もっさ、ディレクターと言い合いになる
──Vocaloidではなく、もっささんが歌うというのがオリジナルと今回のセルフカバーの一番の違いになります。ボカロは“調教”がボーカルディレクションにあたりますけど、生身の人間にディレクションするのは朝日さんとしては大変なんですか?
朝日 若干キーが高めの曲はありましたけど、歌に関しては全然心配してなかったです。もっさが歌えばよくなるだろうと思っていたので、特に俺はがんばらずに任せてました。
──じゃあもっささんはどんな気持ちで歌入れに臨んだのでしょうか。
もっさ 「音楽が嫌いな女の子」以外はライブでずっとやってたので、若干キーが高かったですけど、別段苦労はしなかった……と言いたいけど、やっぱりちょっと苦労したような……。
藤田 「浮かれた大学生は死ね」が大変だったんじゃなかった?
もっさ (小声で)苦労したっけな……?
藤田 忘れてるんかい(笑)。お好み焼き食べて元気になったら歌えるようになってたな。
もっさ そうだ。若干タイトだったから喉がきつかった、ってのは普通にあったかもしれないですけど、苦労はしてません。
──人間が歌う前提で作られていないボカロ曲を歌うにあたって、舌が絡まるだとか、息継ぎが大変とか、そういう問題はなかったですか?
もっさ それはもうライブで慣れてました。ただただ喉の調子との戦いだった気がする。「ジャックポットなら踊らにゃソンソン」の途中のシャウトは「喉がどうなってもいい!」みたいな気持ちで、レコーディングの最後にワンテイクで終わらせました。
朝日 1週間で8曲を終わらせるレコーディングでしたから。一番もっさがタイトなスケジュールで。
もっさ でも大丈夫でした!
──じゃあボーカルのディレクションはお任せだったんですね。
朝日 任せてますね。調教なしです。
もっさ 調教(笑)。私はディレクターさんとバチバチに言い合いしたことはありました。私がけっこう言うんで。
──何について言い合いに?
もっさ 「今歌ったほうがいい!」「さっきのテイクのほうがいい!」っていう言い合いが何度か。
──双方の意見をすりあわせていった?
もっさ はい。
中村 ん? そうだったかな。
タケイ ディレクターさんが折れることのほうが多かった気がします。
──もっささん、強いですね。
もっさ いや全然……。和やかに進みました。
石風呂の楽曲が相当好きだった
──もっささんはニコ動にカバー音源を出していたそうですが、石風呂のどの曲を歌ってたんですか?
もっさ 「夕暮れ先生」が最初で、「午前3時のヘッドフォン」と「ゆるふわ樹海ガール」も出しました。もう公開してないですけど。
朝日 俺の曲、めっちゃ歌ってくれるやん?
藤田 めっちゃニヤニヤしてる(笑)。
中村 もっさは当時のカバー音源、聴かせてくれないんですよね。
もっさ もうびっくりするくらい下手くそなんで。よくそれで声かけてきたなってレベルで……。
朝日 でも最初に聴いた音源はピッチをきっちり直したやつだったんだ。
もっさ え? どれですか?
朝日 「真夜中のステップエンド」。
もっさ あーそっちか! ラムネさんの!
