初夏に開催される毎年恒例の音楽フェス「夏びらき MUSIC FESTIVAL」。13年目を迎える今年は新会場として沖縄・石垣島が加わり、東京、大阪、福岡の計4会場での開催となった。
7月13日から15日まで3日間にわたって行われる関東公演は、これまでの埼玉・所沢航空記念公園野外ステージから東京・アリーナ立川立飛に会場を変更し、屋内の“Arena Stage”と野外の“Park Stage”の2ステージを開設。例年の倍に近い数のアーティストが登場し、ベテラン勢からネクストスターまで、幅広いラインナップで初夏をカラフルに彩る。
本稿では「夏びらき」の常連であり、立川では3日間連続、そして各日とも別のアプローチでライブを行うBASI(韻シスト)と、「夏びらき」初参加となるchelmico、そして「夏びらき」のプロデューサー・高橋マシ(SLD Entertainment Inc.)による座談会を実施。「夏びらき」の特徴や楽しみ方、そして当フェスの意義と魅力を語り合ってもらった。
取材・文 / 高木"JET"晋一郎 撮影 / 須田卓馬
私にとって立川は青春の地の1つなんですよ
──chelmicoは今回の「夏びらき MUSIC FESTIVAL」が初参加となりますね。
Mamiko(chelmico) です。
──一方、BASIくんは常連出演者ですね。
BASI そうですね。もうどれぐらい出てるのかわからない(笑)。
Mamiko 「夏びらき」の先輩ですね。
Rachel(chelmico) 「夏びらき」マスターだ!
BASI だからマスターとして頼ってください(笑)。
Mamiko 会場の道順とか教えてもらわなきゃ!
Rachel ケータリングの場所とかも。
──それじゃスタッフですよ(笑)。
BASI そういう部分もサポートできれば(笑)。数多く出させてもらって思うのは、今年の東京はめっちゃ出演者が多いですね。
高橋マシ これまで関東公演は埼玉県所沢市の所沢航空記念公園で開催していたんですが、航空公園の会場使用に関する制限が年々厳しくなっていて。それで今年から立川市のアリーナ立川立飛での開催に切り替えたんですね。それによって会場の使用制限や規制が、今までよりもだいぶフレキシブルになり、ステージも屋内の“Arena Stage”と野外の“Park Stage”の2カ所を作ることができて、出演するアーティストも増やすことができました。
Mamiko 私にとって立川は青春の地の1つなんですよ。高1まで府中のほうの学校に通っていて立川でいつも遊んでたので、かなり思い出のある、ホッとする場所なんですよね。
Rachel 私も中央線の奥のほうに住んでたことがあるのでなじみのある場所ですね。
BASI 俺は大阪の人間だから、立川は行ったことないなあ。
高橋 沖縄出身の唾奇は“タテカワ”って読んでましたよ(笑)。
──落語家じゃないんだから(笑)。今回、開催地に立川を選ばれた理由は?
高橋 会場としてもふさわしかったのと、都心部から近くて、日帰りできて、家族で楽しめる、というコンセプトが「夏びらき」にはあるので、そのイメージとマッチするのが立川だったんですよね。
──会場となるアリーナ立川立飛はどのようなロケーションですか?
高橋 昨年、大阪なおみさんが世界一になったあとに日本で最初にテニスの試合をした「東レ パン パシフィック オープンテニストーナメント 2018」が行われた会場で、わかりやすく言えば大型の体育館 / アリーナですね。
この13年で、暑さに対する世の中の考え方も変わったと思うんです
──すでに行われた大阪や福岡、石垣島は野外でしたが、東京のArena Stageは屋内になるんですね。
高橋 7月中旬の開催なので、おそらく東京は真夏日になると思うんですよね。「夏びらき」を始めてからの13年で、気温が高い日が増えているように感じるし、暑さに対する世の中の考え方も変わったと思うんですよ。学校でも、ある一定の気温を超えたら体育の授業を取りやめたり、水分補給の必要性がより強く言われるようになったり。そういう状況の変化もあるので、東京では室内で、エアコンが動かせる状況での開催になりました。
Rachel わー!
Mamiko いいですね!(笑)
高橋 なので気温や日差し、熱中症に対する心配も、今までよりも少なくなると思います。毎年、RHYMESTERの宇多丸さんが「『夏びらき』は紫外線の土砂降りだ!」って嘆いてたんですけど、そういった面も今年は大丈夫かなと(笑)。
Mamiko 出演者も涼しいほうがうれしいです(笑)。
高橋 日焼けの心配も少なくなると思います。特に女性の皆さんは日焼けも気にされると思うので。
Rachel ホントにその通りでございます!(笑)
高橋 雨などの天候の心配も、Arena Stageに関しては今までより少なくなったのは運営側としてもうれしいですね。ただPark Stageは屋外の、陽のあたる場所に作ります。そこでは奇妙礼太郎さん曽我部恵一さん、birdさんのような、ゆったりと聴けるアーティストにご登場いただこうと。だから、中と外を行ったり来たりしながら楽しんでほしいですね。
──オーディエンスのニーズに合わせて楽しむことができると。
高橋 このフェス自体がニーズに合わせて変わっていっているんですよね。もともと13年前に、自分たちが楽しむためにフェスをスタートさせたのが原点なんですが、そのイベントが続いていく中で、お客さんに子供連れの家族が多くなっていったので、もっとそういった人に来ていただきやすくするために、12歳以下の入場を無料にしたりもして。
Rachel すごい!
