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木根尚登、超会議で生“ゲワイ”

超会議で生“ゲワイ!”

──「超会議」はそういった新しい出会いや刺激が、ネットではなく目の前で体感できる場なのかなと思います。今回は「事務員Gとゆかいな仲間たち」とのコラボですが、ステージでどんなことをやるのかはもう具体的に決まってるんですか?

いえ、彼らとは前日にリハーサルをやってそのまま本番という予定なので、どんなことになるのかは直前までわかんないですね。

──「Get Wild」をやるのは決まってるんですよね。

木根尚登

僕がやるのはもう、「Get Wild」の自分のパートだけですから。“弾いてみた”動画を上げたときに「ホントだ、あんまり弾いてない!」なんてコメントもあったけど(笑)、アンサンブルを組んで音楽を作ってるわけだから。そもそもTMってね、ギターは演奏しないところが多いんですよ。いわゆるスリーピースのバンドじゃなく、常にシンセが鳴ってるから。松本くんだってリフをダダダと弾いて、休んで、ギターソロを弾いてる。知らないと「なんで弾いてないんだろう?」って思うんでしょうね。

──あの“弾いてみた”動画は、いくつも重なってるアンサンブルの中で木根さんのパートがはっきり聞こえる面白さもあるんですよね。

「超会議」でも僕はちゃんとあの自分のパートだけを弾きますよ(笑)。

──もう1曲演奏を予定している「Still Love Her」はいかがですか?

TMではアコースティックギターとハーモニカを弾いて、コーラスもやってます。今回のステージでは僕がボーカルを……サイドボーカルがメインボーカルをやるという(笑)。まあせっかくのコラボなんで、みんなで歌いたいですね。

木根尚登とサングラスの関係

──あと、木根さんは告知のコメント動画で「当日はみんなサングラスをしてきてね」とおっしゃっていましたが(笑)。

どうしてそんな話になったのかよく覚えてないんですけど(笑)、みんなサングラスしてると面白いかもねという話になって。

──サングラスと言えば、やはりテレビで先日、木根さんがサングラスを外した姿が大きな話題になりました。

あれもねえ(笑)。サングラスにまつわる話は、もう30年間ずっとですからね。デビューの頃からテレビに出るたび「なんでサングラスなんですか?」って聞かれ続けて、そのつど答え続けてるんですから。前にNHKで1年間サングラスを取って番組をやってたのに……全国放送で1年やったのに、それでも「サングラス取らないんですか」って言われるんですよ。

──アイコンとしてのサングラスが定着しすぎているんでしょうね、木根さんにとって。ご自身の中でも、サングラスをかけることによってスイッチのオン / オフが切り替わるようなところもあるのでしょうか。

TMだとありますね。TMでは衣装もパシッと決まっていたり、ちょっと変わった未来風の衣装もあったりするから、サングラスをかけてパシッと決めて……というのが自然になっちゃいました。僕がサングラスをしてTM NETWORKの3人ができあがる、みたいな感じはどこかありますね。

大人や政治とは無関係な面白さがここにはある

──実際に合わせてみるまでどうなるかわからないところもあると思いますが、現段階での意気込みのほどを聞かせてもらえますか?

木根尚登

「超会議」の盛り上がりは遠目に認識してましたし、この超アナログ人間の僕が……まだガラケー持ってる僕が(笑)、そんな場所に出てってもいいの?という驚きもあるけど、みんなが僕というキャラをどう受け止めてくれるかはすごく楽しみなんですよね。やっぱりね、ニュースで大きく取り上げられたりするのはありがたいことだし、改めて自分の置かれたポジションを確認する意味でも、そこに出る価値はあるなと思うんです。受け入れてもらえるのであればそこに僕もいたいと思いますし、新しく何かを始めることができたらなと思っていて。そんな僕の恐る恐るの第一歩を楽しんでもらえたらなと。「お手柔らかに」と言っておきたいですね(笑)。

──何が起こるかわからないですよね。僕らがいつも紅白で観ていた小林幸子さんが“ラスボス”として受け入れられている場所だから。

そこがいいんですよね。大人や政治とは無関係な面白さがここにはあるから、僕には何ができるのか楽しみです。

──木根さんに新たな称号が生まれるかもしれない(笑)。同時に木根さんのアーティストとしての魅力、“キネバラ”の魅力がより広く浸透する機会になるんじゃないかと期待しています。

うん。そうなってくれるとうれしいですね。

まだまだ子供

──木根さんはちょうどこの4月から、TMでのアニバーサリーイヤーを経て、ソロでの活動を再開したばかりですよね(参照:木根尚登が“REBOOT”)。

はい。TMの30周年はそっちに集中しようということで、ソロでの活動はお休みしてたんですけど、この「超会議」はまさに再始動の第一歩になるので、特別な意味を感じています。最初に話したように、エアギター事件から1つのシナリオのように話が進んでいく中でソロ活動を再開したので。

──これを第一歩目として、その後はどんな活動をしていこうと考えていますか?

