音楽ナタリー Power Push - Nothing's Carved In Stone

ストイックかつ自由に “NCIS”流最新バンドサウンド

日本語のよさを出した歌詞

──素に近いところで表現しているというのは、歌詞にも共通してますよね。

村松拓(Vo, G)

そうですね。歌詞はまとめて書いたんですけど、そのときの気分だったり、思ってることがけっこうストレートに出てるんじゃないかな。大衆向けソングというよりも、バンドで自由に音を出して、その中で感じたことを歌詞にするのがいいと思ってるんですよ、俺は。そのほうがリアリティがあるし、そういう歌詞に共感してくれる人を大切にしたいなって。

──「Go My Punks!!!!」の歌詞なんて、めちゃくちゃストレートですよね。4人のメンバーで進んでいくんだという意思がまっすぐに感じられて……。

……そこはノーコメントで(笑)。

──えっ?

詳しく言いすぎちゃうと、あれなんで。でも、わかりやすいですよね。やっぱり、わかりやすくて振り切ってるものが好きなんですよ。ずっと英語的なフロウを求めていたんですけど、少しそっちの方向に行き過ぎてたというか、日本語のよさが歌詞に出てないなと思ってきて。前作「Strangers In Heaven」あたりから日本語の生かし方が見えてきたんですけど、今回はもっとストレートに書いてみてもいいかなと。カタチがカッコいいとか、洗練されているものよりも、しっかり言葉を伝えるほうが美しいし、意味があるんじゃないかって気がして。作詞家としてもステップアップしたいですからね。

──確かに率直な歌詞だと思いますが、フロウは全然崩れてないと思いますよ。

あ、ホントですか。けっこう不安だったんですよ、そこは。あとね、真一が書いている歌詞もあって、そのバランスも大事なんですよね。「Milestone」は真一が書いたんですけど、けっこうパーソナルな部分が出てるし、リズムも自分が作る曲とは違うから、最初は歌いづらくて。でも、それを乗り越えるとすごくいいものになるんです。互いに影響し合ってると思うし、そこで生まれる化学反応を含めて、だいぶなじんできたんじゃないかなって。

村松拓(Vo, G)

──歌詞の内容についてはどうですか? 生形さんの歌詞を見て「こういう歌を歌う気分じゃないな」って思ったりはしないですか?

明るいほうに振り切った歌詞を書いてるときに、内面に迫るような歌詞を持って来られると「つらいな」と感じることはありますけどね。ただ、俺は天邪鬼だから、自分の気分とは違うことをやれって言われると、逆に「よし、やってやろう」って思うんですよ(笑)。

──メンバー全員が天邪鬼っぽいし、プレイヤーとしてもすごく際立っていて。そのぶつかり合いこそがNothing's Carved In Stoneなんでしょうね。

1人ひとりがアートディレクターみたいな感じで、それぞれ頭の中にNothing's Carved In Stoneの“絵”があるんですよね。そのイメージを音で表現して、メンバー間でやり取りをして……そういうことによってクリエイティブな方向に転がっていくんだと思うんです。ほかのメンバーに対して「ディスコード(不協和音)、かかって来い!」っていう(笑)。まあ、そこでぶつかってつまずくこともありますけど……。あと時々音がぶつかりすぎて「もうちょっとガマンしろよ」って思うこともあります(笑)。

──主張が強いメンバーがそろってますからね。音楽的な趣向は全然違うけど、バンドの成り立ち方はLed Zeppelinに似てるかも。

あ、うれしい! めっちゃ影響受けてるんですよ。スタイルはもちろん、自分たちの中で「ロックっしょ!」というイメージがツェッペリンだったりするし、曲を作ってるときも「ツェッペリンっぽいところが欲しいね」って話したりするので。

「自分たちの生き方をちゃんと見てほしい」

──「MAZE」というタイトルはどこからつけたんですか?

村松拓(Vo, G)

アルバムタイトルと同じ「MAZE」という曲があって、その曲では人と人とのつながりを歌ってるんですよね。あとは心の中の迷路、迷宮みたいな意味もあって。アルバム全体も自分たちの内面が現れていると思うし、すごくリアルな作品になったんです。Nothing's Carved In Stoneを“1人の人間”として考えると、今作は「MAZE」というタイトルが一番合うんじゃないかな、と。

──なるほど。

ファンは大切だし、自分たちの周りにいてくれる人たちを守りたい、一緒に上がっていきたいという気持ちもあるけど、今は「自分たちの生き方をちゃんと見てほしい」とか「純粋にバンドをやることで生まれる音を大事にしたい」というのが強くて。今の時代、それが一番重要だと思うんですよね。

──最近は表現の純度よりもマーケティングの仕方が重視されがちですからね。

もちろん興味はありますけどね、マーケティングみたいなことも。ちゃんと自分をプロデュースして、いろんな情報を取り入れながら、周りをコントロールできるカッコよさもあると思うし。自分という像をきちんと作っているアーティストが好まれるのもわかるけど、ウチはそうじゃないですからね。単純にバンドやってるぞ!っていう感じなので。余計な雑味を入れず、ピュアにやりたいんですよね、今は。

ニューアルバム「MAZE」 / 2015年9月16日発売 / 2700円 / Dynamord Label / GUDY-2016
「MAZE」
収録曲
  1. YOUTH City
  2. The Poison Bloom
  3. Milestone
  4. Perfect Sound
  5. デロリアンを探して
  6. MAZE**
  7. Discover, You Have To
  8. Calling Behavior
  9. Go My Punks!!!!
  10. Gravity(Album Mix)
  11. Thief
ライブアルバム「円環 -ENCORE-」 / 2015年8月19日発売 / 2808円 / Dynamord Label / GUDY-2015
「円環 -ENCORE-」
収録曲
  1. November 15th
  2. Isolation
  3. Brotherhood
  4. きらめきの花
  5. Spirit Inspiration
  6. Diachronic
  7. Out of Control
  8. Shimmer Song
  9. Sands of Time
  10. Rendaman
  11. Around the Clock
  12. Sunday Morning Escape
  13. 村雨の中で
  14. ツバメクリムゾン
  15. Idols
  16. Red Light
  17. Chain reaction
Nothing's Carved In Stone MAZE×MAZE TOUR
  • 2015年10月8日(木)東京都 Zepp Tokyo
  • 2015年10月11日(日)北海道 サッポロファクトリーホール
  • 2015年10月13日(火)宮城県 Rensa
  • 2015年10月16日(金)大阪府 Zepp Namba
  • 2015年10月17日(土)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2015年10月23日(金)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
  • 2015年10月24日(土)福岡県 Zepp Fukuoka
LIVE ALBUM再現ライブ「円環 -ENCORE-」

2015年11月6日(金)東京都 豊洲PIT

Nothing's Carved In Stone
(ナッシングズカーブドインストーン)
Nothing's Carved In Stone

2008年に生形真一(G)が在籍するELLEGARDENの活動休止を機に、日向秀和(B)、大喜多崇規(Dr)、村松拓(Vo, G)で結成。各メンバーの持ち味を活かしたキレのよいバンドサウンドが持ち味。2009年2月に初ライブを行い、5月に1stフルアルバム「PARALLEL LIVES」をリリースした。同年夏には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「SUMMER SONIC」などの大型ロックフェスに出演し、そのパフォーマンスが好評を博した。毎年オリジナルアルバムを1枚リリースするなどコンスタントに作品を発表。2015年8月に初のライブアルバム「円環-ENCORE-」、同年9月に7作目となるアルバム「MAZE」をリリースした。