また2013年のTBS「キングオブコント2013」でも準決勝に進出。現在は毎日放送のドラマ「新解釈・日本史」などにレギュラー出演している。8月13日から17日まで、東京・中野ザ・ポケットにてコント公演「シソンヌライブ『deux』」を開催することが決定している。
- シソンヌコントライブ「deux」
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- 2014年8月13日(水) START 19:00
- 2014年8月14日(木) START 19:00
- 2014年8月15日(金) START 19:00
- 2014年8月16日(土) START 14:00 / 18:00
- 2014年8月17日(日) START 12:00 / 16:00
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会場:東京都 中野ザ・ポケット
料金:前売3500円 当日4000円
チケット:チケットよしもと、チケットぴあ、イープラス、ローソンチケットにて発売中。
問合せ:チケットよしもと 0570-550-100(10:00~19:00)