ナタリー PowerPush - 新山詩織
「ひとりごと」に込めた願いごと+私の好きな4作品
自分の弱い部分を認めた
──では自分はこれからどうありたいと思ったのか、教えていただけますか?
前からずっと「周りに流されたくない」っていう思いがあるんですけど、それは2番のBメロに書いて……。
──「つぎはぎの言葉で 書かれた台本 右手に 演技しながら生きる そんな日々は どこかに捨てるの」というところですね。
今までずっと、人と話すときも学校のクラスの中にいるときも変に怯えていた自分がいて。そういう自分の弱いところをどこかにほっぽり出したくて仕方なかったんだけど、今になってやっと、それも自分の一部だって思えるようになってきて。高校生活もだいぶ後半に入ってるので自分でも今さら?って思うんですけど、そんな弱い部分もちゃんと認めて、これからまた新たに歩いていきたいって思いました。
──弱い自分を受け入れようと。「Don't Cry」で歌っていた、「何もかもはっきりしない どうすればいいの?」というフレーズの答えのようですね。
確かに。音楽活動の中で、自分の気持ちとゆっくり向き合いながら今まで過ごしてきて、だいぶ変わったなと自分でも思います。
──過去2作のシングルで弱いところをさらけ出して、リスナーから「共感しました」っていう声をもらったことで、自分のそういう面も肯定できるようになったっていう部分もあるのでは?
それもあります。お手紙とかラジオでメッセージをもらうと、クラスになじめなかったり友達が突然離れていっちゃったりっていう、友達関係でうまくいってない同年代の女の子がたくさんいて。ずっと「自分と同じ気持ちの人はいない」って勝手に思ってたんですけど、たくさん「共感した」って言ってもらえて、それはすごくパワーになってます。共感してくれた人たちも「私だけじゃないんだ」って思ってくれたと思うし。そういうお手紙を読むと、何も飾らずにそのままの自分の言葉で歌を届けていきたいなって感じます。
いらない不安が消えてきた
──弱い自分を認めたことで何か変わったことはありますか?
いらない不安がちょっとずつ消えてきたなっていうのはすごいあります。日頃少し感じるような不安はもちろんあるけれども。
──その「いらない不安」って?
人と話すとき、前まではかなりずっしり考えてから話してたからそれで疲れちゃってたけど、ずっしり感がちょっと軽くなった。別に人と話すのが得意になったっていうわけじゃないんですけど。
──デビューしていろんな人と関わるようになったことも1つの理由なんですかね。
それはあると思います。本当、たくさんの大人の人と接しているので。学校でもたまに同世代じゃなくて大人の人と話すときみたいな雰囲気になる。それもどうかと思うんですけど……(笑)。
10代の「イージュー★ライダー」
──今回カップリングには奥田民生「イージュー★ライダー」のカバーが収められますが、もともとこの曲にはどういう印象を持っていましたか?
自分自身にまっすぐ入ってきて、聴いたら誰でも自然と明るくなれる曲だなっていうのはずっと思ってました。歌詞は30代のことを歌った内容だけど、10代の自分が歌ってみてもすごく響くものがあるから、素直な気持ちで歌ったら絶対自分と同世代の人たちにも響くだろうなと思ってて。自分でも歌ってみたかった曲です。
──カバーしてみていかがでした?
地の声で気持ちよく歌えました。自分で歌っていてもどんどん気分が明るくなってくるし、いい意味で能天気な雰囲気もある曲なので、そういうユルい感じを初めて出せたと思います。自分の曲と比べたらメロディとか言葉の使い方とかは全然違うけど、こういう曲もこれから書いてみたいです。
収録曲
- ひとりごと
- イージュー★ライダー
- ひとりごと-instrumental-
ライブスケジュール
- 第13回青少年のためのコンサート
- 2013年12月14日(土)
新潟県 三条市中央公民館大ホール
OPEN 14:30 / START 15:00
新山詩織(にいやましおり)
1996年生まれのシンガーソングライター。幼少期より父親の影響でブルース、パンク、ロックを聴いて育つ。2012年、ビーイング主催の新人発掘オーディション「Treasure Hunt ~ビーイングオーディション2012~」に「詩織」名義で出場。オリジナル曲「だからさ」と椎名林檎「丸の内サディスティック」を弾き語りで披露してグランプリを獲得する。同年12月、新山詩織としてアーティストデビュー。2013年4月に笹路正徳をサウンドプロデューサーに迎えたメジャー1stシングル「ゆれるユレル」をリリースし、7月には映画「絶叫学級」の主題歌として書き下ろした「Don't Cry」を2ndシングルとして発表した。11月13日、3rdシングル「ひとりごと」をリリース。タイトル曲はTBS系「CDTV」の11月度エンディングテーマに採用されている。