高橋 そういうふうにみんなで育てているフェスなんですよね、「夏びらき」は。
chelmicoのようなキャッチーさは、このラインナップに絶対必要
──そして冒頭でも話した通り、chelmicoは初参加となりますが、オファーを決めた理由は?
高橋 単純に僕やスタッフがchelmicoを大好きで、お客さんにも観てほしいっていうのが大前提なんですが、chelmicoはどの年代にも愛される存在だと思うんですよね。「夏びらき」は音楽マニアに向けたものというよりも、ライトなリスナーであったり、家族連れ、普通の音楽が好きな人に気軽に遊びに来てもらえるようなイベントにしたいんです。その考えのもとにラインナップを考えているし、chelmicoのようなキャッチーさは、このラインナップに絶対必要だなと。私事ですけど、うちの息子もchelmicoの「爽健美茶のラップ」歌えますからね。
Mamiko ええっ!
高橋 たぶん、小学生はみんな歌えると思いますよ。
Mamiko うれしい!
Rachel 小学生とは付き合いがないからわからなかった(笑)。
高橋 CMソングの中でも、chelmicoの“届かせる力”はすごかったと思うし、子供から大人気だと思いますよ。
Rachel 子供たちのハートをつかむのを目標にしよう(笑)。
Mamiko でも、フェスの出演は今までそんなになかったからちょっと緊張するね。
Rachel 今年から増えてきたんですけど、「夏びらき」が今年の夏フェスのスタートって感じなので、緊張もするけど楽しみ。
高橋 あと、息子は韻シストの「Don't worry」のヴァースも歌えますからね。
──BASIくんのソロ曲「箸づかいのNG」でお箸のマナーも勉強してもらいましょう(笑)。
BASI ハハハ(笑)。だとうれしいですね。
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ベテラン枠と若手枠の相乗効果で、めっちゃ刺激を受けるんです
東京都 アリーナ立川立飛
- 2019年7月13日(土)
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【Arena Stage】<出演者> Chara / PUSHIM with HOME GROWN / Mighty Crown / BASI×唾奇 / 七尾旅人 / iri / Negicco / sankara / wacci
お笑い!夏びらき:おかずクラブ -
【Park Stage】<出演者> LOVE / D.W.ニコルズ / TOKYO CRITTERS / ものんくる / JiLL-Decoy association / S.N.A aka 山本卓司 / Blue Vintage
夏びらきヨガ supported by Island Chill:浅野祐介 - タイムテーブル
- 2019年7月14日(日)
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【Arena Stage】<出演者> スチャダラパー / PUFFY / RHYMESTER / PUSHIM×韻シスト / フレンズ / chelmico / 踊Foot Works / NABOWA / NakamuraEmi
お笑い!夏びらき: 尼神インター -
【Park Stage】<出演者> bird / 奇妙礼太郎 / AFRA / KAIKI / 橋口洋平(wacci) / 名渡山遼 / UKO / A BABY HEARTS
夏びらきヨガ supported by Island Chill : 廣田なお - タイムテーブル
- 2019年7月15日(月・祝)
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【Arena Stage】<出演者> SOIL&"PIMP"SESSIONS / Salyu / Rickie-G / 韻シスト / 竹原ピストル / OAU / SCOOBIE DO / LUCKY TAPES / Baby Kiy
お笑い!夏びらき:エハラマサヒロ -
【Park Stage】<出演者> 曽我部恵一 / 住岡梨奈 / Leola / きいやま商店 / Michael Kaneko / Open Reel Ensemble / クレイユーキーズ / ミトジョンテ
夏びらきヨガ supported by Island Chill : Maiko Kurata - タイムテーブル
- BASI(バシ)
- 1998年5月に大阪で結成されたバンド編成による生演奏ヒップホップグループ、韻シストのMC。2011年7月にインディーレーベル・BASIC MUSICを設立し、初のソロアルバム「RAP AMAZING」をリリース。これを皮切りにソロでは5枚のフルアルバムを発表し、CharaやLUCKY TAPESとのコラボ曲も制作した。2018年10月には7inchアナログ「愛のままに feat. 唾奇 / 星を見上げる」がクラブシーンでヒット。この2曲を収めたアルバム「切愛」を2019年6月にリリースした。
- chelmico(チェルミコ)
- RachelとMamikoからなるラップユニットとして、2014年にイベント出演を機に結成。2016年10月に1stアルバム「chelmico」を発表すると、奔放なキャラクターとポップなセンスが話題を呼び、企業CMなど引く手数多の存在に。2017年8月には音楽フェス「SUMMER SONIC」への出演を果たした。2018年8月にワーナーミュージック・ジャパン内レーベルのunBORDEよりメジャーデビュー。2019年1月に東京・LIQUIDROOM公演を含む初の東名阪ワンマンツアーを行い、全会場をソールドアウトさせた。また同年2月に放送がスタートした「爽健美茶」のテレビCMに出演し、CMソング「爽健美茶のラップ」を配信シングルとして発表。8月にはニューアルバム「Fishing」をリリースし、9月に東京・マイナビBLITZ赤坂を含む全国ツアーを開催する。
- 高橋マシ(タカハシマシ)
- SLD Entertainment Inc.に所属し、東京・代官山LOOP、神奈川・横浜LOOP、神奈川・鎌倉LOOPといったライブハウスのプロデュースを担当。2007年から開催されている野外フェス「夏びらき MUSIC FESTIVAL」を主宰する。またラジオパーソナリティを務めたり、DJとして韻シスト主催のパーティ「Neighbor Food」にレギュラー出演したりといった顔も持つ。