ナタリー PowerPush - ナイス橋本
新作は友情コラボが光る1枚「あなたをもっと好きになる」
ナイス橋本、約1年ぶりとなる待望の新作音源は、なんと豪華コラボ曲を中心としたミニアルバム。コヤマユウ、ET-KING、風味堂、タカチャ、note nativeといった昔からの音楽仲間や同志と呼べる面々を迎え、新たな音楽の可能性を探る意欲的な1枚となっている。
そんなアルバムのタイトルは「あなたをもっと好きになる」。これは決して異性のみに向けられたものではなく、今作の制作過程で彼自身が気付いたストレートな想い。その真摯なメッセージを、以下のインタビューから感じとってもらえれば嬉しい。
取材・文/川倉由起子
ざっくりとした感じでモノを作る
——約1年ぶりのリリースになるんですよね。
はい。
——デビューからけっこうコンスタントに出されているイメージがあったので、ちょっとビックリしたんですけども。
2枚目のアルバム「OLD★NEW」を出したのが去年の3月なので、そこからちょうど1年ですね。特に煮詰まってたとかじゃないんですけど、その2枚目でけっこうやりたいことがやれたなっていうのがあって。今デビュー3年目なんですけど、2年でやっぱりワンクールというか。一周した気がするんですよね。
——なるほど。
メジャーに出て、その中で何を大事にするべきなのか? 次はナイス橋本として何をしたらいいのか? みたいなことを、一度スタッフも含めて話し合おうみたいなことになったんですよ。それでいろんなことを考えていた時期でもあったので、ちょっと遅れちゃったんですよね。
——じっくり一度考えて、またやっていきたいっていう。
そうですね。見回したい、というか。
——そうやって具体的に見えてきたものってあります?
ざっくりした感じでモノを作るっていうことですかね。今回のミニアルバムはそれがよく出せたなって思ってるんですけど、なんか、そういうのを忘れてたなって。
——というのは?
僕がインディーズ時代に出した音源って、けっこうどれもざっくり作ってたんですね。あまり考えすぎず、自分の好きなものを何となくパッと出して作っていて。けどやっぱり、作り込んでいく上で、良くも悪くもなんだけど考えて曲を作るようになっちゃって。
——それはメジャーになってから?
そうですね。すごい緻密にやるんじゃなくて、多少ブサイクでもいいんですよ。むしろカッコ悪くていいんだけど、それでも伝わるもんだったり、なんか耳に残るものを大事にしないといけないのかなって思って。
最初は「流行ってるから嫌だ」って(笑)
——なるほど。で、そういう気持ちが今回のミニアルバムに繋がったというのは?
その2枚目のミニアルバムで自分のやりたいことをやって、すごく納得ができたのが大きかったですね。だから、今までなんとなくやりたくなかったこととか、嫌だなって思ってたことを敢えてやってみようよ、みたいなノリになって。
——2ndアルバムは、そう思えた分岐点だったと。
はい。自分の中で登らないといけない山というか、そういうのを作品として出せたし、満足が得られたから。このミニアルバムにしても、まずスタッフさんのほうから「フィーチャリングアルバム作ろうよ」って言ってきたんです。
——そうだったんですか。
でも俺、最初は「流行ってるから嫌だ」って言ってて(笑)。ぶっちゃけすぎですけど。
——あはは(笑)。
だけど「ああ、そうか!」って思って。あえてそこで、「じゃあやってみようか?」みたいに思える余裕ができたというか。
——前だったら、受け入れられなかったですか?
だと思います。もっと文句言ってた(笑)。
——(笑)。で、そこから制作に入られるわけですが。これだけの豪華なラインナップや曲作り、大変だったんじゃないですか?
大変でしたねえ。
——今回参加された方々っていうのは、最初からナイスさんの候補の中にあった人たちですか?
そうですね。自分が好きだと思えるアーティストや、あとは仲の良いミュージシャン友達?(笑) そういう人たちをメインに当たっていきましたね。
——ご自分で電話しちゃったり、とかも?
コヤマユウさんとかはそうですね。
——そのコヤマさんとやられた1曲目「あなたをもっと好きになる」ですが、これは本当に優しい曲で。コヤマさんとナイスさんの歌の溶け具合もマジで気持ち良かったです。
彼女とは昔、大阪時代に一緒にバンドをやっていたこともあったので、その名残が残ってたんじゃないかな? 彼女がボーカルで僕がラップで入ってたんですけど、そのときもよく「いいコンビだね」って言われてて。
——本当にそう思います。
でも5年くらい会ってなくて、すごいひさびさに会ったんですよ。
——5年も!?
そう。でも当時の感覚は残ってたし、この歌にもぴったりハマったんですよね。
CD収録曲
- あなたをもっと好きになる
feat.コヤマユウ - 拳をあげて feat.ET-KING
- enter the stage feat.風味堂
- チャンス feat.タカチャ
- ココロのそばで feat. note native
- 一筋の光
ナイス橋本(ないすはしもと)
長崎県出身。学生時代から音楽活動を開始し、2001年に神戸のジャズファンクバンドに参加。敬愛するラッパーの名前をとって“ナイス橋本”と名乗り始める。
2004年にバンドを脱退し、ソロアーティストとして始動。FM局に送ったデモCD-Rがオンエアされたことをきっかけに、2006年3月インディーズから「nice to meet you」をリリース。LeadやSMAPらに楽曲提供をしつつ、2006年10月にシングル「キミは君★」でメジャーデビューを果たす。2007年2月に1stアルバム「AFTER THE RAIN」、2008年3月に2ndアルバム「OLD★NEW」を発表。
2009年3月にはET-KING、風味堂、タカチャらとのコラボを中心としたミニアルバム「あなたをもっと好きになる」をリリース。自主企画イベント「Nice To Meet You」も定期開催中。