音楽ナタリー Power Push - NIKEWOMEN TOKYO×iri

常識から解き放たれた「Watashi」を見つける

ナイキが1月にスタートさせたキャンペーン「わたしに驚け」。このキャンペーンは製品やイベントなどを通して「自分を信じて一歩踏み出そうと挑戦し続けるすべての女性」を応援するものだ。

このたび公開された「わたしに驚け」キャンペーン動画には、iriの書き下ろしの新曲「Watashi」が使用されている。音楽ナタリーでは同曲を1stシングルとして3月22日にリリースするiriにインタビューを実施。ナイキからのオファーに対し「共感できる部分が非常に多かった」という彼女に、楽曲に込めた思いを聞いた。

取材・文 / 大橋千夏 撮影 / moco.(kilioffice)

「わたしに驚け」キャンペーン

「わたしに驚け」キャンペーン

ナイキが1月にスタートさせた、女性を対象としたキャンペーン。製品やイベントなどを通して「自分を信じて一歩踏み出そうと挑戦し続けるすべての女性」を応援する。2月25日には東京・両国国技館で複合イベント「NIKEWOMEN TOKYO」を実施。「JUST DO IT.」の精神で自分の限界に挑みながら、トレーニングやランニングを楽しめる内容となっている。

NikeWomen「わたしに驚け」ムービー

「見えない糸」に囚われ、一歩前へと進むことができない女性たち。彼女たちがiriの楽曲「Watashi」に背中を押されるように、スポーツやファッションなどそれぞれの分野で自分らしく輝いていく様子が表現されている。

iri インタビュー

──「わたしに驚け」キャンペーンソングのオファーを受けたときの率直な感想を教えてください。

びっくりしました。ナイキのスニーカーは普段から愛用しているし、ライブに行くときにナイキのスウェットやパーカーを着ることもあるので、自分が携われることは単純にうれしかったです。

──楽曲のイメージはどのように膨らませていったんですか?

iri

ナイキさんから「『普通』とか『常識』という言葉に囚われてしまう女性が多い中で、彼女たちがそういった言葉から解き放たれて一歩踏み出すきっかけになるような曲にしたい」というお話をいただいて、そこからイメージを作っていきました。私自身も共感できる部分が多かったので、「やっとこの思いを世の中に吐き出せる」と思いましたね。

──iriさん自身も、何かに縛られていると感じる体験があったのですか?

私自身というより、周囲を見ていて思うことがあって。少し前に大学を卒業したんですけど、大学では「流行っているから」「みんながこうだから」という理由でみんなが同じようなスタイルになってしまうことに違和感を感じていたんです。別に “普通”である必要はないのに、自分の個性を抑えてしまう人は多いのかなって。

──なるほど。今回の楽曲は1stアルバム「Groove it」に引き続き、ケンモチヒデフミさん(水曜日のカンパネラ)がトラックメーカーとして参加されています。ケンモチさんとはどのように制作を進めていったのでしょうか?

スケジュールの都合上、今回ケンモチさんと打ち合わせでお会いはしていないんです。ただ、ケンモチさんにも楽曲のイメージや私が考えていたことは事前にお伝えしていたので、制作はスムーズでした。最初にいただいたトラックからほとんど変わっていないかな。ケンモチさんが作ったベースに私がアレンジを加えて、歌詞を乗せていくという流れで作っていったんです。ただ、歌詞については悩みました。

──確かに「Watashi」の歌詞には、これまでのiriさんの楽曲にはない「言い切る力強さ」のようなものを感じました。

iri

そうなんですよ。1stアルバムのときは、自分の好きなように……どちらかといえば淡々とした言葉で思いを表現していたんですけど、今回のキャンペーンはすごくストイックだし、メッセージ性も強いなと思って。誰が聴いてもすっと入ってくる言葉を選び出すのがすごく大変だった。そういう意味では新しい自分を出せたかなと思います。

──キャンペーン動画と併せて聴くと、女性の動きと歌詞がシンクロしていたりして、さらに説得力が増しますよね。

映像と一緒に楽しんでもらうことは意識していたので、動きに合わせて歌詞を変えたりもしたんです。完成したものを観たときは「うわあー!」って、思わず感動しちゃいました(笑)。

──今回の楽曲制作を経て、改めて感じたことはありますか。

歌詞の中にもあるんですけど、私は「誰も見たことのない景色を見てみたい」といつも思っていて。今回のような「誰かの背中を押す」楽曲を作ること自体が私にとって1つのチャレンジだったんですけど、歌っていてまた別のステージに来られたなと思えるんです。

──そうなんですね。

だから踏み出すことの大切さを改めて感じましたし、皆さんにもこの曲を聴くことでそんなふうに思っていただけたらうれしいですね。どんなに小さな一歩でも、踏み出すことで新しい何かが必ず見つかるし、それがその人の輝きを増してくれると思うので。

──iriさんにとっては音楽を始めたことが、「見たことのない景色」を見るための一歩だったのでしょうか。

そうですね。デビューのきっかけになったオーディションがあるんですけど、たまたまスタジオでそのオーディションのフライヤーを見て「これで受からなかったら音楽辞めよう」と思って応募したんですよ。だからその一歩がなければきっと今はないので。ステージに立つたびに「もう1個上を見たい」と思うし、そうやってこれからも音楽を通じて自分の世界を広げていきたいなと思います。

──2月25日には東京・両国国技館で開催されるナイキ主催の女性限定イベント「NIKEWOMEN TOKYO」にも出演が決定しています。

はい。両国の大きなステージでこの曲を歌えることがすごく楽しみです。

──当日は2500名の女性がランニングやトレーニングを行います。iriさんは体を動かすことは好きですか?

最近は機会が減ってしまったんですけど、ときどき地元の海沿いを走ったりしています。運動自体は好きなので、ライブのあと体力が持てばトレーニングにも参加したいですね(笑)。

iri