ナタリー PowerPush - NIKIIE
大型新人シンガーソングライター デビューシングル「春夏秋冬」
「春夏秋冬」を書いたことで「音楽をやりたい」と強く思えた
──デビューシングルには3曲が収録されていますが、それぞれどうやって生まれた曲なんですか?
タイトル曲の「春夏秋冬」は一番新しくて、今年の頭にできた曲です。上京してからの私はライブのブッキングをすることが、その日まで音楽を続けていく約束みたいな気持ちだったんですけど、去年の年末に、可能性を広げたくて、曲を書く期間を作ろうと思って、なにげなくライブを休んだんですね。で、その間に友達のライブを見たんですけど、そのときに私はもうステージに立つ人間じゃないかもしれないってふと感じたんですよ。で、今年の2月がマンションの更新期日だったので、それまでに自分の気持ちに変化がなければ音楽をやめて茨城に帰ろうと思ったんです。
──うんうん。
で、そういうことを考えてるときに、役者を目指して上京してた友達と会う機会があって。その子も同じように限界を感じていて、泣いていたんですよ。その涙を見たときに、つらい気持ちっていうのは現実との摩擦によって生まれるもので、その裏にはちゃんと前を向きたいという気持ちがあるんだなってすごく感じることができて、それが自分自身にも重なったというか。私もそうだったんだなって。で、胸が熱くなって、そのまま帰って書いたのがこの曲なんです。
──そこでもう一度、音楽をやりたいと強く思うことができたわけですね。
そうなんですよね。この曲を書いたことで、すごく腹が決まったというか。「私は音楽をやりたいんだ」ってすごく感じることができたんです。しかも、この曲をライブで初めてやったときに、今のレーベルの方が観に来てくださっていて、デビューのきっかけにもなったんです。すごく不思議なんですけど。
──根岸孝旨さんのアレンジがすごく温かな雰囲気ですよね。
ピアノに関してはデモの段階から変わってないんですけど、根岸さんが曲の世界を広げてくれた感じですね。すごく刺激的でした。友人に語りかけてるような歌詞だったりするので、なるべく私が側にいるような感じがいいなって思っていたんですけど、それをちゃんと汲み取ってくださいました。
このシングルが自分の全部だと思ってほしくはない
──2曲目はドラマ「モリのアサガオ」に起用されている「幻想フォルム」。ヒリっとした世界観を持つ曲で、歌い方も1曲目とはかなり違っていますね。巻き舌になる部分があったりもして。
「春夏秋冬」とは雰囲気が違いますね。これは2年前の曲です。自分が思い描いた理想とかけ離れた自分に失望することがあったんですけど、それは過去の自分を受け入れてないっていうことなんだと思うんです。でも過去の自分を受け入れれば、今の自分のことも、未来にどうしたいかっていうのも見えてくるっていう。そういう思いが詰まってますね。これもアレンジは根岸さんで、イメージどおりに仕上げてくださいました。
──もう1曲は、ストリングスの調べが柔らかな印象を与える「オトナコドモ」。
これは自分らしさがわからないときに書いた曲です。自分らしさをどうやってみんな見つけてるのかなと思って、いろんな人に聞いたことがあったんですけど、結局はみんなそれぞれに悩んで答えを出してるんだなってことがわかった。私にもきっと私だけの答えがあるんだなってことがわかったから、少しラクになったんです。それをそのまま書きました。アレンジャーの中島ノブユキさんはピアニストだから、アレンジでもピアノの呼吸感をすごく大事にしてくれましたね。
──このシングルでデビューする今、NIKKIEさんはどんなことを思い描いていますか?
上京したときもそうだったんですけど、自分の音楽の幅を広げたいっていう思いが強いんです。デビューっていうことをゴールにしてやってきたわけでもないし。なので、通過点かなっていう気持ちですね。とりあえずこの1枚が「はじめまして」ですけど、これを自分の全部だと思って聴いてほしくないっていうのもあります。これからもっといい意味で期待を裏切っていったり、新鮮なメッセージを届けたりしていきたいと思っているので、次も楽しみにしててほしいですね。まだこのシングルも出てないですけど(笑)。
「春夏秋冬」SPOT / NIKIIE(ニキー)
NIKIIE(にきー)
1987年茨城県生まれの女性シンガーソングライター。4歳からピアノを始め、16歳の夏から作詞作曲を始める。高校でのバンド活動を経て、17歳よりピアノ弾き語りでソロ活動を本格的に開始し、上京。精力的なライブ活動が現在のレーベルの目に留まり、2010年12月にシングル「春夏秋冬」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。