ナタリー PowerPush - NICO Touches the Walls

夢から生まれた「夢1号」に迫る 初披露舞台裏レポ&インタビュー

NICO Touches the Walls「夢1号」インタビュー

初披露は娘が嫁いでいく感じ

──11月16日のZepp Tokyo公演で「夢1号」を初披露しましたが、そのときの感触はいかがでしたか?

光村龍哉(Vo, G)

光村 ボロッカスにはならなかったからよかったけど、映像を観るとまだまだって感じで……。正直なところ出来映えは30点くらいかな。4人でハモるところから曲が始まってるんだけど、その声が全員震えてるし(笑)。完成にはほど遠いですね。でもお客さんの反応が想像以上によくて、曲を作ってよかったなと思いました。

坂倉 演奏し終わったときはかなり安堵しましたよね。生中継で配信もされていたから余計に。

──世に出ていない曲をお客さんの前で初披露するときの心境ってどんな感じですか?

光村 早く聴いてほしいっていう気持ちと、まだ出したくないって気持ちと半々ですね。「夢1号」は特にライブで披露するまで、あえて隠してきたところがあったし。自分でも気に入ってて何百回と聴いてるような曲で。リスナーに聴かせたいんだけど、まだ自分のものにしておきたい感じ。お気に入りの秘蔵っ子を出すというか。

坂倉心悟(B)

坂倉 愛情の成せる技だよね(笑)。

光村 娘が嫁いでいく感じというか。

対馬 俺も今それ思った!

──そういう気持ちになる曲は今までなかった?

光村 どの曲も愛情は注いでるし、初披露するときは自分だけのものでなくなるわけだから寂しく感じるんですよ。ただ「夢1号」って、夢の中で歌詞もメロディが浮かんだという新しいでき方をした曲だったから思い入れも強くて。今までって自分の頭使って作ったり、経験の中で作っていった曲が多かったんですね。でも「夢1号」は違ってて。誰が俺にこの曲を書かせたのか、歌わせようとしているのかわからないけど、作ったことに意味を感じていて。披露するときのワクワクはいつもと同じなんだけど、手放すのが今まで以上に寂しかった。

4人がハモる驚き

──曲をライブで披露してみて得たものはありますか?

光村 アンニュイな曲調なんで、ファーストインパクトで衝撃を与えられる曲かどうかっていうのが演奏前はわからなかったんですよね。いざライブでやってみたら、冒頭から曲が持ってるエモーショナルな雰囲気を形にできた感じがありました。お客さんが気持ちよさそうに聴いてるのを見て、ちゃんと実態のある曲なんだなって思ったり。

──お客さんの反応で、改めて曲の実態を確かめられたと。

光村 そうですね。

対馬祥太郎(Dr)

対馬 反応があったのは、ド頭に4人がハモるっていうのがサプライズのひとつがあるからだと思うんだよね。これまでのNICOの曲にはない始まり方だし、俺だったら衝撃を受けると思う。その計画どおり驚かせることができたんじゃないかな。

──聴いている人に衝撃を与えようと思ってアレンジしたんですか?

光村 衝撃を与えるというよりは、コーラスが売りの曲なんで、それを頭から見せようっていうのは作戦のひとつでしたね。普通だと対馬くんのカウントから入るんだけど、空気を作ってから入る形を何度か試しました。

自分の夢と現実がつながる

──イマジネーションを刺激する曲調ですが、プレイする上で心がけていることはありますか?

坂倉 リズムパターンも歌も起伏が激しいんで、次々変化していく曲の世界を自然に感じてもらえるように意識してますね。

対馬 俺の場合は、歌の浮遊感をキープしつつ、しっかり力強く叩けるようにって感じかな。そのバランスが保てないと、歌が映えないんで。みっちゃん(光村)が歌ってないところでもそれを意識するようにしてます。

古村大介(G)

古村 この曲って引き算したアレンジなんで、無駄がなくて、ひとつひとつの音がなきゃいけない。だから今までの中で弾いてて一番緊張しますね。ライブだとコーラスがあるからなおさらなんですけど。

──弾いてて何かイメージが浮かんだりします?

古村 絵を描いてるイメージかな。真っ白なキャンバスに下地の色を塗って、線を描いて、その上に色を重ねていってみたいな。曲を構成するために、フレーズごとの役割とか楽器ごとの役割がハッキリしてて、それがハマったときに歌の良さがわかる。最後まで聴いてから曲の全景がわかるようなタイプの曲だと思ってます。

──今後この曲はライブでどんな位置付けになりそう?

光村 ライブでやる曲って俺らの場合、思いっきり踊れるか、泣けるかのどっちかだと思ってるんです。その中で「夢1号」は後者のタイプ。メランコリックな方面で響く曲になっていくんじゃないかなって思ってます。あとこの曲を聴いた人が、それぞれのイメージを膨らませていけるような曲になってくれたらうれしいですね。夢から生まれたこの曲が実際に演奏されることで、僕の夢と現実がつながるわけで。僕はこの曲を演奏するたびに夢の光景を思い出すんです。その光景を共有というんじゃないけど、音を聴いた人になんらかの景色を喚起できたらいいですよね。

ニューシングル「夢1号」 / 2012年12月19日発売 / Ki/oon Music
ニューシングル「夢1号」初回限定盤 [CD+グッズ] 1600円 / COZA-737~8
ニューシングル「夢1号」通常盤 [CD] 1223円 / KSCL-2172
収録曲
  1. 夢1号
  2. 決戦は金曜日
  3. Live from "ALGORHYTMIQUE"
  4. Live from "ALGORHYTMIQUE"
  5. Live from "ALGORHYTMIQUE"
初回限定盤封入グッズ
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NICO Touches the Walls (にこたっちずざうぉーるず)

2004年4月に光村龍哉(Vo, G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)の3人で結成。同年7月に対馬祥太郎(Dr)が加入し、現在の編成となる。2005年から渋谷と千葉・柏を中心にライブ活動をスタートさせる。2006年2月に初のミニアルバム「Walls Is Beginning」をインディーズレーベルから発表し、翌2007年11月にミニアルバム「How are you?」でメジャーデビューを果たす。2008年9月に1stフルアルバム「Who are you?」、2009年11月に2ndフルアルバム「オーロラ」をリリース。2010年3月には初の日本武道館ワンマンライブを開催した。2011年4月には3rdアルバム「PASSENGER」、7月にシングル「手をたたけ」、12月に4thアルバム「HUMANIA」を発表し、それぞれの作品でバンドの新たな音楽性を提示する。2012年3月には幕張メッセイベントホールでワンマンライブを実施し、成功を収めている。2012年は「夏の大三角形」「夢1号」というシングルを2作発表。