ナタリー PowerPush - ねごと

今の自分たち”を歌った 両A面タイアップシングル

「sharp ♯」の闇がなければ見えなかった光

──佑さんは5月のSHIBUYA-AXのライブで、涙ながらのMCをしてましたね。「この半年間悩んだのは大きなことだった」と。

rieco

藤咲 そうですね……そのとき悩んでたけど、お客さんがいたから、ほんとにステージに毎回立てたっていうか。どんなときでもお客さんが目の前にいて、応援してくれてる姿がすごく見えたから、「ここで止まっちゃいけないな」と思えたんですね。

──そういう「迷ったり葛藤したりしても前に進んでいかなきゃ」という気持ちは、この曲ですごくポジティブな方向に振れてますよね。

蒼山 うん。「sharp ♯」は闇の向こうに光があって、そこに向かってなりふりかまわず走っていくしかないという曲だったけど、「sharp ♯」のツアーを終えて、その光の場所まで来れたと思ったんですね。自分たちの中で、軸がひとつできたなって。その今ねごとが持っている自信とかは、ウソではないけど、もっと強く、本当のものにしていけるんじゃないかなって思って。未完成だけど、でもそういう今の気持ちを歌おうと思ったんです。「sharp ♯」の闇がなければ見えなかった光を「Lightdentity」では書けたのかなと思っています。

──このタイトルはLightとIdentityをかけたものですよね。

蒼山 そうですね。今ある悩みとか、そこで葛藤した時間とか、意味がなかったんじゃないかと思ってしまうときがあるんですけど。でも時間の先に、絶対それが意味のあるものになって、光っていってほしいという気持ちを込めて「Lightdentity」というタイトルにしました。過ぎちゃったものは戻らないので、それを悔やむよりも、自分がどう意味のあるものに作っていくかだなと感じました。

「Re:myend!」はねごとの代表曲になっていける

──「Re:myend!」のほうの制作はどうでした?

rieco

蒼山 「Re:myend!」は去年の夏に、「sharp ♯」を作っていた裏で作っていて。「sharp ♯」はシングルとして作っていたけど、「Re:myend!」はたくさんある新曲のうちの1曲だったんですね。でも、これももっとブラッシュアップすれば、ねごとの代表曲になっていけるんじゃないかとスタッフから提案があったりして、そこでまた瑞紀を中心としてサウンドを作っていって。で、もともと、イントロとアウトロのおどろおどろしいリフはなかったんですね。そこであれを付けたことで、ちょっと日本のロックっぽい感じというか……。

藤咲 それが出て(笑)。中盤はちょっと洋モノっぽい感じもあって、でもサビはポップに振り切っていて。シンセの音もすごいポップなんですけど、そのバランスがすごくいい感じにまとまった曲だなと思ってます。で、この曲もいろいろ、歌詞とメロディを付けていたんですけど、映画「放課後ミッドナイターズ」の主題歌の話をいただいたら、すごくいろんなイメージが浮かんできたんですよ。そこでラフの映像を観させていただいたときに、この曲がエンドロールで流れたらすごく合うなと思ったんですね。曲が持っている色自体が映画にすごくマッチしてるなと思ったので、そこであまり苦戦することなく、ほんとに湧き上がってきたものを書いた感じです。

──なるほど。歌詞に死神とか悪魔、ガイコツ、亡霊、UFOといろいろ出てきますが、これは映画からインスパイアされたものなんですか?

蒼山 そうですね、そういう部分もあるし。あと、メッセージとして……「Re:myend!」ってタイトルの「Re」って、メールの返信とか「再び」という意味があるんですけど、その終わってしまった自分のエンドをもう1回巻き戻そうという気持ちが込もってて。「Re:myend!」も「sharp ♯」を書いてから作った曲で、曲としてはポップなんですけど、そういう失ってしまった情熱だったり、亡霊みたいになっちゃった自分の気持ちを取り戻して一緒に踊ろうよ、という気持ちを込めてこういうタイトルにしました。

──なるほど。それに、音にヒネリもありますよね。

藤咲 そうですね、イントロから、ねごとの意地悪さが音から出てると思います(笑)。こういうところは、ほんとに昔からあった特徴だったりするので、そこをどうやって最初から最後までつなげていくかで、瑞紀からベースラインを口頭で伝えてもらったり(笑)。最初はシンプルだったから、「Aメロはグルーヴが出るようなものにしてほしい」という提案があったんです。この曲ってほんとに踊れる曲だし、ここで自分なりのアクションを起こしてみたい、挑戦してみたいなと思って、このベースラインを付けたんですね。みんなもいろいろと挑戦してますね。

蒼山 キーボードの音も、すごくいろいろ使っています。「Re:myend!」は「ex.Negoto」を一緒に作った河野圭さんと作業をしていたので、いろいろな音を吟味しながら作っていって。アナログっぽい感じを出したりして、レコーディングも楽しかったですね。

ニューシングル「Lightdentity / Re:myend!」/ 2012年8月8日発売 Ki/oon Music

収録曲
  1. Lightdentity
  2. Re:myend!
  3. 彷徨
DVD収録内容

2012.5.12@渋谷AX
お口ポカーン!?~フラットな気分でもいいよ~
ツアーファイナルより
「季節」
「メルシールー」
「sharp ♯」

ねごと

蒼山幸子(Vo, Key)、沙田瑞紀(G)、藤咲佑(B)、澤村小夜子(Dr)からなる4人組バンド。高校2年生だった2008年1月に結成し、同年開催の「閃光ライオット2008」決勝大会まで進出。審査員特別賞を受賞する。同年11月に発売された「閃光ライオット2008」コンピレーションアルバムにも、大会で披露した楽曲「ループ」で参加する。その後勉強に専念するため一時ライブ活動を休止するも、2009年9月に本格活動開始。2010年2月より行っている自主企画「お口ポカーンフェス?!」も毎回好評を博している。2010年9月29日、1stミニアルバム「Hello! “Z”」をKi/oon Musicよりリリース。2011年3月発表の1stシングル「カロン」はau「LISMO!」のCMソングとしてオンエアされ、幅広い層から注目を集めた。夏には全国各地の野外フェスに出演し、多くのロックファンから賞賛を浴びた。2012年4月、アニメ「機動戦士ガンダムAGE」アセム編のオープニングテーマに起用されたニューシングル「sharp ♯」をリリース。8月には両A面シングル「Lightdentity / Re:myend!」を発売する。