歌詞は曲の主人公になりきって考える

──先程「年中通して楽しんでもらえるような音楽を」という話が出ましたが、夏をベースにしつつ、それをどんな部分で表現したいと思いますか？

森川　今回のアルバム「あの夏色の空へと続く」もそうなんですが、クリスマスを思い出すような曲から春の曲まで、実はいろんな四季も入ってたりするんです。でもサウンドやビート感、歌詞の内容がどこか夏を感じられるようになっていて。

──“夏”のエッセンスをどのくらい混ぜるかは曲次第だけど、どこかしらでは感じられるようになっていると。

森川　はい。そういう曲が割と多めなんじゃないかと思います。

──なついろの作詞は、山崎さんがメインで担当されてますね。

山崎　はい。作家の方と共作することもあるんですが、主に書かせていただいてます。

──このアルバムを聴いてると、“夏”というひとつの切り口でもこんなに多様な表現ができるんだなって。情景が頭に浮かぶものも多かったですし。

森川　お！ 今、素晴らしいこと言っていただきましたよ!? （笑）

山崎　すごくうれしいです。ありがとうございます！

──いえいえ。作詞の際に意識していることは？

山崎　先に音源をいただくことがほとんどなんですが、まずは何度も曲を聴き込んで。そこで感じた曲の世界観を元に次は主人公を決めて、そこから言葉やストーリーを広げていきます。ものによっては主人公がいないこともあるんですけど。

──結構リアルな描写も多いなと思ったんですが、例えばその主人公の中に自分は何％くらい入ってたりします？

山崎　それが、今のところほとんど入っていないんです。自分以外の人を書いたりすることはあるんですが、基本的に歌詞は主人公になりきって考えてるので。

──でも、そこに自分の感情がつい入ってくるときはないですか？

山崎　自分だったらどうかな？ って考えたりはするので、曲によってはそういった要素も多少あるかもしれないですけどね。

「押し倒してKissしたい」にビックリ

──森川さんは山崎さんの歌詞についてどんな印象を持っていますか？

森川　あの……やっぱり「押し倒してKissしたい」はビックリしますよねー。

──今作のリード曲「exotic Love ～君の過去も全部抱きしめたい～」の歌詞ですね。はい、これはビックリしました（笑）。

森川　ですよね？ 私、最初に見たときは「こんなん歌っていいん？」って感じで（笑）。

北川　好詩未ちゃん、こういうのも書いてくるんだーって結構驚いたよね（笑）。

森川　普段からいろんな感情をいろんなアプローチで書いてきてたけど、ここまでのものはなかった気がして。でもさらにビックリしたのが、普通は声に出して言えないようなそんな言葉も、メロディに乗せて勢いよく歌えば歌えちゃうってこと。それが歌のすごいところというか、歌っていくうちに逆にだんだんカッコよく聴こえてきたりしたんですよ。

山崎　この曲はまずサウンドにすごく勢いを感じたので、歌詞もあそこまでガツンと言い切る感じが欲しいなって。主人公は強気な女性をイメージして、割とパンチがある内容に仕上げていきました。

──ボーカルはどんなことを意識しました？

森川　このビート感とテンポ感、キーの高さ……その全てに自分が乗っていかないとこの歌詞も絶対生きない！ って思って。最初に歌詞を見たとき、ちょっとカッコいい肉食系女子みたいなイメージが湧いたので（笑）、できるだけそこも出していけるように歌いました。

──ピアノの演奏でこだわったところは？

北川　この曲はレコーディングする前に、実は一度ライブで披露してるんです。フルコーラスではなかったんですけど、そのとき試しで入れてみたピアノのフレーズがスタッフさんにも好評で、それが本番でも採用されることになって。最初はここまでピアノが入ってなかったんですよね。

──へえー、そうなんですね。

北川　はい。結構高いキーでカンカンカンって鳴らしたり、刻んだり、この元気で明るい曲をさらに彩れるようなフレーズを考えて入れていきましたね。