ナタリー PowerPush - NICO Touches the Walls

イントロで勝負を賭ける「ニワカ雨ニモ負ケズ」

イントロが勝敗を決める

──メロディやサウンドを作る上で何かテーマを設けたりは?

光村龍哉(Vo, G)

光村 夏はとにかくフェスに出演する機会が多いんですけど、毎年「THE BUNGY」「Broken Youth」「手をたたけ」をやってるわけにはいかないなと。毎年出演させてもらってるなら、新しいものを届けたいし、今までの曲を凌駕するようなパーティチューンを作らないといけないなと思ってましたね。「THE BUNGY」のイントロのリフを超えたかったし、「Broken Youth」の気持ちよさも超えたかったし、「手をたたけ」が作る一体感みたいなものも欲しいし。だからとにかく出だしから聴く人を惹き付けられるように、イントロに命を賭けましたね。俺らイントロから作る曲が圧倒的に多いんですよ。9割5分イントロから作ってるくらい。

──イントロが決まれば成功したも同然?

古村 そうですね。中は紆余曲折あっていいと思うんですよ、最後にまとまれば。ただイントロはね……。

光村 かなり重要ですね。サビから作って、あとからイントロつけたりっていうのはホントに少ない。記憶にある限りは「ホログラム」くらい。

──NICOの曲は、最終的にはイントロが決め手ということですか?

光村 そうですね。イントロでいいのが思い付かないと、極端に言っちゃえばその曲はダメ。「ニワカ雨ニモ負ケズ」は、“2013年のパーティチューン感”が出るまでに5パターンくらい作って。

──今のバージョンにした理由は?

光村 とにかくコピーしたくなる感じ。例えば俺が高校生だったとして、このイントロ弾くために軽音部に入部すると思えるかどうか。

古村大介(G)

古村 あとづけですけどキーワードとして「アホっぽい」っていうのが挙がってましたね(笑)。ほかの4パターンってのはカッコよくてちょっとクールな感じだったんですけど、それだと今までの曲とあんまり変わんない気がして。だけど最終的に採用したバージョンは、シンプルだけどなんかアガるし。

光村 だからね、弾いてて楽しいんですよ。

──イントロの話で思い出しましたけど、ギターウルフの場合は曲のタイトルが勝負を分けるって聞きました。セイジさんはタイトルが決まらないと曲が書けないっていう。

古村 (笑)。NICOの場合は断然イントロですね。イントロが決まらないと、いまいちプレイに気合いが入らない。

タイアップは素材の調理法

──「ニワカ雨ニモ負ケズ」は「Diver」以来となる「NARUTO」とのタッグですね。これまでNICOは、さまざまなCMやアニメ作品とコラボしていますが、タイアップ曲に対する考えはどうですか? アニメだと、作品にバンドのイメージが引っ張られる部分も出てくると思うんですが。

左から坂倉心悟(B)、光村龍哉(Vo, G)

光村 うーん……俺はコラボやタイアップって接点だと思ってるんですよね。自分たちがライブで曲を伝えているときとは違う広がり方が望める。そこで引っかかる人がいればうれしいし。「始まり」のきっかけを作ってくれるものなんですよね。自分たちの曲に、別の要素が加わることで予想外の魅力が引き出される。

──曲を作るうえで意識が変わったりは?

光村 自分たちのエッセンスを、コラボする作品に対してどんなふうに出せるか考えるようにしますね。

坂倉 何かとコラボする場合は、当然のことながら相乗効果を狙うようにもしたり。あと今までとは違う自分たちを見せたいっていう思いが出てくるし。意識して寄るのではなくて、むしろぶっ壊したいと思うところがある。

──新しい挑戦のきっかけになるものだと。

光村 そうですね。今回の場合は「NARUTO」の話があったからこそ、今までにないイントロが生まれたと思ってます。

ニューシングル「ニワカ雨ニモ負ケズ」/ 2013年7月10日発売 / Ki/oon Music
初回限定盤A[CD+DVD] 1600円 / KSCL-2261~2
初回限定盤B[CD+DVD] 1600円 / KSCL-2263~4
通常盤[CD] 1020円 / KSCL-2265
CD収録曲
  1. ニワカ雨ニモ負ケズ
  2. 陽のあたる場所
初回限定盤A付属DVD

NICO Touches the Walls Acoustic sessions
アコタッチと呼んでみて☆vol.3 ~本日ハ晴天ナリ。スタジオ脱出編~

  1. ニワカ雨ニモ負ケズ
  2. Diver
  3. Broken Youth
初回限定盤B付属DVD
  • ニワカ雨ニモ負ケズmusic clip
NICO Touches the Walls
(にこたっちずざうぉーるず)

2004年4月に光村龍哉(Vo, G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)の3人で結成。同年7月に対馬祥太郎(Dr)が加入し、現在の編成となる。2005年から渋谷と千葉・柏を中心にライブ活動をスタートさせる。2006年2月に初のミニアルバム「Walls Is Beginning」をインディーズレーベルから発表し、翌2007年11月にミニアルバム「How are you?」でメジャーデビューを果たす。2008年9月に1stフルアルバム「Who are you?」、2009年11月に2ndフルアルバム「オーロラ」をリリース。2010年3月には初の日本武道館ワンマンライブを開催した。2011年4月には3rdアルバム「PASSENGER」、7月にシングル「手をたたけ」、12月に4thアルバム「HUMANIA」を発表し、それぞれの作品でバンドの新たな音楽性を提示する。2012年には幕張メッセイベントホールでワンマンライブを実施し、成功を収めているほか、「夏の大三角形」「夢1号」というシングルを2作発表。2013年3月にニューシングル「Mr. ECHO」、4月に5thアルバム「Shout to the Walls!」を発表。同年5月よりホールツアー「new balance presents NICO Touches the Walls TOUR 2013"Shout to the Walls!"」を開催する。7月にニューシングル「ニワカ雨ニモ負ケズ」をリリース。