朝日 まああの頃に比べたらね、本当にうまくなったよね。
中村 うん。今のほうが力強いというか。
タケイ やっぱりバンド演奏で歌うと、バンド仕様にチューンナップされていくね。
──もっささんは個人的にカバーしていたくらい大好きな曲ということですよね。「ゆるふわ樹海ガール」も「夕暮れ先生」も。
もっさ もう……相当好きでした。ボカロの中でも本当に石風呂の曲は。
──今では石風呂こと朝日さんのバンドに入って、自分の曲として歌ってるのはなんだかドラマチックな話ですね。
もっさ 不思議ですよね。とてもよくわからないことになってしまいました。
──今作によってネクライトーキーと石風呂の垣根がなくなっていく気がします。
藤田 確かに。「音楽が嫌いな女の子」に関しては私が石風呂バージョンをそもそもちゃんと知らないっていうのもあるので、ネクライトーキーが原曲だと思ってるくらいです。
──この曲では藤田さんが勇ましい歌声を披露なさっていて。
藤田 もともとキーが低い曲なんで、イントロやAメロでキーを変えてるんですね、もっさが歌うために。いろいろやっていたんですけど、どうしても元の低いキーじゃないとうまくハマらないパートがあって。もっさが歌うにはすごく低いんです。で、私に白羽の矢が立って、「ずっとついて行くとか 一生好きとか 言っていたような女の子揃って いなくなったんだよな」という歌詞を歌うことに。私がこれ歌っていいのかなと思ったけど、しっかり感情を込めて歌えました。
朝日 重たい歌詞よね。結果的にキーがもっさでいけたとしても、藤田のテイクがすごくよかった。
──ミュージックビデオは運送会社のトラックを使ったコミカルな内容ですね。
朝日 ネクライトーキー史上、最もムカつくミュージックビデオになりました(笑)。
もっさ なんでこんなにムカつくMVになったのか……。
朝日 音楽に対して細かいグズグズした語りを入れるやつに対して、「へー今なんて?」で返せるっていう。「どうたらこうたらウダウダ言うな」って。ニヤニヤしながら観てくれたらうれしいです。
夏に向けて、ライブへの意気込み
──夏はワンマンツアーに加え、「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO」などへの出演も続々と決まっています。
朝日 どんなライブでも変わらずにやろうと思ってます。
タケイ 春にいくつか音楽フェスに出てみて感じたのは、来場者みんな「盛り上がってやるぜ!」みたいな雰囲気がありますよね。
朝日 アガる準備ができてるみたいなところがあるんでね。
藤田 フェスの喜びを知ってしまうと危険(笑)。普段のライブとはやはり違う雰囲気があるので、あの喜びはちょっと、危ないものがあるとは思ってます。
朝日 だからフェスで盛り上がるときに「自分の力じゃないな」と思う節はあります。そのフェスが今まで作ってきた文化のおかげでみんなテンションがアガってるわけで、自分たちの力だけではまだ大観衆を相手にできるわけないんだから。それはなんとなく頭にありつつ、って感じで普段と変わらずにやってます。
──フェスもありつつ、ツアーファイナルとなるワンマンライブが9月23日にマイナビBLITZ赤坂で開催されます。
朝日 営業終了も決まっているので、おそらく最後のBLITZになりますね。
藤田 BLITZに憧れがあったので、できることがうれしいです。
もっさ 私はBLITZに行ったことないから逆にふわっとしてて。私はCLUB QUATTROでライブをやると決まったときのほうが「え、あのクアトロでやれるの?」って気持ちがありました。
中村 なんかまだBLITZでライブをやるんだという実感が湧かない。でも「1階席ー! 2階席ー!」ってもっさに言ってほしいな。
朝日 自分で言ったらええやん。
中村 いやいや、そこはやっぱりフロントマンに譲らないと。
朝日 緊張するなら、あらかじめ録音してパッドに入れておけばいいね。
タケイ お得意のパッド芸で!
もっさ 話が脱線しまくってきた(笑)。ライブを楽しみにしててくれるとうれしいです。
ツアー情報
- ネクライトーキー ワンマンツアー2019“ゴーゴートーキーズ! 全国編”
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- 2019年8月24日(土)北海道 BESSIE HALL
- 2019年8月31日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2019年9月1日(日)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
- 2019年9月3日(火)福岡県 LIVE HOUSE CB
- 2019年9月5日(木)宮城県 enn 2nd
- 2019年9月7日(土)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- ネクライトーキー ワンマンツアー 2019“ゴーゴートーキーズ! 全国編「〆」”
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- 2019年9月23日(月・祝)東京都 マイナビBLITZ赤坂