音楽ナタリー PowerPush - NICO Touches the Walls

初アコースティック盤発売記念! メンバー全曲解説

08. Diver

光村 歌詞に「息をしたくて ここは苦しくて」ってところがあるけど、今回のレコーディングではリアルにフルくんが息をしたかったんじゃないかと(笑)。

古村 本当に苦しかった……なぜなら、覚えたてのブルースハープを間奏で目一杯吹いたからです(笑)。

光村 今回のアルバムに入ってる曲って、オリジナルはどの曲も間奏でギターソロがしっかり入ってるんだけど、そこをいろんな楽器に置き換えて表現したんです。で、「Diver」はフルくんにハーモニカを吹いてもらったと。この曲のレコーディングで一番印象的だったのは、フルくんが酸欠気味になりながらコントロールルームから出てきて「みっちゃん、音楽って肺活量が必要なんだね」って言ったことだね。

対馬祥太郎(Dr)

坂倉対馬 はははははは(笑)。

光村 今まではギタリストだったから肺活量とか関係なかったと思うんだけど、新しい楽器に挑戦したことで新たな発見をしたと。

坂倉 間奏ももちろんですけど、リズム隊のアレンジもポイントの1つですね。ドラムとベースが一体になって加速していく感じとか。ベースをかき鳴らすようにプレイして勢いを出したり。音圧を駆使して勢いを出すのとは違う気持ちよさがありましたね。

光村 これは聴き手に近い距離感で鳴るような、すごい生々しいアレンジを目指した記憶がありますね。だから「息をしたくて ここは苦しくて」っていう歌詞の切迫感が強調されてる気がします。聴き比べるとわかるけど、オリジナルは苦しさがまだ足りない(笑)。

09. Broken Youth

光村 正直、「Broken Youth」って2008年にレコーディングしたときは、歌うのも弾くのも苦手だったんですよ。曲の構成は長いし、高い声出さなきゃいけないから難しいし。曲が体になじんで歌ってて気持ちいいなと思えるようになったのが、去年のベスト盤(※2014年2月リリースの「ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト」)が出たタイミングくらいで。当初は気持ちいいのはテンポが速くてエモーショナルだからだと思ってたんですけど、ゆったりしたビートでも染みるんですよね。今回アレンジしてみたことでより好きになりました。

古村 改めてこの曲は僕らに似合ってるなと思いましたね。個人的にアルバムの中でも特に気に入ってる曲です。

対馬 アコースティックアレンジにすることで、この曲が持つメッセージが温かく表現できたと思います。スタジオでセッションしてるときの空気感だったり、楽しい感じがにじみでたというか。

坂倉 わかる。あと不思議なほど自分たちにしっくりくるんですよね、このアレンジ。

10. ニワカ雨ニモ負ケズ

光村 この曲は間奏が聴きどころですね。すごい遊んでるんですけど、僕としてはその間奏のギターソロが一番苦しんだところでもあり。オリジナルは雨の音とコーラスが重なってるんだけど、それをアコースティックで表現しても面白くないからって3人に預けたら、えげつない速弾きのギターソロが戻ってきて。「これ誰弾くの?」って聞いたら、「みっちゃんどうぞ」って……。

坂倉 アルバム最後の曲がみっちゃん単独の弾き語りによる「バイシクル」だから、その前にバンドで面白いことをしたいってなって。3パターンくらい間奏のアレンジを考えたんだけど、その中で一番えげつないギタープレイを強要するアレンジを採用しました。ふふふ(笑)。

対馬 すごいテンポ速いよね。完全にメタルだし。

光村 アコースティックアルバムなのに、もっとも苦手な速弾きに挑戦させられるという……。今回のアルバムって基本的にどの曲も一発録りなんですけど、作業費100円払えばやり直せるシステムを導入してて。僕、このギターソロだけレコーディングのときに全然弾けなくて。ここで2000円くらい落としましたね。まあカッコいいアレンジになったのは認めますよ!

古村 レコーディングは無事終わりましたけど、ライブが楽しみですよね(笑)。ギター陣は必死な顔をしてると思いますので、顔にもご注目ください。

光村 いや、そんな必死じゃないよ。だって俺、レコーディング終わってから家でさんざん練習したから流暢に弾けますよ。ライブでやるときはギターソロを延々とやって、いつまで経ってもベースとドラムが入れないようにしてやる。

坂倉対馬 えー!

