ナタリー PowerPush - NESS
ジャンルを超えた4人が奏でる“和食”ノイズミュージック
今日の帰りには忘れちゃうから
──さっき話した「サカナクション辺りのファンにも受け入れられそう」というのは、つまり日本武道館を埋めることも可能なんじゃないかということなんですよ。
三浦 ビックリ。でも確かに聴いた感じだとサカナクションもロックとか打ち込みとか、プロトタイプなあり方を避けてるところはありそうですよね。もし彼らが具体的な意味よりも音のタッチや発声の仕方で勝負してるんだったら、共通してると言えなくもないかも……本当は「全部似てます!」ってサカナクションのファンに媚びを売りたいけど、ファンの人に「全然似てねえよジジイ!」って怒られちゃう(笑)。
──つまり、今はFLOPPYの戸田さん、筋肉少女帯の内田さんだったりしますけど、場合によっては皆さんにとっての母体がNESSになるほどのポピュラリティを獲得する可能性があると思うんです。
三浦 なんと!「NESSの内田、筋肉少女帯ってバンドもやってるんだー」って言われるという!
一同 アハハハハ(笑)。
──でも、皆さんには「このバンドで天下を取る!」みたいな気負いってないですよね。
内田 ないない。
──その気負いのなさがいい方向に作用したのが今回のアルバムだと思うんですね。でもこのアルバムがこういう仕上がりなだけに、今後どうなるのかなと。
内田 だんだん野望を持ち出して……。
三浦 みんなギラギラしてきて、結局ダメになる(笑)。いや大丈夫、今日の帰りには忘れちゃうから(笑)。
そもそも方向性が違うっていうのが大前提
──この後のビジョンはどのぐらい具体的に描いているんですか?
三浦 とにかく続けたいんですよ。1枚だけだとプロジェクト的なものになっちゃうと思うので。でも、この4人は替えがきかないメンバーだと思うんですよね。替えると根底から変わっちゃうと思うので。誰かが忙しいときは待てばいいだろうし、メンバーチェンジする理由が今のところ見えない……金の取り合いとかになる予感もないし(笑)。
──メンバー同士で音楽性の違い、方向性の違いみたいなのがあったとしても、あまりシリアスな問題にならなそうですし。
三浦 そもそも方向性が違うっていうのが大前提なんで。
河塚 そこをすりあわせたこと今までないですから。
──ちょっとギスギスするぐらいの盛り上がりを見せてほしいと個人的には思ってます(笑)。
三浦 ギラギラしそうなやついないもんなー。俺も見てみたいよ。内田がギラギラしてるところとか。
河塚 どうなるのがギラギラなんですか?
内田 左ハンドルを……。
三浦 日焼けがいやらしいの。左腕だけ(笑)。タンクトップとか着て。
──そこまでいかなくてもいいですけど(笑)。ひとまずは、他流試合でほかのバンド目当ての人たちがどういう反応をするか見てみたいですね。フェスに出て、タオルを首にかけた若者たちの前でやるところとか。
三浦 野外は天候に左右されるからイヤですよ。あと、せめてエアコンがあったら……ひ弱だなあ(笑)。内田は筋少でやってんだもんね、野外。
内田 「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」はまだね、コロガシ(ステージ上のモニタースピーカー)のところに管があって冷風が来るからイイよ。
三浦 ウソ! だったらいいかなー。でも雨が降ると濡れちゃうしねえ。
──晴れても雨でも嫌なんですね(笑)。野外フェスの戸田さんはぜひ見たいですね。
戸田 タオルこんなんしますよ(腕をぐるぐる回しながら)。
三浦 湘南乃風よろしくね。俺も短パンにタンクトップで(笑)。
──ちなみに日本のアーティストで対バンしてみたいバンドはいますか?
三浦 ROVO、Cornelius、toeですかねー。加えてd.v.dとかああいう新しい映像のアプローチをやってる人ともやってみたいし、シューゲイザーでも面白いだろうし、たくさんあります。ノイズ系の人たちは怖いんだろうな……でもJOJO広重さんはネットで見る限り案外気さくで優しい人なんじゃないかと(笑)。いろんな人たちとやってみたいので、気軽に呼んでいただけたら。
NESS(ねす)
三浦俊一(G / ケラ&ザ・シンセサイザーズ)と戸田宏武(Syn / FLOPPY)が2011年4月に行ったセッションを母体に、内田雄一郎(B / 筋肉少女帯)と河塚篤史(Dr)を加えた4人編成で結成。6月よりライブ活動をスタートさせ、11月30日に1stアルバム「NESS」をリリース。2012年2月5日には、元PUBLIC IMAGE LTDのジャー・ウォブル(B)、キース・レヴィン(G)らによるバンド「METAL BOX IN DUB」の来日公演にスペシャルゲストとして出演する。