大みそかはロックで年越し!「47+2 新生 New Year Rock Festival」出演者13組が意気込み語る

12月31日から1月1日にかけて年越しオンラインイベント「47+2 新生 New Year Rock Festival 同時多発オンラインフェス」が行われる。

「New Year Rock Festival」は、2019年3月にこの世を去った内田裕也が1973年にスタートさせたイベント。昨年に続いてHIRØ(カイキゲッショク、湾岸の羊~Sheep living on the edge~)プロデュースによる無観客配信ライブイベントとして実施され、SHEENA & THE ROKKETS、カイキゲッショク、AI、Zeebra、大黒摩季、江口洋介、KYONO、GASTUNK、The BONEZら幅広い世代のアーティストがライブを繰り広げる。本イベントの開催に向けて、音楽ナタリーでは見どころの解説、そして出演アーティストへのアンケート企画を実施。計13組のアーティストに意気込みを語ってもらった。

文 / 秦野邦彦

イベント情報

47+2 新生 New Year Rock Festival 同時多発オンラインフェス

「47+2 新生 New Year Rock Festival 同時多発オンラインフェス」

「47+2 新生 New Year Rock Festival 同時多発オンラインフェス」

配信日時:2021年12月31日(金)
START 22:00 / CLOSE 1月1日(土・祝)2:00(予定)

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AI / AKTION a.k.a. 眞木蔵人 / 阿修羅MIC / 亜無亜危異 / ANARCHY / 瓜田夫婦 / 江口洋介 / 大黒摩季 / カイキゲッショク / GASTUNK / KATAMALI / KYONO / 九狼吽 / SHEENA & THE ROKKETS / SUIKEN、BIGZAM(NITRO MICROPHONE UNDERGROUND) / J-REXXX BAND / Zeebra / 高木完 / DABO / DJ MASTERKEY / DELI / The BONEZ / RYO the SKYWALKER / 呂布カルマ / RUEED / 湾岸の羊~Sheep living on the edge~

「New Year Rock Festival」とは?

これまでの歴史と今回の見どころを解説

1973年、内田裕也を発起人にスタートした世界最長寿の年越しロックフェスが今年も開催されることが決定。「47+2 新生 New Year Rock Festival 同時多発オンラインフェス」と銘打ち、国内6カ所で行われる無観客ライブの模様がYouTubeで無料配信される。

左からHIRØ(カイキゲッショク、湾岸の羊~Sheep living on the edge~)、内田裕也。

左からHIRØ(カイキゲッショク、湾岸の羊~Sheep living on the edge~)、内田裕也。

「紅白だけが祭じゃないぜ」をスローガンに、反骨精神あふれるアーティストたちがこぞって出演してきた「NYRF」。過去の出演者には、キャロル、RCサクセション、萩原健一、松田優作、沢田研二、ビートたけし、BOØWY、ANARCHY、子供ばんど、筋肉少女帯など、スーパースターからアンダーグラウンドなアーティストまで、日本のロックの歴史と言えるような幅広い顔ぶれが並んでいる。

80年代半ば以降、フジテレビで毎年正月明けの深夜にダイジェスト放送されていたことも「NYRF」の特徴のひとつ。時代の流れに敏感な内田は崔洋一、長谷川和彦、根岸吉太郎といった気鋭の映画監督に声をかけて演出を任せ、2000年代には自身がスカイダイビングに挑戦したり海外の街中を走ったりする、衝撃的なオープニング映像で話題を呼んだ。

世界平和を訴えることも「NYRF」が担ってきた役割だ。2004年に東京と中国・上海で同時開催したことを皮切りに、韓国・ソウル、台湾・台北、アメリカ・ニューヨーク、ロサンゼルス、ニューオリンズ、カナダ・トロント、イギリス・ロンドン、ロシア・モスクワと会場を広げ、友好の旗を掲げた。また2011年の東日本大震災の際には、被災した宮城・石巻を内田が訪れ、ロックにちなみバナナ690本、みかん690個を含む支援物資を直接届けた。2013年から2015年にかけては宮城だけでなく福島でも「NYRF」が開催された。