木根尚登

“REBOOT”に併せてオフィシャルサイトに僕のコメントも載せましたけど(参照:木根 尚登オフィシャルサイト - RESETからREBOOTへ(木根尚登))、簡単に言うと2つの路線で行こうかなと考えています。さっき話したような、サングラスをかけた自分と外した自分をいよいよ切り分けようかと。これまでにも小説を書いたり舞台に出させていただいたり、音楽以外にも好きなことがあったので、それも広げていきたいと思っていて。今度は舞台に出るんじゃなく脚本を書くのもいいだろうし、バラエティに出るのも好きだからコミックバンドをやったっていい。なんでもアリだし、これからはそういう時代かなと勝手に思ってるんですよ。「こうじゃなきゃいけない」というレールはもう敷かれていないんだから。「超会議」なんてまさにそんな時代を象徴するものだと思うんですよね。

──そうですね。

プロやアマは関係なく、それぞれ好きなことをやって評価される。お金になったらいいし、なんなくても楽しければみたいな。そういう時代になってきていると思うので、一方ではきちんと仕事しつつ、もう一方でもっと自由に広げられたらいいなと。

──もはやベテラン、重鎮と呼べる立場にありながら、それだけフットワークが軽くいられるのってすごいですよね。「TM NETWORKの木根尚登」として30年の歴史がある人なのに。

なんでしょうね、自分にとってのモチベーションとしてずっと持っているのは中学生の頃から変わっていなくて。あの頃憧れたものを今もずっと追い求めているだけなんですよ。自分ではまだ憧れにたどり着いていなくて、一生懸命追い求めていることが今でも楽しい。そう言いながらもまもなく還暦を迎えてしまうんだけどね(笑)。お前まだ遊んでんのかと言われるかもしれないけど、こうなったらこのまま行くしかない。普通の大人だったらね、僕ももう現役を退いて若い人を育てなきゃいけない年齢だし、プロダクション作って……とかやるんだろうけど、そんな自分が想像もつかないんですよ。それが自分に向いてるとも思えないし、まだやり足りないことがあるうちはね。でも若い人たちと一緒にやろうとは思ってます。ユニットを組んだりとか、いろんな若い人たちを巻き込んで育てながらも、自分も違う角度からコラボしていくようなことはやりたいと思ってます。

──TMの皆さんは3人ともそんな感じですよね。みんなちゃんとまだ子供というか(笑)。

いや、どうしようもない子供ですね(笑)。小室くんが30周年で「QUIT30」みたいなアルバムを作れたのは、彼がまだまだ子供でいまだに憧れを追い求め続けているからだと思います。ウツ(宇都宮隆)もそれに応えて歌ってくれた。「僕らが今作るならこんな感じでしょ」ってみんなが予想するところに、小室くんは「“こんな感じ”と思われたくない」という負けず嫌いな気持ちで向かっていくんです。それはまさに子供だからで、大人になっちゃってたらあんなアルバムはできなかった。大人は要領がいいから、読み通りになっちゃうんですよ。子供は突っ走っちゃうから。周りの大人は大変なんですけど(笑)、そうじゃないともの作りはできないですね、やっぱり。

木根尚登

ニコニコ超会議2015

ニコニコ超会議2015
開催期間

2015年4月25日(土)、4月26日(日)

会場

幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール

超演奏してみた supported by サークルKサンクス

4月25日(土)出演者

木根尚登(TM NETWORK)/ HISASHI(GLAY)/ 事務員G / てっぺい先生 / めんどくせぇP / ファミ箏 / フリーザック / Rio.T / Lowland Jazz / れゐてる / 三代 / mao / [TEST] / ショボン

4月26日(日)出演者

私立恵比寿中学 / 氏家克典 / 桐子(KiRiKo)/ 大凶作 / 東京アクティブNEETs / マツケん(マツケン先生)/ サムライ・オブ・ロック / ショボン / mao / [TEST] / 三代 / 事務員G

木根尚登(キネナオト)

小室哲哉(Key)、宇都宮隆(Vo)とともに、TM NETWORKのギタリストとして1984年にメジャーデビュー。シンセサイザーを多用したきらびやかでポップなサウンドが徐々に注目を集め、1987年にはテレビアニメ「シティーハンター」のエンディングテーマとなった10thシングル「Get Wild」が大ヒットを記録した。1989年にはTM NETWORKの6thアルバム「CAROL ~A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991~」と連動したオリジナルストーリー「CAROL」で小説家デビュー。翌1990年にはニッポン放送「木根尚登のオールナイトニッポン」でパーソナリティを務める。1992年12月には初のソロシングル「泣かないで」を発表。また作曲家としても活躍し、渡辺美里、浅香唯、椎名へきる、南野陽子、吉田栄作ら多数のアーティストに楽曲を提供している。現在もTM NETWORKでの活動と並行して、ソロアーティスト、小説家、音楽プロデューサー、ラジオパーソナリティ、俳優とマルチな才能を発揮している。


2015年5月29日更新