SNSでスタッフをヒヤヒヤさせているYOSHIKI

──Twitterはいつごろから始められたんですか？

2010年に「Lollapalooza」（アメリカ・シカゴで例年開催される大型音楽フェスティバル）に出演する1週間くらい前だったと思うんですよ。アメリカにいた僕のスタッフがアカウントを作ってくれて、なんとなく始めました。

──最近はTwitterに加えて、Instagramも頻繁に更新なさってますね。

何をどういうふうに更新したらいいか正直あんまりわかってないんですけど、Twitter、Instagram、Facebook、LINE、Google+のほかに、中国の微博（ウェイボー）、ロシアのVKっていうSNSのアカウントも持っています。一斉に更新することもあれば、適当に1つだけ投稿することもあるし。予定調和じゃないのが好きなので。そうは言ってもSNSに関してはスタッフサイドでも重要性を感じているから、僕にはアメリカにもイギリスにも「こういうことをこうやって発信したほうがいい」って提案をしてくるいろんなブレーンがいるんですね。でも僕はそういう人の意見をぶっちぎっていきなり「酔っぱらった！」とか書き込んじゃうんで、スタッフ周りをヒヤヒヤさせてるのは確かです（笑）。

──（笑）。いろいろと同時進行でプロジェクトを動かしていて大忙しだと思うのですが、寝ている暇はあるんですか？

よく言われます、「YOSHIKIって実は2人いるんでしょ？」って（笑）。頻繁に移動していることも多いので気付いたら香港にいたり、ロンドンにいたり。

──ちなみに睡眠時間は1日何時間くらいですか？

1週間に1、2日はまったく寝られない日がありますね。あとは2～3時間の日もありますし、時間があるんだったら5時間くらいは寝たいです。地上より空中にいることのほうが多いくらいなので飛行機で寝ることはよくありますけど。

──長くて5時間ですか……。

ただ月に1回くらい、冬眠するみたいに20時間くらい寝ちゃうこともあるんです。目覚めたらまず「今、何時なの？ あとどこの国にいるの？」って確認しないといけない（笑）。

「YOSHIKIさん、もうツイートとかしないでください！」

──アルバムの収録曲から先行配信される楽曲「BORN TO BE FREE」が、先日イギリスの音楽情報誌「Metal Hammer」のオフィシャルサイトで24時間限定公開されましたね。

あの日、やっとみんなに聴かせられるんだなと思ってワクワクしていて、僕もファンと同じように聴こうと思ってたんですが、サイトにアクセスしても全然つながらないんですよ。で、そのときは日本にいたんで試聴開始時間が深夜だったんですけど、すぐイギリスに連絡して。そしたら「アクセスが多すぎてクラッシュしてます」って（笑）。そのあと復旧したって報告を受けて、無事に聴けたんですけど、しばらくしてサイトを開こうとしたらまたつながらない。そしたら今度は現地のスタッフに「YOSHIKIさん、『復旧したみたい！』とかツイートとかしないでください！」って言われて。最初は「どんどん発信してくれ」って言ってたじゃないかって（笑）。結局5回くらいサーバーがクラッシュしたみたいですね。

──24時間限定で5回クラッシュしてしまうなんてアクセスが相当集中したってことですよね。

ファンには迷惑をかけましたけど、大きな反響があったことは確かですよね。また11月にイギリスへ行くので「Metal Hammer」のスタッフとも会うと思います。彼らにはすごくサポートしていただいてるので感謝してますが、今回の件があったんでちょっと構えてるでしょうね（笑）。

──「Metal Hammer」以外にもYOSHIKIさんは各国のメディアに出る機会がかなり増えています。海外ではどんなことを聞かれることが多いんですか？

イタリアのロック専門誌のインタビューが印象に残ってまして、X JAPANとか僕のことをやたらと詳しく知ってるんですね。「最初に出したシングルは『オルガスム』であのときのあれは……」とかかなりマニアックな質問が出てくるんですよ（笑）。7月にヨーロッパの4カ国くらいをプロモーションで回ったんですけど、どこに行ってもそういう感じで詳しい情報を知っている現地メディアの方がいました。

──そういったマニアックな情報が世界に広まっているっていうのは、ファンの力が大きいと思います。日本でのエピソードを英語化している方もいますし。

そうですね。X JAPANにとって今、とても喜ばしいのは“ファンが積極的に情報を広めてくれる”ということで。それは今の僕らの強みにもなっています。

解散前は楽屋にフランス料理が並んでいた

──7月にロンドンで行われた「HYPER JAPAN」の取材をさせていただきました。Toshlさんと2人で数曲を披露していましたが、現地ファンの熱狂ぶりが印象に残っています（参照：X JAPAN、でんぱ組.incら「HYPER JAPAN」でロンドン賑わす）。

あ、来ていただいてたんですね。あの日はリハーサルでかなりテンパッたんですよ……。

──リハーサルの様子も拝見していたのですが、確かに大変そうでした。確かステージに常設してあったドラムのスナッピーが……。

ピアノ弾いたら共振しちゃってビリビリ鳴ってましたね。

──あのときYOSHIKIさんは現地のスタッフに「スナッピーを外してくれ」って指示してましたけど、誰もすぐ対応できないのを察して結局YOSHIKIさんが自らスナッピーを外しに行くっていう……。

そうそう。アメリカとか海外だと“日本人は控えめな性格”ってイメージがあるみたいなんですけど、僕は現地でスタッフにガンガン指示を出しますし、自分でも動くんです。でもなかなか指示が通らないこともあって、「Lollapalooza」のときだったかな、シンバルスタンドが倒れちゃったのにスタッフが気付いてくれなくて、自分でスタンドを抑えながら叩いたこともあります（笑）。

──日本とはかなり環境が違いますね。

海外に行くと日本のスタンダードが通用しないので、例えば日本だとリハーサルに行けばモニターも当たり前のように用意されてるけど、南米の会場だとそれ以前に「あ、楽屋がない」とか（笑）。最初はいろいろびっくりしましたけど、各国を回るうちにそれはそれでだんだん面白く思えるようになってきました。解散前のX JAPANだったら東京ドームの楽屋に入ったら、フランス料理のコースがバーって並んでいるような感じでしたし、もうすべてがそろっている状況でした。例えば僕が右を向いたら10人くらいが「どうしたんですか！」って様子を伺ってくるくらい。それは当時の僕がピリピリしてたってこともあるんでしょうけど、今は「電球1つでもコンサートがしたいんだ」っていう気持ちでいます。いちいちピリピリしてたらやっていけないなと。