「2000人だろうが、1万人だろうが変わらない」

──ここからは「NicoNico Music Master 2」について伺いたいんですけど、recogさんは2月に行われた第1回目の「ミューマス」にも出演していますよね。そのときの感想は？

前回の「ミューマス」では、黒うさPさんの「千本桜」と、トーマさんの「エンヴィキャットウォーク」を歌ったんですけど、「エンヴィキャットウォーク」についてはお客さんも盛り上がってましたし、僕も「歌い切れた」っていう気がしているんで、ほぼほぼ満足しています。ただ、ちょっと煽り方がワンパターンすぎたのと、あと演奏陣を差し置いて前に出過ぎちゃったのは心残りですね。せっかくバンドと共演するんだから、なんならボーカルより演奏を観てほしかったんですが、思わず調子に乗っちゃう悪い癖が出ちゃいました（笑）。

──そして「千本桜」では、ふに（妹）さんとデュエットしてましたよね。

「この2人を混ぜんな！」って感じですよね（笑）。ただ、ふに（妹）さんは人となりが面白くて。普段は物静かな男なんですが、前回のミューマスの動画を観てもらえばわかる通り、豹変しますからね。「ステージに上がるとこれだけ変われるんだあ」ってギャップに驚きました。あと一緒に歌ってはいないけど、けーぽんはスゴかったです。何がスゴかったかというと、あれ、彼の人生初のライブだったんですよ。それなのに動画の中で半裸で歌ってるとき以上のテンション。あんだけ客を煽って歌えているっていうのに才能を感じました。なんで今回出ないんだろう。出ればいいのに（笑）。

──recogさんは緊張したりは？

特にしなかったですね。ニコニコ公式のイベント自体、去年の「ニコニコ超会議」に出ているし、それ以前から歌い手と奏者が自主的にやっているライブに呼ばれたりはしているので。最初にライブをしたのって、今回の「ミューマス2」の会場でもあるディファ有明なんですけど、さすがにそのときは「初ライブで1000人の前で歌え」って言われたわけだからビビリましたけど（笑）、今は場数踏んじゃったんで全然緊張しませんね。もう2000人だろうが、1万人だろうが変わらないんじゃないんですかね。

──じゃあライブは好き？

ライブもレコーディングも好きですね。自分の録音しているときは趣味の一環というか、すごく日常っぽい感じがするからすごく好きなんですけど、その一方でライブは非日常的じゃないですか。お客さんも普段と違う刺激を求めているような気がするし、自分も普段とは違う刺激を受けられますし。

チャンスを待つ人のための客寄せパンダになりたい

──recogさんが「けーぽんはなぜ出ない」と言う通り、今回の「ミューマス2」では出演者がかなり入れ替わっています。

連続出場は僕とベースのおつぽんさんくらいかなあ。ただ、今回初めての人も多いので楽しみですね。すごくいいことなんじゃないかなって思っているので。ライブをたくさんやってみてわかったことなんですけど、経験ってホントに大事だし、ステージに立つ経験ってホントに楽しいですから。こないだある記事で読んだんですけど、ニコニコ動画の歌い手さんって10万人を超えたらしいんですよ。

──10万人ですか！

僕が投稿し始めた頃は100人もいなかった。その頃だったら、ちょっとがんばれば「ミューマス」のようなニコニコ公式のイベントに出れたかもしれないけれど、今となっては、再生数がスゴいとか、有名な歌い手と仲がいいとか、そういう後ろ盾もなくステージに立つのって宝くじに当たるよりも難しくなってきているような気がするんですよね。そういう意味でも「ミューマス」ってすごくいいイベントなんじゃないかなって思います。もともと「ミューマス」って人気に関係なく、多くの人が出演できるイベントにしたいという基本理念のもと運営しているらしいんですけど、今回の「ミューマス2」ではさらにエントリー枠っていうのが増えていて。「出たい！」と思う人は勇気を出してエントリーして本気を出せば、ちゃんとチャンスを手にできる。それがすごくいいな、と思ってます。

──でもrecogさんはその新しい歌い手に追われる立場。もっと言ってしまえば、あくまで個人の活動なんだから、ほかの歌い手のことや、「歌ってみた」というカテゴリ全体のことなんて気にしなくてもいいのでは？

いやでも、シーンに対する責任というか、むしろ愛情に近いのかなあ。そういう気持ちはあって。僕自身、音楽経験があまりない中、替え歌を作ることを始めて、今となってはディファ有明や幕張メッセのような大きな会場でライブをやらせてもらえるようになって。あと今度、アルバム（9月18日リリースの「recognize」）まで出させてもらうことにもなっていて。なんでこんなことになったかっていうと、ニコニコ動画や「歌ってみた」があったからだから。「普通の人でも、ここでがんばれば何かができる」っていうことを証明できる場であってほしいんだと思います。それにシーンって新しい人が出てくることでドンドン変わっていくべきものだと思ってるので。ちょっとエラそうな言い方ですけど、チャンスを待っている人たちのための客寄せパンダくらいはやりますよ、って心境ですね。なんか運営の人間のコメントみたいですけど（笑）。

よく食べて、よく眠り、酒は飲まない！

──ちなみに、その客寄せパンダは「ミューマス2」では何を歌うんですか？

前回の「エンヴィキャットウォーク」のリベンジということで、もう一度トーマさんの曲をやります！

──その1曲だけですか？

もう1曲歌う予定で、そっちはネタものですね。

──最後に「ミューマス2」の開催を目前に控えた今、何か抱負みたいなものはありますか？

「前回の反省を生かしてそんなに前に出しゃばらない！」ですかね。やりすぎると、演奏の邪魔になるので（笑）。あとは「全力でがんばります！」くらいかなあ……。前日はよく食べて、よく眠り、お酒は飲まず、万全の体調でがんばります！ ……って、どうしよう！ 完全に古参のジジイみたいだ。というわけで、今回は初登場の新しい皆さんの歌と演奏にご期待ください！（笑）