音楽ナタリー Power Push - 夏の魔物×ヒャダイン(前山田健一)

成田大致の総集編「魔物、BOM-BA-YE」堂々完成

以前の俺たちには表現できなかった

──「魔物、BOM-BA-YE」のデモを初めて聴いたとき、チャンさんと塚本さんはどう思いました?

ケンドー・チャン

ケンドー・チャン 情報量がすごいから、5分の曲が20分くらいに感じて(笑)。なんだろうこれは!?って考えて頭を整理して、改めてすごい!って。今まで感じたことのない感覚でしたね。

塚本 私は組曲『ニコニコ動画』が大好きなんですけど、ヒャダインさんの曲にもそういう感じがあって。名曲が連なって“超名曲”になる感じというか。全部を聴き終わったあとに1本のミュージカルを観たような充足感があるっていう。

ヒャダイン 曲を作るときに、5人全員が生きるようにしたいなってことは心がけてましたね。だから女の子2人の掛け合いのシーンが多いんです。そこに成田くんがガッと入ってくる。風神雷神の間からヒーローが飛び出てくる感じを演出したくて。飛び道具の2人(アントーニオ本多、大内雷電)にもちゃんと必然性を持たせたかったし。

──ヒャダインさんから見て、女性ボーカリストの2人はどう見えてるんでしょうか?

ヒャダイン 2人ともうまいですよね! 高い音も出るし、歌のスピード感もあるし、2人とも声質がちゃんと違うし、器用だし。だからムチャできるなっていうのがあったので、キーに関してはめっちゃ低いところから高いところまで使ってやろうって思って作りました。最後に男女逆転するパートがあって、そこのキーけっこう高いんですけど、でも出てたからたいしたもんだなと思って。

──ボーカリストとしての成田さんはどうでしょう?

左から成田大致、ケンドー・チャン、塚本舞、ヒャダイン。

ヒャダイン 本人のキャラが強いからボーカリストとしての部分に言及されることは少ないと思うんですけど、うまいですよ。魅力的な声だし、すごく器用だし、首が太い。

──首が太い?

ヒャダイン 首が太い人の声ですよね。音圧がドンと来る、ヒーローっぽいセクシーな声質なんです。

成田 うわ、ありがとうございます(笑)。俺はやっぱり今のメンバーでこの曲にチャレンジできたのがすごくうれしくて。ずっとヒャダインさんの影を追ってたけど、以前の俺たちだとそれを表現できなかったから。舞ちゃんが入って、チャンが入って、最高のタイミングでやれて本当によかったなと思います。

ヒャダイン 夏の魔物は見ていてすごく面白いですもんね。それって重要だと思うんです。存在自体がエンタテインメントだし、見世物小屋みたい(笑)。男女混成で、特撮ヒーローいるし、おっさんいるし、プロレスラーいるし。おっさんとプロレスラーは同じ人なんですけど(笑)。でもイロモノみたいに見えるけど、ちゃんと軸があるんですよね。

自分たちのエモーショナルなところをもっと出したい

──今回メジャー3枚目のシングルで、念願叶って前山田さんに曲を書いてもらって、今はすごく充実しているように見えますね。

左から成田大致、ケンドー・チャン、塚本舞、ヒャダイン。

成田 そうですね。本当に今が最高だと思っていて、5人でやれることは全部やりきった自信があります。自分がここまで生きてきたことの総集編っていうか、全部が詰まったシングルだと思ってて。だから次に作るものが本当の始まりだと思う。

──次回作の構想は見えてるんですか?

成田 今回ヒャダインさんと一緒にやらせてもらったことで、自分たちにしかできないエモーショナルなところをもっともっと打ち出したくなって。実は……、次の曲もお願いしてるんですけど。

ヒャダイン 昨日発注書もらいました。今回も長文でした(笑)。

──じゃあこのタッグはこれで終わりじゃないんですね。

ヒャダイン

ヒャダイン はい、今回やらせてもらってすごく面白かったんで(笑)。

塚本チャン うれしいー!

ヒャダイン こういうバカなことを全力でやらせてくれる場所が、なかなか少なくなっちゃったので。ずっと温めてた「高須クリニック」は今回出したけど、ほかにも世の中の神羅万象なんでもネタにできると思うんです。夏の魔物はそういうネタを表現していける、いいキャンバスですよね。

成田 やりたいことはまだまだあるんで。次の曲は俺たちの真剣さみたいなのがもっと伝わればいいなって思ってます。

夏の魔物の3つの目標

──最後に夏の魔物としての今後の目標を教えてください。

成田 ええと、目標は3つあるんですけど、まずは「スパロボ」にヒャダインさんの楽曲で出たいです。

──えっ、ゲームに「出る」というのは?

左から成田大致、ケンドー・チャン、塚本舞、ヒャダイン。

成田 俺たちが「夏の魔物」っていう架空のロボットアニメのキャラクターになって、ロボットもデザインしてもらって、主題歌をヒャダインさんに書いてもらって、バンプレストのオリジナルキャラクターとしてゲームに出るっていうことですね。

──バンプレスト的にそれはアリなんですか?

成田 それはわからないですけど(笑)。音楽をやっている人で「スパロボ」をこれほど好きな人は俺ぐらいしかいないって自負してるんで。それで2つめの目標は、せっかくポニーキャニオンにいるので、「おどるポンポコリン」の編曲をヒャダインさんにやってもらって、「ちびまる子ちゃん」の主題歌に採用してほしいっていう。

塚本チャン やりたいー!

