音楽ナタリー Power Push - NECOKICKS
カッコつかない4人が届ける、ありのままの音楽
HARA-KUNの研修期間
──その後、新メンバーとしてHARA-KUNが加入するわけですね。
HARA-KUN そうですね。僕が以前にやっていたバンドで対バンしたことがあったし、もともとちょっとだけ交流はあったんですよ。Twitterもフォローし合ってたし。
TAKUMI 全然仲はよくなかったけどね。ただタイムラインに出てくるだけの人(笑)。
HARA-KUN なのにあるとき「ギターが辞めるんだけど」って急に連絡が来て。で、すぐに会って話して、あれよあれよという間にふんわり一緒に行動するようになって。その時点ではまだTEPPEIが弾いてたんで、しばらくは研修みたいな感じでしたけど。
──NECOKICKSに関してはどんな印象を持っていました?
HARA-KUN 曲もライブもいいし、一生懸命やってるいいバンドだなっていう印象でしたね。私生活は適当な人たちだなとは思いましたけど(笑)。
TAKUMI 全員クズなんでね(笑)。
YU-TA そこも等身大なんですよ(笑)。
HARA-KUN まあでも、オフもキッチリしすぎてると疲れちゃうんで、それはそれでいいかなと。一緒にいて楽しかったですし。で、結局、半年くらい研修期間があったんだよね。
TAKUMI かなり長かったよね。しかも「来れるときに来て」っていうんじゃなくて「来れない日は教えてね」っていう体制で。スパルタだったよね。
──正式に加入する前から一緒にいる時間を長く作るようにしていたのは、新メンバーを選ぶにあたって慎重になっていたところがあったから?
TAKUMI とにかく長い時間一緒にいれば絶対にうまくいくと思ってたんですよ。ネコキはそういうタイプのバンドなんで。
HARA-KUN その考えに関しては僕もその通りだと思ってたから、まったく苦ではなかったんですよ。たとえ正式メンバーになれなくてもいい経験になるだろうなと思ったし。
TAKUMI あともう1つの理由としては、HARA-KUNが車持ってたからだよね。これはいいなと(笑)。
HARA-KUN 実家の車なんですけどね。初めてネコキのライブについて行った日なんか、うちの車にみんなを乗せて名古屋まで行きましたから。
YU-TA しかも帰りに車の中でTAKUMIがゲロ吐くっていうね。飲みすぎて。
KO-Ki そんな仕打ちをされてるのに一緒にいることが苦じゃなかったって、相当ドMだよ(笑)。
HARA-KUN いや、ゲロに関しては苦だったよ。「親になんて言おう……」みたいな(笑)。
──あははは(笑)。無事にHARA-KUNが正式メンバーになったあとは、バンドとしてリスタートを切った感じですか?
TAKUMI このメンバーでの初ライブはダメダメでしたけどね。そこからとにかくスタジオに入りまくって、4人の音を作っていきました。
KO-Ki いろんなことを試しながら、ああでもないこうでもないって探ってた状態だったよね。このメンバーでの手応えを感じ始めたのは今年の春くらいじゃない?
TAKUMI そうだね。3本連続でライブをする機会があったんですけど、そのときに「とにかく一生懸命に、全力でライブをしよう」っていうテーマを掲げたんですよ。その結果、すべてのライブが終わったときに、「あ、これか」って自分たちのスタイルが見えた。
HARA-KUN うん。それまで不安定だったバンドが、そのときに固まった気はするよね。
──音楽性やライブスタイルがごく最近固まってきたことは意外な気もしますが、とにかく今のネコキは最高の状態ってことですよね。
TAKUMI そうですね。僕らは器用なタイプのバンドではないので、ライブにしても、音源にしても、ありのままを全力で届けていくっていうシンプルなテーマで動いていくのが合ってるんだと思うんですよ。そこに気付けたことで今はもうブレたり、迷ったりはしなくなりました。全員がちゃんと迷わず同じ方向を向いているなと思います。
人間性がダダ漏れ
──今回リリースされた「パパはNewギニア」は2ndフルアルバムになるわけですが、資料には「本当の意味でのファーストフルアルバム」と記載してあって。ネコキとしてのアイデンティティが確立された今の状況を考えると、すごく納得できるところもあります。
TAKUMI そうですね。前回のフルアルバム(2015年4月リリースの「ネコキ名人スーパーベスト」)は過去の曲をまとめた感じだったので、1からフルアルバムを作るのは今回が初めてだったんですよ。これだけの曲数を作れるのかっていうところも含め、みんなで試行錯誤していったんですけど、結果的にはちゃんとネコキらしい仕上がりになったので、本当にいい“1stアルバム”ができたなと思ってますね。
──メロのよさや歌詞の親近感から、メンバーの人懐っこさを感じるアルバムだなという印象がありました。すぐ友達になれそう、みたいな。
TAKUMI あ、それはありますね。うん。
YU-TA 自分で言っちゃうんだ!(笑)
KO-Ki 実際、TAKUMIと初めて会ったときはそんな感じだったもんね。10年ぶりに会った同級生みたいな空気感で近寄ってくる。
TAKUMI 「ういー!」みたいな? 一応礼儀はわきまえますけど、基本そういう人間なんで、そこはどうしても曲に出すぎちゃいますよね(笑)。
HARA-KUN 人間性がダダ漏れだよね(笑)。
次のページ » メンバーを信頼できるようになった
収録曲
- ワンダーワンダー
- 弾丸ライナー
- ウタカタ
- カウンターパンチ
- かぞくのうた
- イノセントエイジ
- 100m 走、全力疾走、ゴールで待ってる、君に首ったけ
- どうでもいいや
- それでも夜は明ける
- zinnia
- 遠い空の向こう
NECOKICKS(ネコキックス)
長野県出身のTAKUMI(Vo, G)、KO-Ki(Dr)、YU-TA(B, Cho)、HARA-KUN(G, Cho)からなるロックバンド。2011年5月に東京で結成された。2014年8月に発売されたグッドモーニングアメリカ企画のコンピレーションアルバム「あっ、良い音楽ここにあります。その四」に「1秒先の未来」が収録され、知名度を一気に上げる。2015年4月に1stフルアルバム「ネコキ名人スーパーベスト」を、同年9月にミニアルバム「世界セイフク.EP」をリリースした。2016年4月に1000枚限定シングル「弾丸ライナー」の発売を経て、2016年10月に2ndフルアルバム「パパはNewギニア」を発表。同月には地元・長野を盛り上げるべく自主企画のサーキットイベント「信州本気ココ一番」を開催する。