だが、2019年3月17日に内田が他界。さらに翌年は新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るった。「NYRF」の存続が危ぶまれる中、内田の遺志を継いだHIRØ(カイキゲッショク、湾岸の羊~Sheep living on the edge~)がプロデューサーに就任。同フェスを未来につなげるためにクラウドファンディングを実施し、観客の安全を第一に考えた無観客生配信ライブとして「新生NYRF」を始動させた。HIRØは昨年の開催前に行ったインタビュー(参照:内田裕也の思い引き継いだカイキゲッショクのHIRØが語る“今ロックがやれること”)で、「NYRF」のプロデュースを手がけることになった経緯について「僕が初めて参加した26年前はジョー山中さん、安岡力也さん、桑名正博さん、SHEENA & THE ROKKETSといった方々が裕也さんを支えていました。実はかなり前から裕也さんとジョーさんから『HIRØが続けてくんだぞ!』と言われていたんです。プロデューサー就任は純粋な男同士の約束です」とコメント。内田については「裕也さんはロックアクティビスト。ロックという表現方法でいろいろなところにアクションを起こしていく人なんです。ヒット曲の有無なんて関係ない。内田裕也が言うロックンロールは“がんばれよ!”“負けんなよ!”という言葉だと僕は思ってるんです」と語っている。

HIRØ(カイキゲッショク、湾岸の羊~Sheep living on the edge~)

HIRØ(カイキゲッショク、湾岸の羊~Sheep living on the edge~)

内田のフロンティアスピリットを受け継いだHIRØが手がける「47+2 新生 New Year Rock Festival 同時多発オンラインフェス」には、44年連続出場のSHEENA & THE ROKKETSを筆頭に、亜無亜危異、GASTUNK、Zeebra、KYONO、DJ MASTERKEY、DELI、DABO、KATAMALI、瓜田夫婦、そしてプロデューサーHIRØ率いるカイキゲッショクと湾岸の羊~Sheep living on the edge~、昨年に続いてHIRØの妻AIが登場する。現在放送中のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」主題歌「アルデバラン」に込めた「人種や国境を超えて人々が争わず、わかり合える世界へ」というAIのメッセージは「NYRF」の精神とも通底するものだ。

昨年はAIと「しゃくなげ色の空」を歌った長渕剛の電撃参戦が話題を呼んだが、今年は初登場となる大黒摩季、江口洋介の出演が決定。「ら・ら・ら」「あなただけ見つめてる」などのヒット曲を持つ大黒摩季は、昨年ブロードウェイミュージカル「The PROM」で舞台女優デビューを果たすなど活躍の場を広げている。そんな彼女のパワフルな歌声が「NYRF」に新たな風を吹き込みそうだ。江口は俳優活動の傍ら、88年にシンガーソングライターとしても活動をスタート。「恋をした夜は」「愛は愛で」などでヒットを重ねるが、99年以降は俳優業に専念していた。その後長い沈黙を破って16年に音楽活動を再始動し、ライブハウスで公演を地道に重ねてきた江口。「NYRF」は原田芳雄、松田優作、陣内孝則ら俳優業もこなすロックシンガーが出演してきた伝統があるだけに、彼がどんなステージを繰り広げるのか楽しみなところだ。

さらに、昨年ソロで参加したJESSEはThe BONEZとして出演し、ヒップホップ界からはNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDのSUIKENとBIGZAM、自らの生い立ちを生々しくつづるリリックが持ち味のANARCHY、テレビ朝日系「フリースタイルダンジョン」の2代目、3代目“モンスター”である呂布カルマが初参加。亜無亜危異とANARCHYが同じフェスに出演することにも注目したい。レゲエ界からはRUEED、J-REXXX BAND、RYO the SKYWALKERが登場する。またAIの「Not So Different」のパフォーマンスに、Awichがゲスト参加することも決定している。

「47+2 新生New Year Rock Festival」はYouTubeでの無料配信ライブとして実施されるが、投げ銭機能のスーパーチャットが開放され、出演者や「NYRF」への支援を行える。内田裕也がロックに託した希望を未来につなげるため、HIRØが信頼する仲間たちと作り上げる新生「NYRF」を観て、応援してみてはいかがだろうか。