──確かに最近はゴールデンボンバーやE-girlsが「おどるポンポコリン」を歌ってますもんね。

成田 そのポジションに行きたいです。

──いいですね。

成田 あと3つめはロックバンドのトリビュートアルバムに参加したいです。これもヒャダインさんにアレンジしてもらって、すかんちとかTHE HIGH-LOWSとか、そういうところに飛び込んでいきたい。どうやったらやらせてもらえるのか知らないですけど。だから自分が持ってる目標3つは「スパロボ」「まる子」「ロックンロール」です。

ヒャダイン なるほど。じゃあ「以下のアーティストのトリビュートを出すときはご一報ください」ってどっかに書いておくといいですね(笑)。

成田塚本チャン ぜひお願いします!

夏の魔物 ニューシングル「魔物、BOM-BA-YE ~魂ノ覚醒編~ / バイバイトレイン」/ 2016年6月22日発売 / 1000円 / ポニーキャニオン
イラストジャケット Ver. / [CD] PCCA-04389
夏の魔物 Ver. / [CD] PCCA-04390
ブラックDPG Ver. / [CD] PCCA-04391
収録曲
  1. 魔物、BOM-BA-YE ~魂ノ覚醒編~
    [作詞:コールドストン・スタナ、前山田健一 / 作曲・編曲:前山田健一 / ナレーション:杉田智和 / ゲストギター:鈴木修]
  2. バイバイトレイン
    [作詞:大槻ケンヂ / 作曲:YO-KING / 編曲&Key:ハジメタル / Dr:クハラカズユキ / B:ウエノコウジ / G:越川和麿]
  3. グギギギギギギギ デッドエンド!
    [作詞:コールドストン・スタナ / 作曲:田中公平 / 編曲:伊藤賢治]
  4. 魔物、BOM-BA-YE ~魂ノ覚醒編~(Inst.)
  5. バイバイトレイン(Inst.)
  6. グギギギギギギギ デッドエンド!(Inst.)
「夏の魔物現象2016」メジャー3rdシングルレコ発ワンマンGIG
2016年6月24日(金)東京都 新宿FACE
OPEN 19:00 / START 19:30
<出演者>
夏の魔物 / ブラックDPG / 伊藤賢治(ゲスト)
「夏の魔物現象2016」ROAD TO 10th ANNIVERSARYシリーズ ~地獄篇~
2016年7月15日(金)東京都 新宿BLAZE
<出演者>
夏の魔物 / and more
「夏の魔物現象2016」ROAD TO 10th ANNIVERSARYシリーズ ~天国篇~
2016年8月5日(金)東京都 新宿ReNY
<出演者>
グッドモーニングアメリカ / 清 竜人25 / 夏の魔物 / and more
AOMORI ROCK FESTIVAL’16 ~夏の魔物~
10周年記念大会
2016年10月1日(土)青森県 夜越山スキー場
<出演者>
夏の魔物 with ヒャダイン / 人間椅子 / 曽我部恵一 / バンドTOMOVSKY / クリトリック・リス / BELLRING少女ハート / 生ハムと焼うどん / やついいちろう / 吉田豪 / 杉作J太郎 / 久保ミツロウ・能町みね子 / POLYSICS / 藤井隆 / 清 竜人25 / ROLLY / アーバンギャルド / SCOOBIE DO / THE NEATBEATS / HINTO / ザ・チャレンジ / ゆるめるモ! / and more
夏の魔物(ナツノマモノ)
夏の魔物

2006年から青森県で毎年開催されているライブイベント「AOMORI ROCK FESTIVAL -夏の魔物-」の主催者である成田大致を中心に結成されたユニット。メンバーは成田大致、ケンドー・チャン、塚本舞、大内雷電、アントーニオ本多の計5人。2015年8月にシングル「恋愛至上主義サマーエブリデイ / どきめきライブ・ラリ」をポニーキャニオンより発表しメジャーデビュー。2016年1月にはシングル「東京妄想フォーエバーヤング / ダーリン no cry!!!」、同年6月には「魔物、BOM-BA-YE ~魂ノ覚醒編~ / バイバイトレイン」をリリースする。

ヒャダイン
ヒャダイン

本名、前山田健一。1980年生まれの音楽クリエイター。3歳でピアノを始め、作詞・作曲・編曲を独学で身につける。京都大学卒業後、2007年に本格的な音楽活動を開始。前山田健一として倖田來未×misono「It's all Love!」、東方神起「Share The World」などのヒット曲を手がける一方、ニコニコ動画などの動画投稿サイトに匿名の「ヒャダイン」名義で作品を発表し大きな話題を集めた。2010年5月には自身のブログにてヒャダイン=前山田健一であることを告白。その後もヒット曲を量産し、2011年4月にシングル「ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C」でヒャダインとしてメジャーデビューを果たし、2012年11月には初のソロアルバム「20112012」をリリース。2014年は郷ひろみの99thシングル「99(ナインティナイン)は終わらない」での作詞・作曲およびサウンドプロデュースや、椎名林檎のセルフカバーアルバム「逆輸入 ~港湾局~」にて「プライベイト」のアレンジを担当をするなど、幅広いアーティストからの支持を獲得する。秋には小野大輔、櫻井孝宏、中田譲治が歌うアニメ「繰繰れ!コックリさん」のオープニングテーマ「Welcome!! DISCO けもけもけ」をプロデュースし、そのシングルが11月にリリースされた。