ナタリー PowerPush - New Acoustic Camp 2011
開催直前キーマンインタビュー
OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND TOSHI-LOWインタビュー
人ってスイッチ入るとすげえなあと感じてる
──8月10日に配信されたナタリーTV、相当面白かったです。
俺、今Ust芸人みたいなことになってるんで。完全に(笑)。
──(笑)。でもTOSHI-LOWさんはテレビの生放送なんてほぼ出ませんし、取り返しのつかないこと以外は話せるから、いいメディアだと思います。
取り返しのつかないことなんて実はなくて、言っちゃいけないことを持ってる人が悪いんだと思うんですよ。音楽に関わることなんてすべて言っていいと思うし。「違法ダウンロードに対して著作権団体って何してくれてんだろ?」とか言ってもいいと思うし。高い手数料は取っといてね(笑)。
──確かにアーティストが発言することで、不合理な法規制とかも変わっていくかもしれませんね。
今まで言わなすぎましたね、慣例にならいすぎて。でも結局、CDが売れないとか、いろんなことが変わって、もはや今までのシステムが壊れてるのに、ここで黙ってしまったらまた誰かの作ったわけのわかんないレールに乗っけられるわけでしょ。変な話、このままだとミュージシャンが潰されていくというか、ただ曲を作る機械みたいな扱いになるんじゃないかなって危惧してて。震災後にトイズ(ファクトリー)の社長と直に久々に喋らせてもらって、今、変えてほしいことはあるっていう話をいっぱいして。ただ単に音楽が売り買いされて音楽家が雇われてる時代は終わったのかなって思ってる。
──そういう慣例を変えようとすることもそうですし、ダイレクトに発信するのは、今、必要なことですね。
言っちゃっていいんだったらね。でもね、世の中ってまだまだパソコンで情報を探し得るっていう人、なんだかんだ言って少なくて。こんなにもテレビや大手の新聞に頼ってる。しかもその情報は、すごい偏ってるんだなって、今回の震災を機にわかりましたよね。
──9月19日に東京で行われた脱原発6万人デモとかも報道されてませんね。
ねえ? 東京新聞は載せてたけど、大手は新聞もテレビもほとんどでしょ。あれを扱わないんだったら完全にね、戦後民主主義なんて勝手に俺たちが思ってただけで、実はそうじゃなかったんだよね。一部の権力とかお金を持ってる人のために国があって、それ以外の人はそれに気付かないまま使われて死んでいくんだなあっていう。で、その事実に対して、それでもいいと思ってる人か声を上げない人が意外に多いことに俺は悔しいと思ってしまうほうなんで。
──TOSHI-LOWさんだけでなく、そういうことを取材で話す人や実際に行動する人も出てきましたよね。例えばASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤さんが「THE FUTURE TIMES」という新聞を創刊したり。
そうっすね。ゴッチなんかも震災直後は俺に物資を送ることしかできなかったところから知ってるから、どっかのタイミングで元々活動していたことと持ってる熱いものが結びついてボン!って弾けたんだと思うけど。だから、人ってスイッチ入るとすげえなあと感じていて。やっぱりいろんな相手と本気で話してみて良かったなと思うし。今まで何も言えなかったようなヤツが、自分の主義主張をちゃんと言うようになったり。俺の場合、周りに男が多いんで「あ、男になったね」みたいなヤツが何人もいて。震災前はそういう真面目な話を問いかけることはもちろん、連絡先だけ知っててお互いメールをやりとりすることもなかったようなミュージシャンもいっぱいいたんですよ。でも、震災後にそういう相手にも可能な限りメール打ってみたらたくさん返事が戻ってきて。それはうれしいし、良かったなと思ってるんですよね。
「New Acoustic Camp」で目指してるのは非フェス、脱フェス
──そういうことも踏まえた上での、2度目の「New Acoustic Camp」開催になると思うんですけど、そもそも去年はなぜこういう、キャンプインという決して便利とは言えないかたちでの開催を思い立ったんですか?
元々の発想はスタッフ側から「フェス的なものをやりたい」って言われたことなんだけど、俺、最初は反対して。フェスはもういっぱいあるし、これ以上ショーケースみたいな、ただ人を集めて、焼きそば食いながらライブ観てるような人増やしてどうすんの?と思ってて。それに、通りすがりに観たバンドをいいとか悪いとか語られるのも全然違うだろうって思うし、実は今でも違和感があるし。だからそういうのをやるのはやだなと思ってたんだけど、やだって言うだけじゃなくて「こういうのならいいよ」って提案したんだよね。それは非フェスというか脱フェスというか。今って、どんどんどんどんフェスがきっちり運営されるようになって、「こっちには行かないでください」とか「トイレがいっぱいあって、こちらのエリアでビール飲んでいただいて」みたいなのばっかりだと思ってて。
──お客さんがアテンドされてる感じですね。
そうそうそう。で、俺はフジロックにしてもAIR JAMにしても、一番初め、初年度を知ってるので。あの「どうなるかわかんないけど面白かった」っていう感じは好きだったんですよ。もちろん揉め事も含め、いろんなことがあったけど、その代わり自由だったし、音楽のノリ方まで規制されることはなかったから。だから自分たちでイベントをやるなら、来た人が自分の責任で行動を決められるようなフェスだったらやりたいと。あともうひとつ、キャンプの元々の意味って、自然の中で生きていく術を学ぶってことじゃないですか。その2つが実現できるんだったらいいんじゃね?ってGOを出したというか。
New Acoustic Camp 2011 公演情報
- 2011年10月15日(土)
山梨県 道志の森キャンプ場
OPEN 8:00 / START 11:00 -
- 出演者
- [Stage Yonder]
- HINATABOCCO / Predawn / COMEBACK MY DAUGHTERS(acoustic set)/ Salyu / 畠山美由紀 / SPECIAL OTHERS(acoustic set)
- [Stage Here]
- 門田匡陽 / TICA / hozzy(藍坊主)/ Permanents / SION with Bun Matsuda
- 2011年10月16日(日)
山梨県 道志の森キャンプ場
END 15:00 -
- 出演者
- [Stage Yonder]
- THE DEKITS / 怒髪天(acoustic set)/ OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND
- [Stage Here]
- 齊藤ジョニー&Shoestrings / キヨサク(MONGOL800 / The NO PROBLEM's)/ 曽我部恵一