11. バイシクル

光村 これは僕1人の弾き語りで。自分たちが今回一番やりたかったことの究極の形というか。「派手に飾ることだけが攻めじゃないぞ」って伝えたくて。徹底的に音を削ぎ落としたアレンジって勇気がいるし、自分たちの音楽に対して自信がないとできないと思うんです。この「バイシクル」もですけど、アコースティックってリスナーとの距離感が近くなる気がするんですよね。それがこの曲では一番出てるかな。アコースティックアルバムを作ったことで、僕らは新しい武器を手に入れることができたと思うんです。新しい楽器にも挑戦したし、これまでにないアレンジも作ったし。これから作る曲だったり、ライブだったりで生かせる部分もたくさんありました。よくも悪くも素の自分たちが出たと思うんで、もっと鍛えなきゃと思うポイントも出てきましたね。だから俺たちまだまだだなって思ったし、バンドにとってちゃんと意味のあるアルバムになりました。

NICO Touches the Walls
ニューアルバム「Howdy!! We are ACO Touches the Walls」2015年2月4日発売 / Ki/oon Music
初回限定盤 [CD+DVD] 3960円 / KSCL-2543~4 / Amazon.co.jp
通常盤 [CD] 2880円 / KSCL-2545 / Amazon.co.jp
アナログ盤 / 3960円 / KSJL-6179~80 / Amazon.co.jp
ハイレゾ版も配信中! / mora
CD収録曲
  1. 口笛吹いて、こんにちは
  2. 手をたたけ
  3. THE BUNGY
  4. 天地ガエシ
  5. 夢1号
  6. ホログラム
  7. Diver
  8. Broken Youth
  9. ニワカ雨ニモ負ケズ
  10. バイシクル
初回限定盤DVD収録内容
  • 口笛吹いて、こんにちは(アコタッチ)
  • バイシクル(アコタッチ)
  • 手をたたけ アコースティック
  • Lonesome ghost アコースティック
  • THE BUNGY アコースティック
  • Mr.ECHO (Acoustic ver.)
  • April (Acoustic ver.)
  • 夢1号 (Acoustic ver.)
  • ニワカ雨ニモ負ケズ Acoustic ver.
  • Diver Acoustic ver.
  • Broken Youth Acoustic ver.
ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ フェスト'15
  • 2015年2月24日(火)愛知県 DIAMOND HALL
    <出演者>
    NICO Touches the Walls / ストレイテナー
  • 2015年2月25日(水)大阪府 なんばHatch
    <出演者>
    NICO Touches the Walls / UNISON SQUARE GARDEN
  • 2015年3月5日(木)東京都 新木場STUDIO COAST
    <出演者>
    NICO Touches the Walls / [Alexandros]
NICO Touches the Walls TOUR 2015
  • 2015年5月21日(木)東京都 豊洲PIT
  • 2015年5月22日(金)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
  • 2015年5月24日(日)福岡県 福岡市民会館
  • 2015年5月28日(木)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
  • 2015年5月30日(土)宮城県 Rensa
  • 2015年5月31日(日)青森県 青森Quarter
  • 2015年6月4日(木)高知県 X-pt.
  • 2015年6月6日(土)宮崎県 MIYAZAKI WEATHERKING
  • 2015年6月13日(土)大阪府 オリックス劇場
  • 2015年6月14日(日)大阪府 オリックス劇場
  • 2015年6月20日(土)富山県 MAIRO
  • 2015年6月21日(日)新潟県 新潟LOTS
  • 2015年6月27日(土)北海道 サッポロファクトリーホール
  • 2015年7月4日(土)愛知県 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
  • 2015年7月10日(金)兵庫県 神戸VARIT.
  • 2015年7月11日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2015年7月19日(日)東京都 東京国際フォーラム ホールA
NICO Touches the Walls(ニコタッチズザウォールズ)

NICO Touches the Walls

2004年4月に光村龍哉(Vo, G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)の3人で結成。同年7月に対馬祥太郎(Dr)が加入し、2005年から渋谷と千葉・柏を中心にライブ活動をスタートさせる。2007年11月にミニアルバム「How are you?」でメジャーデビューを果たし、2008年9月に1stフルアルバム「Who are you?」をリリース。2010年3月には初の日本武道館ワンマンライブを開催した。以降もコンスタントに作品を発表し、2013年2月に初のベストアルバム「ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト」をリリースした。2014年8月には2度目となる日本武道館単独公演を大成功を収めた。2015年1月に過去2回の日本武道館単独公演の模様を映像化した作品をリリース。2月に新たな試みとなるアコースティックアルバム「Howdy!! We are ACO Touches the Walls」を発表した。